共有名義不動産に特化した株式会社クランピーリアルエステートを2018年3月に設立するとともに社長に就任した大江 剛氏。
大江社長は、大学卒業後、フリーランスを経てIT ベンチャー企業に入社。3年間、営業本部長として従事した後、2013年には弁護士、税理士、司法書士など士業事務所専門のWEB マーケティング会社の株式会社Clamppyを設立、同社は現在では全国で1,500事務所以上の集客サポートを行う企業に成長しています。
こうした全国の士業事務所とのネットワークに強みを持ち、信頼性も向上しグループ会社であるクランピーリアルエステートは、日本の最大級の共有名義不動産の問題解決を行う企業へと躍進。年間3,000件を超える共有名義不動産についての相談が寄せられ、弁護士や司法書士と連携することで多数のトラブルを解決に結びつけています。
今回は、大江社長に共有名義不動産に対する取組み内容やその問題点について話をうかがいました。

株式会社クランピーリアルエステート
大江 剛社長
社会的問題に浮上した「共有名義不動産」

――最近、不動産業界では、大相続時代に伴い、「共有名義不動産」という単語を聞くことが多くなりましたが、この言葉の持つ意味を教えてください。

今、団塊の世代を中心とする高齢者の大量相続が本格化し、日本全体で相続件数や相続財産の規模が急増している「大相続時代」を迎えています。もし価値のある資産が土地と建物のみと仮定すると、ご実家の建物と土地を例えば父が亡くなった時点では母と子の共有になることが多いかと思います。ただし遺産分割では母の単独所有のケースもあり、この場合は母が亡くなってからごきょうだいではじめて共有することになり、そこで、現在ごきょうだいで共有するケースが増えている実感がございます。
仮にごきょうだいが3名いらっしゃると、特別な事情がなければ不動産を1/3ずつ共有するケースも多いです。共有者それぞれの割合的な所有権を「持分」もしくは「共有持分」といいます。
持分の事例はさまざまで、例えば、ご両親のうち夫が亡くなった場合、妻が1/2を、もし残りのご子息がおふたりいる場合は、兄が1/4、弟が1/4の持分を所有します。最近では、ペアローンでご自宅を購入するケースも多く、4,000万の戸建て住宅のケースでは、仮に夫が3,000万円を、妻が1,000万円を出資した場合であれば、夫の持分は3/4、妻の持分が1/4です。
――住宅は単独で所有するイメージでしたが最近では相続件数の増加に伴い、ごきょうだいで共有するケースも増えているのですね。



一般的には住宅をごきょうだいで共有した場合、仲が良ければ問題はありませんが、時間が経つにつれてお互いが別々の世帯を持つうちに、関係性も希薄になるケースが多いのも実情です。そこで共有名義不動産に端を発した親族のもめ事も増えているように感じています。
共有名義不動産のトラブルになる事例


――どのような点に問題点があるのでしょうか。



たとえば、不動産を単独で所有している場合、売却も解体についても所有者ご自身で決定できます。しかし、もし共有名義不動産であれば、ひとりの共有者が別の共有者に不動産の売却を持ちかけても、数人の共有者のうちひとりでも反対があると売却はできません。このように共有名義不動産は共有者同士それぞれがお互いに権利を制限している状況です。
――今のお話ですと、急に現金が必要になった共有者にとっては困ることになりますね。



実はそのケースは少なくないのです。普段は仲が良いごきょうだいでもそれがいつまでも続くとは限りません。たとえば、弟さんが自営業で急に資金繰りが悪くなり、共有名義にある不動産を皆で売却したいと持ち掛けても、先ほど申し上げたようにおひとりでも反対する共有者がいれば、売却できないのです。
そうなると、弟さんも事業に行き詰まることになりますし、普段は仲が良くてもごきょうだいの関係に悪影響を及ぼします。
――持分があるのにその不動産の裁量が狭いように感じました。御社での事例ではいかがでしたか。



他の親族にご自身の持分を買い取ってもらうよう働きかけましたが話がまとまらず、現金も必要なため、弊社にご相談される方が増えています。実際にごきょうだいに一切相談せずに突然、弊社にご相談される方はあまりいらっしゃいません。一度は、お話を持ちかけましたが断られたケースが圧倒的に多いです。
典型的なケースであれば、共有者の中で居住されている方は売りたくないという意見が多く、「居住されていない方が売りたいとの意見に分かれるケースが多いです。ごきょうだいでもいったん仲が悪くなると話し合いもできなくなり、お互いがお互いを非難する関係になると、最悪、共有状態を解消するための訴訟にまで発展することもあります。
しかも意外なことに資産価値が少ない方がトラブルとなるケースもあります。現金は分けやすい遺産ですが不動産は分けにくい点に問題があり、少ない財産でもトラブルは発生します。


姫路市の空き家では93人もの所有者の存在したことが判明
――報道によると、最初はおひとりで所有していた不動産も放置すると、それが共有名義に移り大変なことになった事例があるようですが。



姫路市の事例では、ある空き家の撤去の伴い、所有者を調査したところ、93人もの共有者が存在していることが分かりました。この空き家は、建物の一部が倒壊し、周辺住民に危険を及ぼすおそれがあり、空き家特措法上の「特定空き家」として取り扱われていました。
対応を進める過程で、相続人を調査して発覚。もともとは男性ひとりが所有していましたが、子、孫、ひ孫、玄孫、来孫と引き継がれ、共有者が増えれば増えるほど問題の解決は難しくなるのが実情です。
このように不動産の共有状態を放置すると、最初はごきょうだいによる共有状態が、そのごきょうだいのお子さん、お孫さんと世代を超えて、共有者が増えていきます。最終的に共有者が10人になることも十分ありうることで、こうなると誰かが売却に動こうとしても容易ではないことは明らかです。


世田谷区の相続不動産では約4割が共有名義
――あまり目立たない問題のように思える共有名義不動産ですが、内実は大変ですね。



弊社にご相談に来られる方の大半は、富裕層ではなく、ごく普通の一般家庭の方が大半なのです。顧客の中でも東京都・世田谷区に不動産をお持ちの方が多かったので、改めて弊社で、世田谷区の相続不動産を調査したところ約4割弱が共有名義という驚くべき結果が出ました。大阪府・豊中市でも同様な数値でしたので、各地域の相続不動産を調査すればかなりの数が共有名義になっていることが想像できます。
ただ、世田谷区の地域性も考えられます。人口は2025年現在では約92万人と多く、資産家ではなく一般家庭の方で、昔働いて購入した家(土地)が地価高騰により値上がりし、預貯金等の流動資産に見合わず資産価値が上がってしまったというケースが多いということかと思います。
そのため、不動産価格では仮に1億円だとしても、貯蓄が1000万円に満たない、というような不動産価格と預貯金が釣り合わないご家庭が多いと考えられます。そこで、不動産を1名が取得し預貯金等の流動資産を1名が取得しても不動産評価と流動資産が釣り合わないので、不動産を共有名義にせざるを得ないケースも多いという、面倒な金銭問題が発生し、トラブルにつながる可能性のある事例も増えて来るのではないかと懸念しています。


――私が共有名義不動産の共有者のひとりであれば、危機感を抱き、何とかしようと考えるのですが、その点いかがでしょうか。



実は共有不動産をお持ちの方では、普段は積極的に動こうとはされません。この共有不動産を次の世代に引き継がせたくないと考えた時に動かれた方もいます。
普段、意識されない理由は、誰かが共有名義不動産に居住しているから問題はないと考える方が多いです。次に価値のない空き家となった共有不動産であれば、解体し更地にするとコストがかかります。共有名義不動産の立地が良く、流動性もあり高く販売できると共有者が集まり、何とか話をまとめようと動かれる方もいますが、地方の過疎物件ではお金にもならないから放置されている物件もあります。
相続登記の義務化で共有名義での登記が増加!?


――相続登記の義務化の解説と現状の実態について解説をお願いします。



2024年4月に相続登記の申請が義務化されましたので、不動産名義を相続人に変更する義務が生じました。これまで仲の良いごきょうだい間では、ご両親が亡くなっても、当面、親の名義のまま放置し、お時間のある時に相続についてゆっくり決めても問題はありませんでした。法改正後では、とりあえず相続する全員の共有名義で登記するケースが一部あるようです。遺産分割の話し合いは、ことのほか時間がかかり、まずは共有名義で登記するのです。
ただ、法改正後、不動産の流通の活性化や空き家問題の解決に動いているという感覚はありません。それでも弊社に対しては、「きょうだいがふたりいて、まだ相続登記をしていない物件があるがどうすれば良いか」などの相談件数が増えています。今後、じわじわと相談件数が増えていくと想定しています。


――こうして見ますと不動産の共有状態は一刻も早く解決した方が良いかと思いました。



もともと土地や建物のような不動産の売却は、簡単ではありません。売却には立地によりますが時間がかかるケースもあります。不動産の維持にもお金もかかりますから、トラブルの回避のため、共有状態をなるべく早く解消することがベストです。
方法としては共有不動産の一本化、ご自身の共有持分のみを第三者に売却、ご自身の共有持分の放棄の3点があり、いずれもご自身のみでの解決は難しく第一に他の共有者と冷静に話し合うことが大切です。ただし、申し上げた通り、中々解決に至らないケースも多いので、その場合は、弁護士、専門家、弊社のような共有名義の問題解決に強い会社に是非、相談して欲しいと願っています。
持分は他の共有者に同意がなく販売できる





共有不動産の1本化は他の共有者から持分を買い取り、単独名義にする方法です。たとえば、3,000万円相当の不動産を3人のごきょうだいで、1/3ずつ所有している場合では、長男が長女、次男の持分を相応の金額を支払い、おふたりには共有関係から離脱していただき、長男が単独所有されます。その後、その不動産をどう活用するかは完全に長男の裁量により決まります。
次は共有持分の放棄です。これは文字通り、持分を放棄し、ご自身の持分は他の共有者に移ります。財産を見返り無く手放すことになりますが同時にトラブルから離脱が可能です。共有関係の解決方法の一つです。
最後に、親族間などのトラブルが続いた場合、解決は容易ではなく、諦める方もいらっしゃいます。ただし共有名義不動産の有力な解決方法があります。それがご自身の持分を売却することです。
確かに共有名義不動産すべてを売却するためには、共有者すべての同意が必要ですが自身の持分については、他の共有者に同意がなくご自身の裁量で売却できることはあまり知られていません。
最後の共有持分の売却のメリットはトラブルが続いて悩んでいる場合には、共有関係とともにトラブルからも離脱でする点です。また、50~60代であればお子さんも大学での学費もかかり、現金化されたい意向もあるでしょう。そこで第三者への売却は十分に検討に値することなのです。
持分の売却先はノウハウを持つ専門会社へ


――持分を他の共有者に相談せず売却できることをご存じない方も多いですね。



弊社にご相談し、持分を手放すことをご決断され、実行に移されればすぐに現金化でき、他の共有者に相談しなくてもすぐに売却ができます。これがもし、物件そのものの売却になると、共有者全員の同意を得て、もし居住されている共有者がいればその方が引っ越され、さらに住宅を解体。一度更地にした後、測量して購入される意向のある方がいて、はじめて不動産の売却が実現できます。共有者間で話がまとまって、不動産を処分しようと決断されて売却できるのは1~2年でしょう。
もちろん共有者同士は、ごきょうだいであることが多いので話し合って解決されるのが一番望ましいと考えますが、すべてが話し合いで解決できませんから、早く現金化されたい、ごきょうだい間のトラブルから一刻も早く離脱されたいとのご意向がありましたら、是非弊社にご相談いただければ、状況に応じた解決方法を提案させていただきます。
一般的に売却先は不動産業者を思い起こされる方もいますが、一般的な不動産を扱う不動産業者では共有持分についてのノウハウが薄いため、注意が必要です。そこで弊社のような共有持分を専門に扱う会社であれば、容易に買い取りが可能です。弊社は、弁護士をはじめ、様々な士業事務所と連携しているので法律的なバックアップも見込まれます。
年間3,000件の相談の実績
――改めて御社のご紹介をお願いします。



クランピーリアルエステートは、共有名義や訳あり不動産不動産の専門買取会社で年間3,000件以上の相談を受けているので、様々な事情に精通。さらには、全国の1,500を超える弁護士・税理士・司法書士事務所とネットワークを形成しています。
共有名義不動産のリスク分析には法的な検討が重要です。また、不動産仲介業者を介さず、弊社自身で買い取りを行いますので強気な査定が可能です。また、他社は金融機関からローンを組んで不動産物件を購入するのが通例ですが、弊社は不動産購入の際、銀行からの融資を受けず、金利がかからない分、高値での買い取りが可能なのです。
共有名義不動産を扱うことで社会的に意義を感じています。「これまでのトラブルから解放できた」「あきらめていた現金化がかなった」など感謝の言葉も日々寄せられています。
――これほど士業事務所とのネットワークがあるのもなかなか事例がないように思いました。



WEBマーケティングの会社で私が代表を兼任している、Clamppyが運営している複数のメディアがあります。一番、有名なのが朝日新聞社と共同運営している「相続会議」のほか、単独運営している「ツナグ相続」「イエコン」「ツナグ離婚弁護士」「ツナグ債務整理」などのメディアを保有しています。こうしたメディアを通じて全国で士業事務所と強いネットワークを築いている点も強みです。


――書籍も出版されましたが。



2022年4月には『共有名義不動産』(東峰書房)を発刊。「共有不動産トラブル」を解消するための現実的な方法について、共有不動産の専門不動産業者としての経験に基づいた必要な知識を体系的にまとめました。共有持分の基礎知識からリスクやトラブル、共有関係の解消など、共有不動産に詳しくない人でも実態がわかるような一冊になっています。
――相談から契約までの流れについてはいかがでしょうか。



まず、メールもしくはお電話でご相談内容を承ります。弊社担当者が物件情報、これまでの経緯をヒアリングし、次に現地調査を通じて、物件の状態を丁寧にリサーチします。その際、ご不安に思われていることについては担当者にご遠慮なく相談してください。
次に弊社から最大限の査定金額を提示。査定金額にご納得いただければ契約に至り、すぐ買い取り手続きに移ります。司法書士の手配や登記手続きについても弊社にお任せください。また、着金について急ぎたいとのご要望にも柔軟に対応いたします。
持分売却では現金化の要望が高い


――率直にうかがいますが早く現金化されたい相談者は多いのでしょうか。



多いですね。年も取り、老人ホームに入居するための費用をねん出したいが、所有している資産は、ご自身のごきょうだいが居住している住宅の権利の1/2や1/3だけという方もいます。
あるいはご自身のお子さんに何か起こり、現金が必要になりましたが共有名義になっているため、すぐに売れない状況になっている方もおります。お金が必要になるタイミングは本当にさまざまで、ライフプランが変わった際に訪れることが多いです。
不動産を健全な状態に戻し、市場に流通を


――持分を買い取った後、次はどのようなことを行いますか。



まず他の共有者の方と話し合いをさせていただきます。交渉の解決方法はさまざまで、まずは共有者のご意向をうかがいます。そのまま住み続けたいとのお考えでしたら、持分を買い取ってもらうなどの解決方法を示します。また、住んでいる方も本来は手放しても良いと考えていましたが、ごきょうだい間のいざこざで素直にご提案できなかった事例もあります。その場合、第三者に売却するケースもございます。
――今後の方針では。



従来と変わらず、共有名義不動産に注力してまいります。さまざまな状況で共有名義不動産になるのですが、流通性を損なっていることから見ても不健康な状態にあります。そこで共有名義状態についてはどこかのタイミングで解消するのが望ましいです。
後の世代のお子さんやお孫さんが解決するよりはご自身の世代が責任をもって解決すべきです。これから相続件数がますます増え、共有名義不動産の問題もさらに顕在化します。
そこで弊社が最も正しい手法で共有名義不動産の解決のため、不健康な状態であった不動産を健全な状態に戻し、不動産の本来の価値を回復させ、再び市場に循環させていきます。
会社概要
会社名 | 株式会社クランピーリアルエステート |
代表者 | 代表取締役 大江 剛 |
住所 | 東京本社 〒104-0045 東京都中央区築地2-10-6 Daiwa築地駅前ビル9F |
TEL | 03-6226-2566 |
公式HP | https://c-realestate.jp/ |
関連サイト | 相続会議: https://souzoku.asahi.com/ イエコン: https://iekon.jp/ ツナグ相続: https://clamppy.jp/sozoku ツナグ離婚弁護士: https://clamppy.jp/rikon ツナグ債務整理: https://clamppy.jp/saimu |
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