【東京・Another works】「複業クラウド」により、所得アップするビジネスパーソンを増やしたい

イベントや講演で新しい働き方や複業について提唱する大林尚朝社長

2019年3月に、「挑戦するすべての人の機会を最大化する」を目的とし、「複業」を推進する株式会社Another worksを創業した大林尚朝社長。

コロナ禍を経て、今、企業は複業人材を求めています。一方、企業で働くビジネスパーソンの悩みは手取りを増やし、生活にゆとりを求めています。しかし本業で1年での100万円の収入アップは現在の評価制度ではほぼ望めません。

例えば、Another worksが運営する「複業クラウド」で4万円の案件を月2件こなしていけばどうでしょうか。月の合計では8万円、これを1年間にわたり続けていけば、年96万円なります。

大林社長は複業に挑戦され、日本人の平均所得をアップするビジネスパーソンが増えて欲しいと願っています。今回は、大林社長に複業で必要なスキルなどについてうかがいました。

株式会社Another works

代表取締役 大林尚朝

目次

本業を持ち「複業」へ熱い視線を寄せるビジネスパーソンが増加する時代の転換点

名古屋を中心に運営するイノベーション促進/交流プログラムの「NAGOYA CONNÉCT」では”組織・採用”について語り尽くした大林社長

──これから複業の実践は必要になってくると考えています。そこでこれからの複業のイメージ像を教えてください。

大林尚朝氏(以下、大林社長)

まず、Z世代などの若手を中心に終身雇用形態の考え方はほぼなくなっています。終身雇用で定年までつとめあげたいと希望される学生は、逆に珍しいのではないでしょうか。

とはいえ、私は終身雇用を否定していません。高度成長時代であれば、学校を卒業した後、1社に入社し、定年退職まで勤め上げることは合理的であり、それがスタンダードでした。

今のZ世代には、震災やコロナなど人知を超えたことを経験。この経験をもとに、「人生何があるか分からない。やりたいときにやりたいことをすべき」と人生観に大きな影響を与え、人生の目的ではお金を稼ぐだけではなく、お金と時間を使い、幸福度を最大化させることが大切という価値観へと変わっていったのではないでしょうか。

そこで長い期間を就職活動や転職活動にあてることは惜しいですから、直観でやりたい企業に入社し、もし合わなければ、自分の人生だから、別の会社に転職することを厭わないのが20~30代を中心とした若手世代の価値観といえます。

そこで1社だけに所属するのではなく、地元や地方の気になる企業にも本業を持ちながら、所属するという「複業」がクローズアップされてきているのです。政府は、労働力不足について、複業(副業)人材を活用する動きもあり、人手不足の解消、社員の負担軽減、業務の効率化の課題解決や我々の価値観ともマッチするのが複業という働き方であり、今後、このトレンドがますます強まる傾向です。

──実は、企業側も公にはしていませんが、複業の働き方がより広がって欲しいと願っていると思うのです。その理由は、企業も社員に対して、終身雇用が難しいと考えているからです。

大林社長

その通りですね。企業がより多く就活生を採用する理由は、やはり辞める社員が多いことを見越してのことです。そこで会社側も自社の課題解決については正社員に必ずしもこだわらず、特殊な業務の解決ではフリーランスに対する業務委託でもいいと考え始め、採用面の選択肢が広がっています。

人を抱き込みコミュニケーションに長けた人材が求められる

大分県主体のビジコン「OITAゼロイチ」の審査員を務めた大林社長

──複業を行うにあたり、さまざまなスキルが要求されると思います。複業時代ではどのようなスキルが必要だと考えますか。

大林社長

たとえば人間力に長けている人が今後、求められると想定しています。人間力は究極なコミュニケーションです。ご自身が進みたい方向に誘導するために、社内の誰を動かし、真っ先に誰に情報を伝え、どれほどの予算を獲得するかなどの能力はこれから必須です。

例えば営業も、顧客に伝えるべき情報を察知し、顧客の不満や不安を払しょくするコミュニケーションといえます。このようなコミュニケーション力、人間力が必要なことはAIではできません。

複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」では10万人が登録

──そういう中で御社と「複業クラウド」が大変高い存在感を増していると思うのですが。

大林社長

「挑戦する全ての人の機会を最大化する」をビジョンに掲げるAnother works社は、総合型の複業マッチングプラットフォーム「複業クラウド」をリリース。ミッションである「複業の社会実装を実現する」を目指し、上場企業からスタートアップ、自治体、スポーツチーム、教育機関など、業種業界問わずあらゆるドメインで複業人材の登用を後押ししています。

複業クラウドには、営業・マーケター・エンジニア・デザイナー・人事などのさまざまな職種をはじめ、10万名以上の複業人材が登録。導入企業・自治体は累計2,500社以上であり、国内でも最大規模の複業マッチングプラットフォームとして利用されています。

特徴としては他のクラウドサービスのような単発案件の割合が少ない点にあります。基本的には顔写真付きで本名も公開し、先方様と面談し案件を受注するスタイルで、業務委託契約書を締結します。そのため、単価も他の匿名性の高いクラウドソーシングよりも高いです。

──企業や地方自治体も複業人材を求めている背景はどこにあるのでしょうか。

大林社長

2024年には前年比較で人口は89万人減少しました。そこでこれから求められるのはAIを活用した生産性向上と複業への後押しです。1人が複業により複数社で働ける環境を整えることが大切です。実際、雇用企業5,000社以上の企業の7~8割は複業を認めています。ですから多くの企業は複業を事実上、容認しています。

若い社員からの視点では複業禁止で業務を縛る企業は、「柔軟性がない」との評価を下していることから、1社で人材を囲い込むことは難しくなっています。仮に1社で囲い込もうとしてもこれまでの人事の評価制度であれば、1年で高い成果を挙げても年収が100万円アップするのは難しい。しかし、月4万円の年間継続業務を2件受注すれば、96万円になります。

この96万円は複業をしなければ獲得できなかった報酬ですが、この報酬により、今まで買えなかったものが買え、観光旅行もいけるようになり、人生に余裕と潤いが生まれるようになります。

今、日本人の平均年収は約460万円ですが、複業をこなすことで500万円を超えるようになります。私は、物価高と税金が重くのしかかる中で複業を通じて日本人の平均取得を500~600万円台へとアップすることを支援していきたいのです。

複業を是非とも国策に。その理由とは!?

創業感謝祭で挨拶する大林社長

──複業により「稼ぐ力」のアップを期待される方も多いと思うのですが。

大林社長

AIにより、これまで8時間かかっていた業務が効率化し、4時間に短縮する可能性があります。その空いた時間を複業すればいいのです。そこで所得も増えますし、お金に余裕を持つと使い始めるようになります。

日本のGDPの半分はサービス業や国内消費に頼っています。このまま所得が増えなければGDPは上がりません。今の日本の課題では生産性が低い、幸福度も低下している、一人当たりのGDPも韓国や台湾に抜かれ、国としてのGDPもドイツに抜かれ、後ろにはインド、イギリスなどが控えています。

平均所得をアップするためには国全体のGDPも向上する必要があり、そのためには誰もが複業にチャレンジできるような環境を整え、最終的には複業は国策になると信じています。

私はただ、発言するだけではなく、複業クラウドというプラットフォームを構築し、『年収UP・起業・自己実現できる!副業の教科書』(‎明日香出版社)などを執筆するなど多くの複業に関するメッセージを発信中です。

複業はビジネスパーソンのキャリア向上に役立つ

千葉県立流山高校で「今日から踏み出す”挑戦”への一歩」をテーマに大林社長が出前授業を開催。生徒約240名が参加、将来のキャリアを考えるきっかけを創出した。

──複業のもたらす効果や複業の事例についてはいかがですか。

大林社長

お金を稼ぐこと以外にも複業の目的はあります。雇用形態が正社員から、派遣社員、業務委託と多様化し、終身雇用も崩壊しました。そこで、「自分のキャリアはこのままでいいのか」と不安を抱いている方も多いです。そこで、キャリア形成の手段として複業が役立ちます。

──この複業におけるキャリア形成について深堀して教えてください。

大林社長

たとえば異業種にチャレンジされたい方がいるとします。実際、今、事務職の方がデザイナーへのジョブチェンジを目指すなど職種の越境を希望される方が増えています。将来のキャリア形成の行動としては素晴らしいですが、現実ではハードルがあります。

複業で経験を積めば本業では経験がなくとも実務経験を積めるメリットがあります。たとえば、チームでプロジェクトを推進し、顧客に価値を提供したビジネスパーソンは、即戦力として採用される確率が上がります。

新たなキャリアを求めて転職したのの、思った以上にパフォーマンスが発揮できず、転職自体失敗したケースは少なくありません。しかし今、申し上げたような転職前の複業により成功する事例が続出しています。

複業を機会に好きな仕事に携われる好事例を紹介

──その具体例としてはどのようなものがありましたか。

大林社長

複業を機会に、スポーツを仕事にされ、新たなキャリア形成を実現した事例を紹介します。これは、『年収UP・起業・自己実現できる!副業の教科書』でも示しました。プロバスケットボールチームの「福島ファイヤーボンズ」に複業でジョインされた方の事例です。

その方は普通のスポーツ好きの会社員でしたが将来的には地域やスポーツに関わりたいという希望がございました。そんな時に、「福島ファイヤーボンズ 複業募集」のSNSの投稿をたまたま見つけられ、スポーツを通じて地域に貢献するという想いにも共感されました。具体的な複業については当社の「複業クラウド」に登録し、応募されました。

スポーツ業界、複業、ゲームオペレーターでの業務経験ははじめてのことでしたが、今の仕事環境を変えることなく、スポーツに携わる機会を得られました。最終的に、複業から福島ファイヤーボンズに転職されましたが、日々やりがいと楽しさを感じられるとお話しされていました。

複業の仕事は多岐にわたり、活躍は多くの場で求められる

流山高校で大林社長と生徒で記念写真

──会社が複業人材に求めている職種・ジャンルは数多くあるようですが。

大林社長

よくある複業例では、営業職・マーケティング職、エンジニアリング職、デザイナー職、広報/人事職/CS職、管理部門全般、新規事業、経営企画がありますが、企業は多くの部署で複業人材を求めています。

今、日本では人材不足、採用難と嘆かれている企業が多いですが、先ほど申し上げたように企業における業務は細分化されています。採用に成功したとしても、十分に活躍するようになるまでには1年かかる場合もあります。

また、仕事の内容もフルタイムの正社員を雇用するほどではありませんが、プロの人材が必要なケースも多いため、複業人材が求められているのです。その際、職種・プロジェクトごとに人材を採用し、業務をアウトソーシングいたします。

たとえば、プレスリリースの作業業務、SNS運用業務のすべて任せたいなど、企業が複業人材に期待する内容は無限にあります。企業としても複業人材に業務を委託することで、最大効果を発揮できます。

当社の「複業クラウド」に登録し、成功をおさめている複業人材は、1件目で着実に成果を獲得し、それが2件目の受注につなげています。最終的により長期の契約更新に至る事例もございます。

地方自治体も複業人材に期待

自治体複業を通して地域課題の解決に挑戦したプロジェクトを表彰する「自治体複業アワード2025」の授賞式のもよう

──少し話は変わりますが、複業人材は地方、地方自治体でも強く求められているような気がするのですがいかがでしょうか。

大林社長

地方自治体も労働力の減少に伴い、職員の数も減り、若手の職員も退職され、職員全体が不足しています。コロナ禍後は、非対面で情報発信することが肝要ですが、すべての地方自治体1,741市区町村の中でもできるところは限られています。

一方、民間では当たり前のように情報発信を繰り返し実施しており、そこで私は専門人材不足の地方自治体が、複業人材の登用により地方創生を推進できるのではないかと考えました。

その具体化したサービスとして、「複業クラウド for Public」を開始し、民間複業人材と自治体職員の協働プロジェクトにより、行政課題・地域課題の解決を実現。現在、233の自治体(2025年6月末時点)が「複業クラウドforPublic」を導入し、日本で一番の実績を持ち、行政から受け入れられています。

一方、複業人材もお金の発生有無関係なしに、地方のために尽くしたいという気持ちや自分の生まれ育った場所や、旅行で気に入った地域について仕事で接点を持ちたいという感情を抱く方が増えています。

次に行政の仕事を請け負うと、自身の信頼度が増し、最終的には他の業務の単価が上がるなど、行政と複業人材の関係はウィンウィンで、やらない理由はないといわれるほど魅力的な複業です。行政からお墨付きをもらうことは何よりの信頼の証です。

行政の当たり前は、民間の当たり前ではありません。行政と民間の複業人材がタッグを組むことでいい化学反応が生まれます。たとえば、ふるさと納税では、返礼品の写真や訴求文章など魅せ方を変えるだけで大きく変わってきます。実際、地方に行くと、この課題は複業で解決可能だと確信できることは山ほどあります。

地方自治体から求められるスキルや人材とは!?

──地方で今、本当に必要とされているスキルも教えてください。

大林社長

地方で求められるハードスキルとして多いのは、クリエイティブ制作、Webマーケティング、動画制作、SNS運用などです。都心部ではできる人が多い職種でも、地方では圧倒的に少なく、希少価値が高いのです。今、地方自治体や地方企業では都心部の複業人材を求める傾向にあります。

そして地方だけには限りませんが、ソフトスキルも肝要です。具体的には、「約束を守る」「きちんと挨拶をする」「打ち合わせに遅れない」というビジネスパーソンとして当たり前の行動ができているかどうかも大切なスキルです。

自治体DX推進で民間の複業人材が活躍中

左から鳥取県日野郡江府町 藤原氏、複業アドバイザー 豊田氏、株式会社官民連携事業研究所 代表取締役 鷲見氏(自治体複業アワード2025の大賞受賞者)

──たとえば行政での業務委託ではどのような事例がありますか。

大林社長

具体例では、ある地方自治体では業務改善アドバイザーを登用し、複業人材が職員とともにプロジェクトを推進。DXを徹底的に活用し、無駄を省かれたケースがあります。首長の部屋を訪問すると書類が膨大に積まれているところもあります。しかしこれはPDFで保存すればペーパーレス化や自治体DXに貢献します。

自治体職員も必ずしもDXの専門家ではありませんから、DXの手法や発想を複業人材が提供し、DXのビフォーアフターを示し、実装していくケースがありました。DXに詳しい複業人材が適切なアドバイスを繰り返す実施することで最適解に導き、自治体DXが成功した事例も数多くございます。

また、自治体では、ふるさと納税で寄付金の大幅アップを狙いたいところもありますが、どのようなマーケティング手法を採用すれば注目度がアップするかについては民間でマーケティングに長けた方からのアドバイスを取り入れることで成功に至ったケースもあります。

まずは複業にチャレンジして欲しい

大林社長が執筆した 『年収UP・起業・自己実現できる!副業の教科書』

──今回、『年収UP・起業・自己実現できる!副業の教科書』を執筆されましたが、最も伝えたかった点はどこにありますか。

大林社長

複業をやってみないと得られない感情があると思います。皆さんは複業のハードルを高く感じられる方も多いので本書では低く抑えました。

まずは複業に一歩踏み出して欲しい。ご自身の看板で値付けをし、プロジェクトを会社以外でもチャレンジされることです。できる・できない経験をそれぞれ積み上げ、できなかった時の悔しい感情をなるべく早く得ることで、人生に張り合いも生まれます。

複業も20代からはじめるか、50代からはじめるかによってその後の人生は大きく変わります。私は、本書に加えて、YouTube、noteなどで情報を繰り返し、展開していますが発信の内容の根本はこのメッセージに尽きます。

会社概要

社名株式会社Another works
代表者代表取締役 大林 尚朝
所在地〒105-0001
東京都港区虎ノ門5-13-1 虎ノ門40MTビル3階
公式HPhttps://anotherworks.co.jp
複業人材向けページhttps://talent.aw-anotherworks.com/
企業向けページhttps://cl.aw-anotherworks.com/
複業クラウド for Public(日本最大の自治体と複業人材を結ぶマッチングプラットフォーム)https://forseries.aw-anotherworks.com/public
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