【東京・ムジャキフーズ】業務委託による店舗開業支援「トラスト方式」で64店舗の繁盛店ネットワークを実現

インタビューに応じた株式会社ムジャキフーズの田代 敬祐取締役副社長

株式会社ムジャキフーズ(田代隼朗社長)は、腕と情熱を持った料理人(チャレンジャー)と業務委託契約を結ぶトラスト方式による店舗展開をスタートして以来、20周年を迎えました。トラスト方式は、「一等地」「職人」「商人」の3要素を組み合わせ、人材にフォーカスした店舗展開システム。この方式により、一等地での低リスク開業と高い自由度を実現、2018年には新規性と独自性が評価され、日本サービス大賞の「農林水産大臣賞」を受賞しました。2025年2月現在では、64店舗を運営しています。

「今後は、個人を中心としながらも、小企業にもチャンスを提供する方針です。郊外で勢いのある企業にも、当社が保有する一等地を活用していただきたい。これにより、個人への信頼がさらに高まり、より多くの可能性を広げられると確信しています」と新たな新規事業に情熱を燃やす田代敬祐取締役副社長に話をうかがいました。

株式会社ムジャキフーズ

田代 敬祐取締役副社長

目次

店主・クルーの力を最大限に発揮する、「やりたいからやる」の精神

「従業員第一主義」の哲学を語る田代 敬祐取締役副社長

――株式会社ムジャキフーズさまの会社概要と歴史はどのようなものでしたか。

田代 敬祐氏

ムジャキフーズの設立が1997年(平成9年)で、設立10年前に田代隼朗社長が不動産事業で起業しました。お客様の中で飲食店(ラーメン・中華業態を展開されている)を営んでいる方と出会いました。

当社でそのラーメン屋に従業員を修業に出し、1988年(昭和63年)頃に不動産事業を展開しながらも大衆中華のラーメン屋を1店舗出店し、それが軌道に乗ったため、次々と店を5店舗ほどチェーン展開いたします。

ある日、お客さまからAとB店舗は、「何故味が違うの?」と指摘を受け、田代社長は料理人ではありませんから、店長に味の違いを聞くと、逆に店長から「社長は料理人じゃないのだから、料理についてあれこれいわないでくれ。料理についてはオレたちに任せてくれ」と反論されたのです。社長は、半ば半分諦め覚悟で「だったら好きにしてみろ」としたところ、あれよあれよと売上が急成長したのです。

当社の経営哲学には、「従業員第一主義」があります。やらされてやるのではなく、やりたいからやるという従業員の気持ちを第一にする哲学です。この店長はレシピを自分なりに改良し、ラーメンの味を決めていて、それが好評でした。

上からの漫然とした指示に店長が従うのではなく、ご自身がやりたいようにやらせてあげることで最大限の力を発揮します。これに気が付いたことは大きく、後のビジネスモデルである「トラスト方式」への発展に繋がっていきます。

自主性が新たなメニュー開発などを生み出す

店主との信頼醸成に余念のない田代副社長

――仕事に自主性があればやる気が生み出されるのでしょうか。

田代副社長

店主が「やりたいようにやる」ということが大事であり、この方式で店を運営することで売上を上げてきた歴史があります。そうすると店主も、「今までにないメニューを開発してみるか」、あるいは店名も自分の名前を入れたいと考えるようになりますから、
トラスト方式によって、店主のやりたいことを具現化できるメリットを生かし、飲食店の店舗展開をしています。

――「トラスト方式」でのビジネスモデルはどのような内容ですか。

田代副社長

当社では所有している物件のことを「箱」と呼んでいるのですが、トラスト方式で独立したいと思う方に「箱」を用意。独立するには費用がとてもかかります。費用はご自身で努力されて用意するか、銀行に事業計画書を策定し、融資をお願いする方法がありますが、いずれもそのハードルが高い。本当に能力があって世に出るべき人でも、そのハードルを越えきれずに、独立を断念されている方はとても多い。

その費用を当社が出します。また、単に独立ではなく当社と業務委託契約を結んでいただきます。これからの未来に向け、業務委託契約を新たなワークスタイル(働き方)、独立の手段として広めていきたい。

個人に特化し、独立希望の人材に焦点を当てる

トラスト方式の図

――トラスト方式という業務委託による店舗展開についてはいかがですか。

田代副社長

人に特化して、独立したいという方に焦点を当てて、その人に投資をし、店舗展開していくシステムです。店舗経営の成功要素は、「一等地(資金力)」「職人(技術力)」「商人(経営力)」の3つをコラボレートすることで繁盛店が生まれます。独立希望者をサポートすることを通じて、ムジャキフーズと信頼関係を作り、店舗のパフォーマンスと収益を最大化する仕組みです。

――店も当初のラーメン屋から多様な広がりがありますが、この理由はどこにあったのでしょうか。

田代副社長

トラスト方式を開始した際には、ラーメン店の経営のみだったため、新しい物件があったとしても、独立希望業態はラーメンのみでした。

ただ、田代社長は飲食店やラーメン屋をやりたいわけではなかったのです。ある日、田代社長は、近所の寿司屋の板前さんに、「今、トラスト方式でビジネスをやっているのだけれど、この技術を使い出店して自分で店をやってみる気はないか」と誘ったところ出来たのが、お寿司屋でした。大きな狙いとしては世に埋もれている料理人に光をあて、店舗を出店し、一国一城の主にしたいというビジネスモデルがあったのです。その結果、天ぷら屋、焼き鳥屋、定食屋、沖縄料理、洋食屋、フランス料理屋と多業態のお店を出店していきました。

ムジャキフーズは決してラーメン屋ではなく、業務委託を中心としたトラスト方式による店舗展開がグラウンドデザインにあり、店が増えています。今年の2025年で28年目を迎え、2月時点で64店舗まで進出しています。

――業務委託された店舗からはどのように本社に対して収益を上げていますか。

田代副社長

フランチャイズ(FC)方式ではさまざまな形式がありますが、一般的には売上の何%をおさめるロイヤリティー形式があります。当社の契約期間は1~10年あり、ご自身で損益計算書を作成し、その際固定して当社の利益となる本部費を決め、そこで年間の当社の利益が確定します。企画書を作成し、本部に申請することで、出店の精査が始まります。企画書は、目標とする売上高、経費、ご自身の取り分、本部に対する利益をまとめ、申請します。

毎日、店舗が得た売上を次の日に当社指定の銀行に入金していただきます。一ヶ月で本部の管理部が経費を計算し、家賃、水道光熱費、リース料などいろいろな経費をお金で清算し、報酬を翌月25日に店主の口座に振り込みます。その経費の一部に本部費があります。

田代社長の驚異的な一等地を見つける能力

日々、田代副社長は店に足を運び、コミュニケーションを深める

――田代社長は独自のデータや長年の経験と感覚に基づいて一等地の不動産の立地を見つけられていますが、どのように見つけられていますか。

田代副社長

田代社長は物件や土地を見つける能力が突出しています。物件を見つけたら、流動人口、属性を調べ、その店で何席ほど取れるのか、あるいは近隣ではどのような施設が存在するのかなどデータの積み重ねより分析をしていき物件の取得に動いています。

不動産仲介会社とのネットワークもあり、これから世に出る物件情報を入手、または店舗調査に空き物件を見つけたり、飲食店仲間からの人脈で、空き物件の情報を入手しています。

――それでもコロナの時は大変だったと思いますが、どのように乗り切りましたか。

田代副社長

コロナ禍では足踏みをせざるを得ない環境が続きましたが、2024~2025年の年末年始の売上ではコロナの影響はありません。これから、自分の店を持ちたいという方を多く見つける一方、田代社長は物件をどんどん発掘していきたいという気持ちを強く抱いていますので、物件取得を日々考えています。

繁盛店をつくるには人材の発掘が重要

――物件の次には繁盛店の店主の育成が課題になりますが。

田代副社長

田代社長は常々申しておりますが人は教育して変わるものではないと考えています。だから世に出すべき料理人を発掘することが肝要と考えています。育成ではなくサポートと捉え、調理の仕方やサービスの手法に意見をするのではなく、お客様としてその店がどうなのかという意見を収集し、店主に提案する「お客様のプロであれ」と従業員に指導しております。

従業員はお店側に対してはお客様としてどう感じるかをお店側に素直で率直に伝え、具体的な提案をしています。それが店主に対して我々のサポートだと教えています。

――物件や人材の発掘などにより、繁盛店が次々と生まれていますが、繁盛店をつくるノウハウのようなものはありますでしょうか。

田代副社長

ビジネスする側からすると、我々が所有している物件をどう活かすかと考えています。「お店をやりたい」と手を上げられた方に対して、どのようなご経歴の持ち主かをリサーチ・分析した上でどこの「箱」がこの方にマッチするか、この方がどのような売り方をすれば、この「箱」を最大限に活かすことができるかを本部で議論し、検討します。

仮に渋谷で「箱」があれば、希望者に対しては、「あなたが提案しているメニュー構成についてこのメニューも追加したら、もっとよくなると思う。それは従来のこのデータでも明らかです」と具体的な提案を行うのです。当社はただ、「箱」を敷金・礼金、月々の家賃をもらい漫然と貸すのではなく、緻密な提案により、その人の能力をさらに活かすことで、繁盛店が生まれていっています。

田代副社長

つまり物件を当社で取得した後、「箱」を店主に、「あなたが好きなように店を運営してください」と突き放すのではありません。「この店でお食事をしたい」というお客様の気持ちと「この店で料理をつくりたい」という料理人の気持ちを活かし具現化することで、魅力的な「箱」をつくることが当社の役割と教えています。

世間でいう一等地だけではなく、二等地も「箱」のつくりかたで一等地化できます。物件は場所だけではなく、どうその物件をリメイクするかが当社の使命です。

――力を入れたいエリアは。

田代副社長

まずは東京23区をドミナント方式で固めたい。

――また、「店タク」というプラットフォームがあるようですが。

田代副社長

これは、「お店を開きたい人」と「お店を利用していいよという人」を繋げるプラットフォーム「店タク」ですね。世の中にはそういう方は多くいるだろうと思い、業務委託という契約形態のもと、うまくお店を託す人とお店を開きたい人をマッチングする場がこれから絶対に必要になるだろうと考えました。この先、ムジャキフーズのトラスト方式が発展していくとともに、「店タク」も合わせて伸長し、二大ビジネスへと展開できれば望ましい。

20年目を迎え、個人から小企業にもトラスト方式を導入目指す

お店の店主と堅い信頼関係で結ばれている

――今後の方針については。

田代副社長

魅力ある内外装を我々で施し、一等地だけにとらわれず、いろんな物件を取得し、一人でも多くの「情熱と腕のある料理人」が活躍できる場所をつくって行くことに、投資をしていきたい。これまでは駅前で流動人口の多い場所を一等地としてきましたが、二等地も一等地化させ、光があたる人材を発掘していきたい。

当社の「箱」に店主がチャレンジして、店が繁盛した先には、地域の活性化や街づくりの一助とすることが大きな経営方針です。今は飲食店での展開ですが、街づくりでは飲食店以外の店や業態が必要になるはずです。そのため、飲食店以外にも業態を増やしていくことも検討しています。

――今のお話での大きなポイントである、飲食店以外の業態やお店も検討されているとのことですが、どのようなお店が事例に上がりますか。

田代副社長

今は全くの検討段階ですが、美容施設、ネイル、整体、動物病院などが浮上しています。たとえば自由が丘で当社が進出しているのは15店舗ほどございますが、すべて飲食店です。接客も料理内容も看板もすべて違いますので、うまく共存しています。飲食店の他にも業態を広げていくことで、トラスト方式による街づくりができると確信しています。

2018年に日本サービス大賞の農林水産大臣賞を受賞

――今回、新たに個人を中心としながらも、小企業にもチャンスを提供する方針を示されましたが。

田代副社長

当社が不動産を営んでいた企業で、2~3店舗を出店していた時のことです。ある方から田代社長に、「物件があるけれどお店をやってみない?」といわれた際、二つ返事で応じました。その手法で店を拡大していった経緯があり、当社の原型が築き上げていきました。

店をやりたくても物件を見つけられない、または都心の一等地に出店する費用がないというお悩みを持つ企業など、力があっても発揮が出来ない法人の方にも目を向けてサポートするのが今回の新たな動きです。

ムジャキフーズの本社のある恵比寿ガーデンプレイスタワー

会社概要

社名株式会社ムジャキフーズ
本社所在地〒150-6016 東京都渋谷区恵比寿四丁目20-3恵比寿ガーデンプレイスタワー16階
TEL03-5793-5651
事業内容繁盛店店主の輩出・育成、業務委託による店舗展開、トラスト方式によるコンサルティング、コミュニティサイト「店タク」の運営
公式HPhttps://www.mujaki-foods.com/
トラナビ公式(トラスト方式解説)HPhttps://trust-navi.com/
公式Facebookhttps://www.facebook.com/mujakifoodsrecruit/
株式会社ムジャキフーズ 採用公式Instagramhttps://www.instagram.com/mujakifoods_recruit/

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