【福島県・ホテルあぶくま高原テラス】身体が芯から温まる「美肌の湯」や塙町の豊かな自然に囲まれる人気の宿泊施設

ホテルあぶくま高原テラスの外観

首都圏から見ると、東北地方の入り口に当たる福島県・塙町。かつて奥州街道の宿場町として栄え、どこか懐かしい里山の街で、都会から2時間半とは思えないほど静かで、のびのびと過ごせる環境です。

いま、子育て世代の旅行ニーズは「遠すぎず・混雑せず・癒されて・思い出が残る」場所へとトレンドが移り、塙町は、週末旅にもぴったりです。

塙町の山間地域にある温泉複合施設「ホテルあぶくま高原テラス」は、ファミリー層に人気です。施設の魅力は、「奥久慈塙温泉」を源泉とし、身体が芯から温まり、「美肌の湯」と呼ばれる人気の湯と豊かな自然を楽しめる点です。

今回は、ホテルあぶくま高原テラスの統括総支配人の吉成知温氏と総支配人の江面勝久氏に同施設や塙町の魅力についてうかがいました。

目次

標高540mの小高い山間地域に位置する

ホテルあぶくま高原テラス統括総支配人の吉成知温氏
ホテルあぶくま高原テラス総支配人の江面勝久氏

――ホテルあぶくま高原テラスの施設概要からお願いします。

江面勝久氏(以下、江面氏)

福島県南端の白川郡塙町の標高540mの小高い山に位置し、お客様は塙町の住民や首都圏の方々の来訪が多いです。宿泊施設は20部屋あり、96名の方のご利用が可能です。

地元地区の「奥久慈塙温泉」を源泉とし、温泉成分としては無色透明で単純泉・アルカリ泉で、体の芯からぽかぽか温まり、お肌もツルツルになるため、「美肌の湯」とも呼ばれるほど人気の湯です。

1998年(平成10年)4月の営業開始以来、町活性化の拠点として町民に健康増進の場を提供するとともに、観光、レクリェーションの振興や交流人口の増加・促進による町の活性化に寄与してきました。

(左から)江戸川区の斉藤 猛区長、塙町の宮田 秀利町長(災害時における相互応援に関する協定を締結式のようす)
江面氏

塙町は、東京23区の練馬区、葛飾区と江戸川区と「災害時における相互援助に関する協定書」を締結している関係で、各区内での知名度も高くなり、観光を目的に宿泊されている方が増えているのが最近の傾向です。

春の新緑、夏の涼風、秋の紅葉や冬の満点の星座・・・

ホテルあぶくま高原テラス内のお部屋

――ホテルあぶくま高原テラスでの施設の楽しみ方と魅力を教えてください。

江面氏

中山間地域の自然豊かな地域で、春の新緑、夏の涼風、秋の紅葉や冬の満点の星座と四季折々の自然、大きな露天風呂、ゆっくり宿泊できるお部屋もご用意していますので、落ち着いた雰囲気の中で宿泊が出来ます。

次に健康増進施設では、2種類のサウナも充実。一つは、遠赤外線低温サウナで、もう一つは高温サウナがございます。昨今のサウナブームも反映し、若い女性の宿泊客様がサウナと温泉に入り、ゆっくりと個室で過ごされる方が増えている点が最近の魅力です。

「美肌の湯」に魅せられて多くの方が訪れる

「美肌の湯」として有名なホテルあぶくま高原テラス

――地元の温泉についてもう少し解説をお願いしたいのですが。

江面氏

施設開設当時は、湯岐温泉(ゆじまたおんせん)を利用してきました。この温泉の歴史は古く、室町時代の1534年(天文3年)から鹿が湯で傷を癒している様子を見て発見され、その後、湯治場として長く利用されてきました。歴史上の人物も湯治に訪れ、徳川斉昭※の腹心として活躍した藤田 東湖※(ふじた とうこ) が中風の療養で病を治したと伝えられており、毎年多くの利用者が湯治に訪れます。

徳川斉昭(とくがわ なりあき)
藤田東湖(ふじた とうこ)

※徳川斉昭・・・江戸時代後期の大名。御三家のひとつ、常陸国水戸藩の第9代藩主。江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜の実父。
※藤田 東湖・・・徳川斉昭の腹心。尊王の絶対化を図ったほか、各人が積極的に天下国家の大事に主体的に関与することを求め、吉田松陰らに代表される尊王攘夷派の思想的な基盤を築く。東湖の息子・小四郎が筑波山で「天狗党の乱」を起こす。

日本三大「美肌の湯」に匹敵するほどの温泉が誕生

屋内での入浴施設
江面氏

しかし東日本大震災で温泉の湯が止まり、震災同年に新たに温泉を掘り、「奥久慈塙温泉」を開湯。成分はほぼ湯岐温泉と同様で、pH9.8を越えます。これほどの美肌の湯は、栃木県の喜連川温泉に匹敵するほどの成分です。後に説明する施設内にあるオートキャンプ場にも多くの方がいらっしゃる理由の一つにこの「美肌の湯」に魅せられてのことだと思います。

地元塙町産ブランド牛「はなわ牛」は、柔らかい肉質と豊かな風味

舌鼓を打つ!! 絶品の「はなわ牛」

――施設の中のグルメはいかがでしょうか。

江面氏

地元塙町産ブランド牛「はなわ牛」は、豊かな自然環境で育てられた高品質な黒毛和牛で、柔らかい肉質と豊かな風味が特徴で、地元の特産品として人気を集めています。

2024年から本格的にお食事の提供に「はなわ牛」を利用。思ったより早くリピーターが増えており、大変好評です。

塙町ではダリアの花が特産品で、ホテルあぶくま高原テラスが管理し、併設している「ダリア園」では、8~10月末の3ヶ月の間に期間限定で開園していますが、ダリアの球根や花びらを使ったダリア会席も準備しております。

「ダリア園」では約300種類、5,000株が華麗に咲き誇る

8~10月末の3ヶ月間では華麗に咲き誇る

――塙町の観光地も教えてください。

江面氏

今、申し上げたダリア園。シーズンでは大輪系、ポンポン系、変わり咲き系、駐輪系など約300種類5,000株のダリアが華麗に咲き誇ります。ダリアは、塙町の有力な特産品で、町の各所でダリアの花を見ることができます。

そのキッカケは、2001年(平成13年)、「うつくしま未来博」にダリア園を出展し、塙町は見事「優秀賞」を受賞。その後、観光用の町おこしとしてダリア栽培に本格的に着手し、以後、塙町からは多くのダリアが各地に出荷されているのです。

「上渋井ハス園」は、7月から9月が見ごろに

「上渋井ハス園」
江面氏

次は、塙町上渋井の「上渋井ハス園」。ハスの見頃は7月から9月で地元有志による遊休田を活用したハス園です。ハスは、早朝からゆっくりと花が開き始め、午後には閉じてしまうそうです。

4,000本のツツジが咲く風呂山公園

風呂山公園
江面氏

さらには町の中心地にある風呂山公園。4,000本のツツジが咲き誇る「福島遺産百景」に認定された名所です。ちょうどゴールデンウィークに見ごろを迎えますので、この時期には多くの観光客が塙町を訪れます。この風呂山公園のツツジの見ごろが終わると今度は、ホテルあぶくま高原テラス周辺の山ツツジが美しく咲きます。

紅葉とのコントラストが美しい那倉川渓谷

紅葉のシーズンになると多くの観光客が訪れる那倉川渓谷
江面氏

また、那倉川渓谷は、阿武隈山地を源流として県道27号線に沿って流れ、30~40名で構成する地元ボランティアの「もみじを育てる会」により、多くの紅葉を植林し、管理もされています。今では紅葉の名所として知られ、秋になると真っ赤な渓谷美を楽しめ、秋祭りも開催しています。四季折々でさまざまな景観を楽しめますが、特に紅葉のシーズンになると県内外から多くの方が訪れます。

道の駅はなわでは塙町の物産が満載

道の駅はなわ
江面氏

今、申し上げました通り、塙町は自然を利用した観光地が多いです。また、物産も多く、「道の駅はなわ」では、地酒、お菓子、ダリアの染め物などを展示・販売中です。今、首都圏を中心に、道の駅はなわでPR・集客も展開中で、季節によりさまざまなイベントも開催しております。

関連HP: http://www.michinoeki-hanawa.jp/
住所: 福島県東白川郡塙町塙桜木町388-1

「塙流灯花火大会」

知られざる歴史的名代官・寺西封元

名代官として今、業績が伝えられる寺西封元

――歴史的名所はどこかありますでしょうか。

吉成 知温氏(以下、吉成氏)

塙町は幕府直轄の天領でしたので代官所が置かれ、今でも代官所跡が残っています。江戸時代後期には寺西封元が代官として赴任し、貧しい農民に米を施すなどの名代官としての足跡も有名です。

陸奥代官塙陣屋跡地

※寺西封元・・・塙代官時代に人口増加や農村振興などの施策を行う。他国から幼児、女性を迎え、嫁取り、婿取りのために結婚資金の貸し付けを実施したことについて関心を寄せた、時代小説家・土橋 章宏氏が封元の業績を称え、『縁結び代官 寺西封元 (角川文庫)』を執筆。土橋氏は、封元について「民のために人生を捧げた名代官」と評し、史実や逸話を取り混ぜながら、塙代官時代の封元の政策を高く評価した。

『縁結び代官 寺西封元 (角川文庫)』
吉成氏

また、幕末には外国人を排斥する攘夷思想が起こりますが、決起した水戸天狗党の中に200名を指揮する田中愿蔵がおり、愿蔵は塙の代官所で捕らわれ、処刑されます。水戸の方々は、愿蔵を偲び、現在、刑場跡の石碑は「道の駅はなわ天領の郷」駐車場内にありますが、水戸市の方々も多く訪れています。塙町と茨城県北部の交流が盛んであったようで、その名残としては、なまりが似通っています。

――地元の観光協会との連携は。

吉成氏

塙町観光協会は一般社団法人で運営しており、各種イベントを開催しています。特に、ダリアは、塙町の花で、町中一色にダリア祭りを開き、ダリアのブーケづくりの教室などを塙町観光協会とともに、運営させていただいています。

キャンプ場の利用者も倍増し、温泉と共に楽しむ

キャンプ場の利用者もファミリー層が多いという

――次にキャンプ場についても教えてください。

江面氏

コロナ後はキャンプブームで新たに利用者が増えています。昨年の実績が210%でほぼ倍増で利用者層もファミリー層がメインです。ご家族で温泉も合わせてキャンプを楽しまれています。自然の中での楽しみ方が想像以上に増えています。中には温泉を3回入られる方もいます。

2024年秋から増えているのが個人がオートバイでキャンプ場に来るようなフリーキャンパーと呼ばれている方々です。フリーサイトのキャンプ場がフリーキャンパーで満室になっています。

――インバウンド層ではいかがですか。

江面氏

元々福島空港から遠く、インバウンド観光スポットではあまり縁がない地域でした。2024年秋には、施設内に併設されているグラウンド・ゴルフ場の利用者が昨対比1.5倍増と人気になっているとリリースしました。マスコミ数社が取り上げ、それを見た旅行会社から連絡があり、施設の内容を説明しました。その後、タイの観光客30名前後が福島県のいろんな観光地を楽しみながら、2泊するにはちょうどいい施設と評価されました。

初の団体のインバウンドのお客様でしたが、このケースをさらに広げいろんな国の観光客に豊かな自然のある湯遊ランドはなわを楽しんでいただければと思います。

サウナで疲れを癒やせる点が評価され、ビジネス客も増加

サウナで仕事での疲れを癒やす

――お客様の層はいかがですか。

江面氏

オープン以来、高齢者の方にご愛顧された施設ですが、コロナ禍以後、ファミリー層の宿泊が増えてきています。お子さん向けの施設の役割として取組む必要性を感じています。

これまでビジネス向けにプランを作成してきましたが、街から離れた中山間地域に位置しているため、ビジネス向けの集客には苦労してきました。最近、自然の中でサウナに入りながら、疲れを癒やせる点をアピールし、温泉にもゆっくり浸かり仕事の疲れが取れる方も増えているということで、ビジネスのお客様も最近では増えてきています。

インバウンドではないのですが、塙町周辺の工場に視察される外国人や出張する方が増えてきています。

ペットと泊まれる宿泊地としてもアピール

――今後、強化していきたい点はどちらにありますか。

江面氏

ホテルあぶくま高原テラスの離れには、大きい特別和洋室があり、ワンちゃんと一緒に泊まれる部屋を企画中です。ペットはご家族と同様な存在でありつつも、ご一緒に泊まれる部屋が少ないのが実情です。これまでも、「ペットと一緒に泊まれる部屋はありませんか」とのお問い合わせも多くありましたので、ドックラン付で一部屋をつくり、ペットと泊まれるホテルあぶくま高原テラスとアピールしていきたいです。

日帰り施設では、温泉やサウナなどで、特に若い女性の方にご利用いただいております。健康増進施設「健回炉」やゆっくりお休みできる有料個室もあり、1日ごゆっくり過ごせる施設としてもアピールしていきたいです。また、軽食コーナーは半年以上従業員の人手不足で対応できなかったのですが、2025年5月から軽食コーナーを再オープンし、食事も日帰りでも楽しめるようになっていますので、日帰りでの楽しみ方もPRしていきたいです。

――宿泊業での人手不足もあり、今後、採用についても前向きとうかがっていますが。

江面氏

宿泊業全体で人手不足が続き、特に厨房での料理人が不足していることもあり、2024年10月以降、一時期予約を制限せざるを得ない状況がありました。今後とも料理部門での採用が難しいことは各宿泊施設に共通した悩みです。

ただ、業務委託をしている事業主がお部屋やお風呂の清掃、軽食の提供など多方面でご協力をいただいていることは大変にありがたいことです。いろいろと難しいことはありますが、経営を楽しみながら業務委託の方とともにパートナーシップを築いていきたいです。

ただ、厨房関係のリクルートについては、温泉も入りながら料理もつくれる環境ですので、ご希望される方がいらっしゃれば、前向きに是非ご検討をお願いしたいところです。

ランナーズインフォメーション研究所から「三角形の道」として認定

週末には「三角形の道」をバイクや電動自転車で走る人も増えてきている
吉成氏

塙町では、自転車を活用した街づくりを進め、ホテルあぶくま高原テラスには中山間地域でも50~70kmで走れる電動自転車を7台配備しています。一日レンタル500円という格安のお値段でご利用でき、力を入れなくとも、電動自転車で地域周辺を走れます。

ランナーズインフォメーション研究所(高橋 尚子所長)はホテルあぶくま高原テラスをスタート地点とし、塙町をゆったり周遊できる一周25kmのサイクリングコースを「三角形の道」として認定をいただきました。

吉成氏

お休みの日にはこの「三角形の道」を走るため、ロードバイクのお客様が茨城県からもいらっしゃいますのでスポーツ施設としてもご利用できるとも考えています。

ホテルあぶくま高原テラスのダリア園の隣接場所に農地を整備し、自家製野菜をお客様にご提供いたします。これから夏を迎えますので、夏野菜のミニトマト、ヤングコーン、ズッキーニ、オクラとさまざまなお野菜を栽培しつつ、お客様に楽しんでいただく予定です。また、ハーブも考えていまして、フレッシュなハーブティーのご提供も予定しています。

ホテルあぶくま高原テラス玄関口(湯遊ランドはなわ)

施設概要

施設名「ホテルあぶくま高原テラス」(湯遊ランドはなわ)
住所〒963-5533 福島県東白川郡塙町大字湯岐字立石21
TEL0247-43-3000
公式HPhttps://yuyu-land.com/
公式Xhttps://x.com/yuyuland3
公式Instagramhttps://www.instagram.com/yuyulandhanawa/
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