【大阪府・アートリフォーム】関東への進出とM&A展開を強化し、業界の先頭集団企業を目指す

(左から)アートリフォームの営業部関西ブロックエリアマネージャー兼神戸HDC支店長の小林 翔太氏、人事・広報室室長の成田 武史氏

全国でリフォーム・リノベーション工事を累計15万件以上手がける株式会社アートリフォーム(大本哲也社長)はこのほど、全社総会「Artサミッツ」を開催し、ミッション・ビジョンの達成や今期の売上高100億円の達成を目指すことを明らかにしました。

アートリフォームは本来、西日本に強い商圏を持っていますが、最近では関東地方への進出を強化するとともに、2017年から事業継承M&Aを本格展開。2025年4月時点では、地域密着型のグループ会社は7社となり、グループ全体の売上高は約120億円に達し、従業員規模は約400名近くなりました。伸長が著しいことでリフォーム業界では、アートリフォームの次の戦略に注目が集まっています。

リフォーム業界の先頭集団企業を目指すアートリフォームの人事・広報室室長の成田 武史氏と営業部関西ブロックエリアマネージャー兼神戸HDC支店長の小林 翔太氏に話をうかがいました。

株式会社アートリフォーム 

左)営業部関西ブロックエリアマネージャー兼神戸HDC支店長の小林 翔太氏

右)人事・広報室室長の成田 武史氏

目次

リモデルやリノベーションの領域が得意分野

リモデルやリノベーションなど大規模工事の提案に一日の長

――株式会社アートリフォーム様の会社概要からご紹介お願いします。

成田 武史氏(以下、成田氏)

当社は1952年に畳屋として創業し、リフォーム会社としては1985年に設立。従業員は約300名の規模で、前期の決算ベースでは売上高約86億円です。商圏は関西、関東、東海、九州、中四国の各地方に30店舗を構え、リフォーム工事を展開しています。2017年以降、事業承継型M&Aを推進し、地域密着型のグループ会社は7社あり、グループ会社同士との連携を深めているところです。

――リフォーム会社は色々とありますが、他社との差別化が重要と存じますがその点いかがですか。

成田氏

リフォームと一口に申しますが、分類は様々です。当社は、リペア(修理)、リフレッシュ(単品交換)、リモデル(全体交換)、リノベーション(全面改装)の4つのカテゴリーに分類しています。水回りのリフォームを行う会社は、この分類のうちリペアとリフレッシュを担い、会社数も多いです。

それに対して当社は、リモデルやリノベーションの分野を得意とし、BtoBとBtoCの両方を担っています。BtoBでは中古住宅を購入されたお客様を大手不動産会社からご紹介され、リフォームの設計や施工内容を提案いたします。BtoCでは、自社ホームページや総合不動産ポータルサイトなどの内容を充実し、最近では専門家によるリフォームイベントのほか、お子さん向けのワークショップも展開、潜在的なリフォーム需要を獲得しています。

設計・施工を含めてオーダーメードでリフォームを進めていく上で、お客様が望まれる暮らし方をヒアリングし、望まれる住宅にリフォーム・リノベーションしていくのが当社の強みです。

アートリフォームが主催するリフォーム相談会のもよう

今期の売上高は100億円達成目指す

――御社では2025年2月にミッション・ビジョンの達成、今期の売上高100億円の達成を目指し、5つの方針を掲げることの発表がありました。

成田氏

当社は、「暮らしにアートリフォームを。人生にアートリフォームを。」というミッション、「業界の先頭集団へ」というビジョンを掲げています。ミッションでは、次の三つがございます。①我々がリフォーム企業を代表する企業として、あらゆる場所でサービスを展開し、住まいの困り事や願い事を何でも相談できる企業②従業員やお客様に関わる全ての人に豊かな暮らしと人生を提供する企業③リフォームというサービスをもっと魅力的なものに変えていく、リフォームという業界をもっと魅力的なものに変えていく、業界の当たり前を変え、社会全体の住環境のあり方を前進させていく企業の3点を示しています。

――このミッションを掲げている理由を教えてください。

成田氏

いろんな業界にはリーディングカンパニーがあります。たとえば、新築で住宅を購入するとなれば、有名なハウスメーカーの具体的な社名が浮かびます。しかし、リフォームやリノベーション領域では誰もが知る企業はありません。お客様からしてもリフォーム・リノベーションを頼むにしてもどこに依頼すればよいか分からないのが実情です。それは圧倒的に負の状態であり、そのリノベーション業界を変えることがミッションを掲げる理由です。

業界のペースメーカーとなり、けん引・変革の役割を果たす

――次に、ビジョンについてはどのようなことをお考えですか。

成田氏

無名の会社が今申し上げた内容を提唱しても業界は変わりません。そこで当社が業界の先頭集団企業として、名乗り出ることとしました。これが当社のビジョンに当たります。ただしこれは1社では実現しません。当社が情報発信をすることで、業界の基準やレベルを高め、業界のペースメーカーの立ち位置を担い、けん引・変革の役割を果たしていきたいです。

――ミッション達成ではどのようなことをお考えですか。

成田氏

当社では、2024年~2026年の3カ年計画を策定しています。2026年には当社単体で売上高120億円達成を目指し、年間20億円成長できる基盤づくりに取組んでいます。2025年度では売上高100億円の達成を目指しているところです。そこで、2025年は社内体制強化に向けて、「【急】生産性」「予実管理」「競争優位性」「現場力」「グループ間連携」の5つの方針のもと展開します。

――この5つの方針をより具体的にご説明していただけますか。

成田氏

「【急】生産性」では、3年間で大卒初任給120%アップを実現し、今後も組織、ルール、システム変更等を刷新していくことで、生産性の向上に取組みます。今期からの新たなテーマ「予実管理」では、予算と実績の乖離を可能な限り減らし、信頼性の高い企業運営体制を構築します。

「競争優位性」では、2024年20組のお客様にインタビューを実施し、当社を選んだ理由をうかがいました。2025年はその内容をより具体的な施策に落とし込む方針です。「現場力」では、リフォーム工事の平均単価も直近5年で倍以上になり、工事内容の複雑性も増しています。現場力の向上を目指し、メンバーへの教育体制や現場管理体制の充実を図っていきます。最後の「グループ間連携」では当社グループは当社を含めると8社で構成していますが、それぞれの得意領域を活かせる体制を作り出し、シナジー効果を生み出し、生産性、収益性の向上を目的とし、グループ間の連携を深める方針です。

全社総会「Artサミッツ」の席上で2030年に向けてどのような企業を目指すのかを確認

――今、お話しされたミッションを推進するために、同業他社との連携は行っていますか。

成田氏

当社はニッカホーム株式会社、株式会社ランリグ、株式会社ナサホーム、株式会社オリバーと連携し、株式会社センリョクを結成しました。リフォーム業界をより良い業界にしていくためのネットワーク構築が目的です。

全国住宅リフォーム取扱主任者の講座が始動

――具体的にはどのような活動をされていますか。

成田氏

リフォーム事業立上げ支援、業界の専門知識を体系的に学べる教育プログラムを提供し、その中の「全国リフォーム取扱主任者認定講座」では、実務に必要な知識を体系的に習得できます。全国リフォーム取扱主任者認定講座はリフォームの専門紙「リフォーム産業新聞社」とコラボレーションを結び、普及促進につとめています。ゆくゆくは多くの方に同講座を受講して欲しいと願っています。

新築からリフォームへと顧客の意識が変わる

リフォームの依頼金額は年々増加傾向

――話は変わりますが、2019年以降の中古住宅購入時のリフォーム意向の変化に関する調査を実施されましたがどのような結果でしたか。

小林 翔太氏(以下、小林氏)

中古住宅購入者のリフォーム依頼金額についての変遷を直近5年間の数字を追いました。直近5年間では500万円以上の工事件数は3.1倍。1,000万円以上の工事は約7倍と依頼金額は年々増えている結果です。

結果的にはリフォーム・リノベーション工事は年々上昇傾向にあり、昨今、リノベーションの依頼件数は大変増えております。以前であれば中古住宅を購入し、一部のみ修繕されるお客様が多かったのです。最近では、リフォーム・リノベーションの大規模工事への傾向が強まっている点が特徴です。

今、理想の立地での新築マンションはなかなか建設できない状況になっています。そこですでにあるマンションを立地面で選択され、理想の間取りとするリノベーションを施す方が増えてきているのが現場としての感覚です。

コロナ前とコロナ後では人々の価値観が大きく変わりました。お住まいの面ではいいものに対してはお金を惜しまないスタンスへと変化。コロナ前では安いものはいいものだという考え方は多かったのですが、いい暮らし方を実現するためには出費は惜しまないという思考へと転換しました。

コロナ後はご自宅で過ごす時間が増えたことが大きな契機になり、ご自宅への関心の感度が高まりました。当社もご自宅への価値提供を図り、提案内容の実力も上がっているところから、当社を選ばれているお客様が増えているのです。

顧客満足度も大事な指標として表彰。毎年顧客満足度も高まり続けているという

――コロナ後はよりご自宅で快適に過ごしたいとの思いが強くなっているのでしょうか。

小林氏

コロナ後ではよりご自宅を快適にカスタマイズしたいとの思いが強くなりました。そこで、中古住宅購入時のリフォーム工事の大型化が続き、特に近年1,000万円以上のリノベーション工事は大幅に増加。コロナ前は年間十数件だったものが、24年度に関しては100件を超えるまでに成長しました。建築資材の高騰などによる新築離れも影響していると推察していますが、中古住宅を購入し、リノベーションを検討される方が確実に増えています。

――資材も高騰していますが、大工職人の確保できない実情があり、それが工期の遅れをもたらしているケースもあるとうかがいますが、御社ではいかがですか。

小林氏

大工不足のひっ迫はまったくないわけではありません。ただし、当社の場合は協力会社とはいい関係を築いていますので、当社から離れることはなく、いい職人は当社の工事にご協力していただいています。

常に職人は当社と一緒にやりたいという応募が来ていますので、当社の理念に共感される職人とともにいいチームを結成しています。ただ、職人の年齢層は高齢化していますので、常に新たな方を求めなければなりません。

――人材採用についてはいかがですか。今は空前の売り手市場で、中には新卒の初任給では驚く金額を提示されている企業もあるようですが。

成田氏

人の採用は確保できていますが、これからは、難しくなる可能性があります。住宅業界自体がいいイメージを持たれていないこともあり、仕事がハードという受け止める方もおります。実際、厳しい面もありますが、当社は離職率も少なく、社員の皆さんは残って奮闘されていますので、魅力的な業界とのメッセージを打ち出していきたいです。

若い方に選ばれるような環境を整備することが肝要で、先ほど申し上げた、業界を魅力的に変えていくというミッションを具現化していかなければなりません。そのためにはリフォーム業界の未来を示すことが肝要で、リフォーム業界で働くと幸せになれることをしっかりと打ち出しながら、人材の確保をしていきたいです。

大学生全体で建築業界を目指す学生は全体で0.5%との結果のアンケートがありました。これでは少なすぎます。リフォーム業界はもっと成長していく業界ですから、魅力をしっかりと伝えることで人材も集めたいです。

M&Aを展開し、グループ内の連携強化へ

アートリフォームのグループ内の体制

――今後の方針について。

成田氏

先ほど話しました通り、ミッション・ビジョンに基づいて動いていきます。2030年にはグループ全体での売上高300憶円、従業員1,000名を目指し、新事業の立上げ、グループ会社との協業強化、新規事業を推進していきます。

やはりミッション・ビジョンを実現していくためには会社の規模感は重要で、都市部ではアートリフォームのブランドで進めていきますが、地方部についてはグループ会社と連携しながら、展開していきたい。

リフォーム業界は1995年ごろに創設した会社が多く、今、経営者が60~70代がメイン層でちょうど代替わりに入っているのです。しかし、諸般の事情で後継者不在の会社も多くあり、調べてみますと優良企業も一定数あります。会社を畳むにはあまりにも惜しく、事業承継を当社が担い、有力なリフォーム会社としてグループ化していきたいと考えています。

また、商圏でこれから注力していきたいエリアは首都圏です。当社も西日本を中心とする企業のイメージでは業界の先頭集団といえませんから、首都圏での顧客の拡大をすすめていきます。今、首都圏の売上は二十数憶円ですが、これを5年間で3倍へと伸ばしていきたいです。

会社概要

会社名株式会社アートリフォーム
所在地大阪府吹田市千里万博公園6-3
設立1985年11月(創業:1952年)
代表者代表取締役社長 大本 哲也
事業内容住空間を中心としたリフォーム・リノベーションの提案・設計・施工
公式HPhttps://www.artreform.com/
関連サイト株式会社センリョク: https://1000ryoku.jp/
全国リフォーム取扱主任者認定講座: https://reform-shuninsya.com/
グループ会社株式会社遊:https://www.planning-you.com/
浜野電化株式会社:https://www.reform-hamano.com/
兵庫新装サッシ株式会社:https://www.h-sinso.com/
株式会社さかえ畳:https://sakaetatami.jp/
株式会社日積工業:https://www.nisseki.net/
株式会社オカケン:https://www.okaken.cc/
株式会社匠和美建:https://showabiken.co.jp/
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