保険や証券などの金融商品を販売しない中立な立場から、個人や法人のマネー相談、記事執筆、コンテンツ監修、セミナー研修講師など幅広くお金に関する業務を行うFPサテライト株式会社。
様々な経歴をもつ経験豊かなファイナンシャルプランナー(FP)がお客様の相談にあずかり、現在、約25名のFP資格者が所属。消費者にとって中立中正な立場で業務を行い、金融商品を販売しないFP事務所としては最大級の所属人数です。
年々上がる教育費、以前話題に上がった老後2000万円問題もこの物価高の時代ではさらに上がり、一部では老後には3000~4000万円が必要との説も。とても年金だけでは心細いという声が上がっています。そこで資産形成の重要性が示されています。
ここ最近、政府はNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)など、投資での税制優遇制度を創設。若い方の投資意欲も老後の不安もあることから、活発になっています。
今回は、『よくばりに気分よく生きたい私たちに都合のいい お金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング発行)の著書であるFPサテライトの町田 萌社長に「日本人の金融リテラシー向上」をテーマに話をうかがいました。

FPサテライト株式会社
代表取締役 町田 萌
誠実さを感じる金融商品を販売しない姿勢

――FPサテライト株式会社さまの概要からお願いします。

金融商品の販売を一切行わないFP事務所です。個人のお客様からご相談を受けて報酬をいただくほか、マネーの記事やコンテンツの制作監修、企業の自社社員向けのマネー研修、一般向けのマネーセミナー講師も行なっています。また、中小企業庁から認定された経営革新等支援機関として事業者様向けの財務を中心とした経営コンサルティング事業も展開しています。
――金融商品の販売を行わないスタンスを取っている理由は。



個人のお客様と利益相反が発生してしまうからです。たとえばFPが保険会社と代理店契約を結び、お客様に保険商品を販売すると、手数料がもらえます。そうすると手数料の良い保険商品を勧誘してしまう可能性もあるでしょう。
また、保険会社からノルマを課せられる点もあります。保険会社の中にお客様に合う保険商品がなくともノルマのため、販売せざるを得ないこともあるかもしれません。そうなると100%お客様により沿った提案が出来ない場面が出てきてしまうのです。そこで当社では創業当初から金融商品の販売を一切しないスタンスを貫いています。


意外!? FPの資格取得者の約9割は企業に所属している企業内FPだった
――たとえば、昨今のNISAですが、証券会社からは高すぎる手数料のアクティブファンドを推奨することもあると思うのですが。



一般的に証券会社は投資信託や株式を売った時点がキャッシュポイントになります。NISAは長期保有が推奨されますが、証券会社のスタンスでは、お客様が売り買いを頻繁にされる方が手数料は入りますから、証券マンがお客様に、「ここで利益を確定しましょう」と連絡することがあると聞きます。しかしこれは、利益相反につながってしまいます。
――NISAの長期保有というのは大きなポイントだと思うのですが。



NISAの「つみたて投資枠」は10~20年の長期スパンで積立てて保有するのを前提に制度設計がなされています。NISAの一部を利益確定することは悪いことではありませんが、ファンドなどの金融商品を頻繁にNISAの中で売り買いするのは、制度趣旨から外れてしまいます。
――FPの資格取得や起業への想いについて。



もう15年くらい前になりますが、FPとして働いてみたいと思ったのが始まりでした。最初はお金の知識を使って問題解決する点に魅力を感じました。大学進学後、FPの資格取得とともにFPでキャリアを積む道を探していました。しかし、新卒はいうまでもなく、中途でもFPを採用する企業がほぼないのです。保険会社や証券会社に入社することは可能ですが、それではFPで得た「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業承継」の6分野すべての知識を活かすことができません。
独立を決意したのが20歳でした。独立を目指す中で、FPになりたいけれどなれない、FPの資格を持っているけれど、活かすことのできない思いを持たれている方もたくさんいらっしゃいました。そこで自分がFPのプレイヤーとして第一線で行動するよりも、経営側に回りFPの方が働く環境を整備する方がFP業界にとって望ましいと考え、今この立場におります。


――FP専門の採用がほぼないというのは、多くの資格者が金融関係の企業に属されているのですか。



銀行、証券会社、保険会社などの金融機関に勤め、仕事上、上司などからFPの資格取得を勧められ、資格を取得されるケースが多くあります。FPと名乗っていたとしても実際は金融商品の販売が本業です。この方々を企業内FPといいますが、すべてのFP資格保有者のうち企業系FPが9割を占めるといわれています。たとえぱ保険代理店勤務の方がFP資格を取得するとフィーが上がるケースもありますので、代理店では販売要員として資格者の方に来て欲しいというお考えがあるようです。
ただ、本来のFPの仕事はお客様のライフプランを描く点にありますので金融商品の販売として利用されるのは本筋から離れてしまっているのではないかと思います。
NISAは資産運用のキッカケになる


――NISAについてどう考えですか。



専門家から見て旧NISAと比較し、使いやすい制度となりました。善し悪しの議論がありますが一般の方が資産運用をするキッカケに一躍買っているのでNISA制度の創設の意義は大きいと思います。
特に若い方が将来のライフプランのためにNISAを活用しようと考える方も増えてきています。先日、中高一貫校で講師として登壇しましたが、たまたま中学生の方もいらして、「資産運用はやったほうがいいのでしょうか」という質問が出ました。それほど世の中へ資産運用が浸透しつつあるのだと感じています。私も中学生から資産運用について聞かれるとは思っていませんでしたので、非常に驚きました。
資産形成の王道は、「長期・分散・積立」
――年金そのものは今の制度を維持するのは難しいですが、なくならないとは思うのです。これから老後の生活設計では、年金+NISAと思うのですがいかがでしょうか。



本業があり少しずつ積み立てていく投資手法は考え方の一つです。長く続けられる仕事をするなどキャリア面でのアプローチもあります。
投資にフォーカスして言えば、100%正しいとは申しませんが「長期・分散・積立」が資産形成の王道と言われています。サラリーマンやOLの方が日々、デイトレードのような売買を行うのではなく、淡々とこの王道に沿ったファンドを積立てることは堅実な投資手法といえるでしょう。
注目して欲しいのはご自身が応援できる業種、会社などが含まれているファンドや個別株です。ファンドの価格が多少下落しても、「この業界は今後期待でき、ファンドの価格も期待できる」と応援のお気持ちでファンドなどの金融商品を購入すると、長期で保有しやすくなります。いろいろと調べて好感が持てる業種や会社に投資するのもいい投資方法だと考えています。
先ほど申し上げたNISAのつみたて投資枠にご自身が関心を持たれた企業の株式が組み込まれているかも調べてみれば、より銘柄を深く知る一助になります。
――2022年4月から高校で金融教育が必修化されましたがこれについては。



実は金融教育という独立した科目があるのではなく、家庭科の中で教えられています。私の妹が家庭科の教師をつとめており、まさに今、高校の3学期に金融教育を教えています。ただ、妹が大学で専攻していた分野は栄養学でまったくの畑違いです。
文部科学省が定めている「高等学校学習指導要領」があり、この要領に沿って表面的な内容だけ教えざるを得ないのが実態だと聞いています。
私が先日、都内の私立中学校でメンターを行なった際は、ジェンダー教育の一環で伺いましたが、仕事内容に関する話の中でマネーの話もしました。正直、ジェンダー教育や金融教育に関する危機感は学校によって異なります。それでも金融教育の機運は高まりつつあり、東京都でも金融教育の講師を派遣する事業が施行され、当社も講師派遣団体として登録しています。
何よりも正しい行動をすることで人生が変わる


――日本人の金融リテラシーについてのご認識は。



リテラシーの有無は二極化していると感じます。今、金融リテラシー向上というと金融知識をつければいいという風潮がありますが、これに対して危機感を抱いています。情報もいろいろと飛び交っていて、若いうちからどの情報が正しく自分に合っているかの取捨選択する能力が必要です。
――さらには行動が必要ですが、これについては。



マネーリテラシーの上での行動を申し上げますと、まず知識を習得する行動自体は良いことですが、単なる金融知識を得るための情報ではなく、その情報の内容を精査することが肝要です。具体的には、例えばその情報はどのような属性の方が発信されているかなど情報の根源を調べていくことが重要です。その上で自分が置かれている環境と照らし合わせ、その情報が合う、合わないをチェックして行動に移していくべきです。私が呼びかけているのは、正しい行動をしましょうということに尽きるのです。
経済的自由を達成するために84のSTEPを提示


――『よくばりに気分よく生きたい私たちに都合のいい お金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング発行)で込められたメッセージは。



本書に込められたメッセージは巻末に記しました。私はFPや経営者として多くの方と出会ってきました。その中には、若くてシングルマザーでありつつもパワフルでご自身のやりたいことを実現されている方もおります。逆に生活に漠然な不安を抱えている女性もおりました。
この両者の違いでは能力的なものではなかったのです。大きな点は、行動したかどうかです。同書では経済的自由を実現するためのプロセスを84のSTEPとして解説。一つのSTEPは決して難しいことではなく、一つずつ実践することで経済的自由を達成できるような本に構成しています。
本書を読まれた方に対しては、「人生の選択肢を増やして欲しい」「行動して欲しい」の2点を目的として筆を執りました。前向きに行動し、幸福になる方がもっと増えて欲しいと願っています。
会社概要
社名 | FPサテライト株式会社(英名:FPSatellite Inc.) |
住所 | 〒104-0032 東京都中央区八丁堀4-10-1 甲東ビル9F |
TEL | 03-6386-0216 |
代表者 | 代表取締役 町田 萌 |
公式HP | https://fpsatellite.co.jp/ |
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