24兆円という巨大マーケットで450万店舗あるEC業界は、あらゆる産業に比べて成長を続ける大きな市場となり、雇用を生んでいる一方で競争が激しい市場となっています。
楽天市場やAmazonなど巨大モールも成長していく中で各ショップの競争も激化。そんな中、各ショップをマーケティングや売り方の戦略で支援する企業に注目が集まっています。
2008年にはEC支援事業を展開し、累計2,000社以上の支援実績を持つ株式会社ワンプルーフ(平山和泉社長が創業)、Eモール系ECサイトでの企業向けECコンサルティングに強みを持ち、地方自治体のふるさと納税のポータルサイトのコンサルタント事業も推進しています。
2024年10月には、課題に合わせて選べるプロフェッショナルのEC人材に気軽に相談できるEC人材マッチングサービス「EC WITH」を立ち上げ注目を集めています。
今回はワンプルーフの平山和泉社長にお話しをうかがいました。

株式会社ワンプルーフ
代表取締役 平山 和泉
高校時代にオンラインショップを立ち上げ

――株式会社ワンプルーフ様の会社概要からお願いします。

当社はECソリューション事業を展開し、Eコマースを実施されている企業が必要とするリソースをすべて提供する事業を行っています。主に依頼が多いのは、ECサイト運用業務でプロフェッショナルが担うことで重宝していただいています。
――いつ頃からこのビジネスの可能性に気が付き、創立はいつ頃だったのでしょうか。



当社は2008年創立し、今期で17期目にあたります。私は1998年には高校時代を過ごし、掲示板やオンラインショップを立ち上げ、2001年ごろにはインターネットを活用した商売販売をスタートしました。
家具や食器・雑貨の販売を、商店を営む家族や親せきに協力してもらい、オンラインショップで販売を手掛けていました。このころ、ちょうど楽天市場も誕生した時代で、オンラインショップの可能性に夢を躍らせていました。
私は福岡県に住んでたので、地方にいてもいろんなものが購入できる世界は、面白いと興味を強く抱き、ECサイトは多くの方に必要だと考えていた時代です。
巨大ECモールの集客力をうまく活用すべき


――今、百花繚乱なEコマース業界ですが、どのようにご覧になられていますか。



リアルの世界では街の個人店と大手ショッピングモールに加入されている店舗に分かれています。これはEコマース業界も同様で、独自のドメインを取得し運営され、一方、大手のECモールに加盟されているショップに分割しています。
独自ドメインのショップが1に対して、大手のECモールはその3倍ほど流通規模があり、圧倒的な集客力を持ち、ECモールはさらに伸びていくと予測しています。一方で、独自ドメインのショップではモールが行っている「集客」を独自でやる必要があるため、集客費用が掛かるということです。
ちなみに楽天市場とAmazonでは客層が異なり、Amazonは目的買い男性ユーザーが半数以上を、楽天市場は女性の衝動買いユーザーが半数を占めていると言われています。
たとえば、食べ物を商材としていた際、「美味しそう」だと衝動的に思わせるビジュアル等を使いPRする事で楽天市場ユーザーに向けた施策を打ち、売り上げを伸ばせる事があります。これは衝動買い女性ユーザーが多く利用しているモールなので、「美味しそう」、「楽天ランキングに入ってるなら良いものだろう」と衝動的な購入に繋げる事ができるケースが多いからです。



一方で、型番が決まっているパソコンを販売したい際は、お買い物に目的を持ってこられるお客様が多いAmazonでの販売が望ましいのです。このように巨大ECモールである楽天市場とAmazonではお客様の属性がまったく異なるのです。
そこでECモールごとのお客様の属性をしっかりと把握しながら、売り方やロジックをそれぞれのショッピングモールでまったく異なる構造になっているため、その点をご理解されていくことが肝要です。そのため、今後、ECサイトでの販売では楽天市場やAmazonのようなECモールをうまく活用することは大切なポイントです。
――最近、注目しているECサイトは何かございますか。



メルカリShops(ショップス)です。メルカリを利用するユーザーがシームレスにメルカリショップスで購入するため、流通も伸びており、ブランド公式店等も出店し、今後盛り上がっていくかと思います。
弊社でもメルカリShopsへの出店についてはクライアントから希望がある場合、支援をしておりますが、今出店を検討している企業が増えています。このようにジャンルやマーケットを特化したECモールはこれから台頭する可能性があります。
これからのテーマでは越境ECが注目点です。アメリカ人が日本のものを購入するケースもあります。たとえば、日本限定でのアイドルのグッズ、時計、フィギュア、アニメグッズなどを購入している事例が増え、趣味やホビー関係の商品の越境ECはまだまだ伸びていくと予想しています。
モールのロジックを最大限に分析し、提案へ
――これまでECサイト業界について網羅的にお話いただきました。そういう中で御社としてはどのようなEC支援事業を手掛けているのでしょうか。



ショッピングモールの運用が中心です。特に楽天市場とAmazonが二大ECモールですが、Amazonでは過去12ヶ月にAmazonで5,000円以上の購入履歴があること等の条件をクリアすれば、購入していない、どの商品に対してもレビューを書くことが可能です。それ以外に、返品率やキャンセル率等、Amazonが定めた条件で出品された商品に対する露出を調整しているため、ロジックやユーザーに対する利便性等についての理解や対策が重要となってきます。
一方で、楽天市場は徹底的にレビューが重要である価値観を軸として持っているため、実際に自分が買った商品にしかレビューは書けません。
楽天市場は、ルールに厳しく、ショップ側がルールを守る事や偽物商品を徹底的に排除する事を続けているため、衝動的にお買い物をできるプラットフォームとして、エンドユーザーからの信用を持っています。しかし、一方でショップ側からすると、このルールに応じるために、大量の手数がかかる業務があるため、出店各社では、担当者を採用して、ショップを運営していますが、コストも時間もかかっています。
当社は、クライアント企業からの委託を受けて楽天市場で100店舗以上、毎月運用業務をさせて頂いています。広告、セールなどの業務も含め、当社に運営一切を業務委託することがコストパフォーマンスに優れているとの評価をいただいています。そのため、運営のプロフェッショナルやチームに委託した方がいい判断されるショップも増えているのです。
競合とどう戦うべきかの戦略も提起


――今、累計2,000社の支援実績があるとのことですが、ショップの属性を教えてください。



主にブランドをお持ちのメーカー企業が多いです。昔は小売業者が多かったのですが、仕入れてECモールで販売すると利益率が低く、昨今ではメーカーが直接販売に乗り出すケースが増え、当社への業務委託が増えました。
当社の顧客は、アパレルと家電、食品メーカーが多いです。たとえばコーヒーマシンメーカー、デロンギ・ジャパン株式会社様をご支援させていただいています。家電量販店でもよく見る商品で、楽天市場でも売れています。理由は、特に楽天市場では楽天ポイントもつき、また直販ならではのサービスもあります。そこでECモールで直販店から購入したいとの考えるお客様が増えているのです。
――こうした支援事業で御社ならではの優位性を教えていただきたいと思います。



創業から17年経ちますが、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)をかなり以前から導入し、楽天市場についての売上や販促状況を始め、独自システムでしか分からないデータを保有しています。
あらゆる商品にはほぼ競合が存在します。競合がどの販促を行い、売上高やその期間についても弊社で分析を行い、競合とどのように戦うべきかについて戦略を立案することが可能です。
ECサイト支援を行う会社でここまでRPAでのシステムを組んでいる企業は存在しないと自負しております。楽天市場が公式に認定している支援会社として、当社は登録されており、Yahoo!ショッピングでもコマースパートナーとして認定を受けています。ECモール特化型で支援事業を展開している企業は少ないです。
開発と売り方の戦略の二人三脚で売上をアップ


――お客様の声ではどのような評価がありますか。



ECサイトでの販売の強化では、やはり商品力が重要です。どんなに素晴らしい売り方やマーケティングをしても、商品力は、より重要なファクターです。そこでクライアント企業である各メーカーには商品開発に集中して頂けるような体制を提案しています。
メーカー企業は、リアル店舗での販売や卸販売などなどさまざまな販売ルートがあります。それぞれに販売予測を計画されてるケースが大半です。
一方で、弊社がご支援させて頂く楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazonにおける販売予測を弊社で行うケースが多く、競合調査を含め、クライアント企業側で販売を強化したい商品と販売予測、広告などの販促活動を、しっかり連携していきます。
当社からの提案によって、本来卸販売に多くを割り当てていた商品も、EC店舗用に割り当てを調整して頂き、結果、EC店舗での売上が費用対効果よく実績を出す事ができたケースもあります。このように、クライアント企業側における商品力や在庫調整、MDなど「商品」にまつわる部分を強化頂く事は、とても大切です。



逆に当社は売り方の部分について注力します。楽天市場はお買い物マラソンなど、ほぼ毎日のように各種セールがあるので、「このタイミングでこの広告を出すと売上が最大化します」などの細かい売上の戦略などを当社で立案し、お客様に許可を取り、許可が得られれば実行します。
お客様からは年間の予算について事前に教わっており、それらを踏まえて提案いたします。商品と売り方の両輪がうまく回っていくと伸びますし、またずっと回り続けていく会社がクライアントとして残っていただいています。10年以上もクライアント契約を継続的に結んでいる企業もございます。
クライアント企業で働く方々も、その企業の商品やブランドが好きで入社された方が多く売り方だけには拘りたい、という方はあまり聞いた事がなく、上記にお伝えした両輪を回す事が大事であると役割分担でプロジェクトを推進していく事が大事だと考えています。
ただし、上記はメーカー企業におけるケースで、売上の大半をECサイト経由で作っているEC事業者は、自らで売り方、マーケティング、クリエイティブ専門部隊を持ち、運営されてるケースが多いかと思います。
売り方は流動的でいつまでもトレンドを追っていかなければなりませんから、このノウハウやナレッジを社内の一部門だけで追い続ける作業は、かなり厳しく、競合、同業他社の情報、ショッピングモール全体の動向など、あらゆる情報収集のために弊社のような支援会社をプロジェクトに入れて運営しているケースも増えてきました。
ECスキル人材と企業をマッチングするサービスを開始





こちらはEコマースのスキルを持った方がご自身のスキルを出品できるマーケットプレイスです。Eコマースのサイトは24時間稼働していますので、一つでも多くの施策を行うと、売上が上がることが実態としては起きます。ですから施策を打ち続けると売上も伸びますが社員がこれを行うことはあまり現実的ではなく、プロフェッショナル人材にお任せすればスムーズに進みます。
企業側からの視点では、「こういうことをやって下さい」と気軽に相談できる場所が「EC WITH」です。今、さまざまな領域のプロフェッショナル人材を集めているところです。
当社が17年間、お仕事を進めている中で、プロフェッショナル人材でチームをつくり、ご協力いただいていますが、毎回仕事があるとは限りません。



当社は得意分野を持つプロフェッショナル人材とのつながりが約200名いて、その方々にEC WITHに出品をしていただき、安定的に仕事を受注できるマーケットプレイスを構築し、出品を促しています。その方々とは常にお仕事を提供しているわけではありませんが、必要な時に必要なお仕事を提供している関係です。
EC人材の「ココナラ」を目指しています。運営母体の当社が業務を理解し、当社ではアシスタンスディレクターという職種があり、そのメンバーができる業務を、EC WITHに出品することもあり、当社は出品側です。
サービスは開始したばかりですのでワーカーを集めている段階です。現在、100人ほどおりますがもう少し集めたいです。サイトもリニューアルし、もう少し気軽に相談できるシステムとし、発注者がもっと発注しやすくしこれから出品者と発注者双方のパイを獲得していく方針です。


安泰ではないECサイト業界 大手も倒産した事例も


――EC WITHを開始された背景を教えてください。



ECサイト業界を見ますと、以前、ショップ・オブ・ザ・イヤーを獲得されたショップが倒産されるケースなど、EC事業者は薄利である事が多いのも実態で、弊社はEC業界は、EC事業者が一番儲かるべきで、そういった業界にしていきたいと思っています。。EC事業者は、人口減少と同時に事業者の淘汰も始まっていくという危機感を抱いています。
当社としては、事業者の利益率向上に一役買いたいとの思いがあります。事業者は、EC WITHに相談し、プロフェッショナル人材を見つけたら、気軽に相談し、発注してすぐ仕事してもらえれば、新たな施策も打てますし、一つの案件ごとでの支払いですから固定費になることはありません。必要な時に必要な施策を打てれば、利益にも貢献できます。EC事業者であれば、率直に使用された方がいいと思っています。
ふるさと納税で地方自治体と連携協定を締結


――次に、地方自治体対象・個人版ふるさと納税運営支援も展開されています。その点についてはいかがですか。



もともと、ふるさと納税のポータルサイトでのシェア1位が楽天市場です。ふるさと納税で出品されている地方自治体のアカウントも楽天市場で出品されている民間企業とまったく同じロジックで運営されています。
当社が楽天市場でのノウハウを持っている点を地方自治体が関心を寄せていただき、「まず楽天市場でのふるさと納税のポータルサイトを伸ばして欲しい」と要請があり、今、20地方自治体とご一緒にポータルサイトの運営をしています。
ふるさと納税の寄付者の半数は関東地方在住で、細かくいえばその多くは首都圏に集中しています。寄付者の属性を分析しなければマーケティングはできません。当社は東京都にオフィスを構え、幸いにどのような方が何を欲しているかの分析やマーケットの感度も高いのです。
たとえば連携協定を締結させていただいている鹿児島県長島町はブリ『鰤王-ぶりおう-』は、日本一の生産量を誇っています。弊社側で、ユーザー属性、商品が属するマーケットサイズ等を分析し、誰がどのような商品を欲しているかのマーケティング結果を、長島町にフィードバックし、商品開発などに活かしていただいています。このような事例もあり、当社を活用して良かったと評価される事例だと思っています。


――今後の方針は。



ECマーケティングは、東京で行うべきです。一方、物流や倉庫、製造拠点などはコストもかかるので、EC事業こそ地方で行うことで利益を確保できます。地方で、「こういう商品を売ったら面白いのでは」とさまざまなアイディアが浮かぶことでしょう。
そこでEC WITHのサービスを活用し、プロフェッショナル人材に相談をしてもらえると、今後、収益の柱になりうる事業へと成長する可能性もありますので、EC WITHで是非お気軽にご相談して欲しいです。
会社概要
会社名 | 株式会社ワンプルーフ |
本社所在地 | 東京都新宿区西新宿4-15-7 パシフィックマークス新宿パークサイド5F |
TEL | 03-6383-4412 |
FAX | 03-6383-4413 |
代表者 | (代表取締役) 平山 和泉 |
公式HP | https://www.one-proof.co.jp/ |
関連サイト | EC WITH: https://ec-with.jp/ |
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