約337㎢と広大なエリアの群馬県・嬬恋村(つまごいむら)は周囲に浅間山、本白根山、草津白根山など高名な山々に囲まれ、温泉文化が発展している村です。
中でも「万座温泉」「鹿沢温泉」などが有名で多くの首都圏からの観光客で賑わっています。
嬬恋村といえばキャベツが一大産地として有名です。
さらには、あのジョン・レノン夫妻が訪れた「鬼押出し園」から見る絶景は多くの方に感動を与えてきたことでしょう。
今回は、一般社団法人嬬恋村観光協会の事務局長である三ツ野 元貴さんにお話しをうかがいました。

多様な温泉に恵まれ、観光客でにぎわう嬬恋村

──嬬恋村は多様な温泉に恵まれた地域とうかがっています。

嬬恋村は、豊富な源泉・多様な泉質と評価され、異なる性質をもった多くの温泉が湧く村として知られています。温泉地も複数あるので、一つずつ説明します。
一番有名なのは「万座温泉」。日本一の硫黄濃度と言われ、戦国時代に突入した西暦1500年あたりに入湯の記録があるとされる温泉で、群馬県5大温泉の一つです。
※群馬県の5大温泉地・・・万座温泉・草津温泉・伊香保温泉・四万温泉・みなかみ18湯。



標高1,800mの高地に位置する高所温泉です。
硫黄濃度が高く、殺菌作用・血行促進作用、肌表面や毛穴の汚れを落とし、古い角質を取り除くクレンジング効果があるといわれており、湯治(とうじ)※のお客様で賑わっていました。
※湯治・・・温泉地に長く滞在して、病気を治し、体調を整えることを指す。







万座温泉は白く濁った温泉、各宿泊施設では露天風呂も用意。日中の空や夜の星空も美しいです。初夏では新緑も深く、秋には紅葉の広がりを見せ、真白な冬は一面銀世界と四季折々に楽しみがある温泉地でもあるんです。





また、群馬県は、新たなリフレッシュ方法の「リトリート」※を特に推しています。万座温泉は、リトリートの地として力を入れていきたいですね。
※リトリート・・・住み慣れた土地を離れ、仕事や人間関係で疲れた心や体を、数日間に渡り別の土地で過ごす。観光目的の旅行と異なり、日常を忘れてリフレッシュすることが狙い。群馬県では、3泊4日という余裕のある時間をしっかりとり、自分と向き合い、心と体の変化を感じられるような過ごし方を提案している。


鹿沢温泉や嬬恋バラギ温泉も好評


──万座温泉以外の温泉を教えてください。



次は「鹿沢温泉」を紹介します。
万座温泉よりも古く、1000年以上前から開湯したとも言われています。温泉名は、鹿が傷を温泉で癒しているところを発見したことが由来です。
万座温泉は白根山系の温泉であるのに対して、鹿沢温泉は吾妻川をはさんだ浅間山系の温泉で、ミネラルが豊富な炭酸水素塩泉です。
神経痛、筋肉痛、疲労、婦人病、胃腸病、冷え性、皮膚病、打撲、便秘、美肌などに効能があるといわれています。
広大な嬬恋村のイメージとは裏腹に、鹿沢エリアは山と川が魅力の静かな温泉地です。新緑、紅葉、雪景色と四季折々の自然に癒されます。
その分、お肌に張りや潤いを与えるような美肌の温泉地と言われ、国民保養温泉地※に指定されています。
※国民保養温泉地・・・温泉の公共的利用増進のため、温泉利用の効果が十分期待され、かつ、健全な保養地として活用される温泉地を「温泉法」に基づき、環境大臣が指定するもの。1954年から指定が始まった。2022年10月では、全国で79箇所が指定されている。(引用:環境省)
https://www.env.go.jp/nature/onsen/area/





ほかにも単純温泉である「嬬恋バラギ温泉」も非常におススメです。こちらは四阿山(あずまやさん)から湧き出る温泉です。
万座温泉、鹿沢温泉と嬬恋バラギ温泉に浸ると、日本百名山※のうち三つの山から湧き出る温泉に入れることも魅力の一つです。
※日本百名山・・・小説家の深田久弥氏が多くの山を踏破した本人の経験から、「品格・歴史・個性」を兼ね備え、原則として標高1500m以上の山という基準を設け、選定した。



嬬恋バラギ温泉は、神経痛、関節痛、慢性消化器病に効能があるといわれています。
スキー場「パルコール嬬恋リゾート」には、サウナ付きの温泉大浴場「四阿山の湯」があります。





話は変わりますが、アスクル株式会社はオフィス・現場の通販として有名で、その中でも高級感が高い飲料水「LOHACO Water(ロハコウォーター)」が好評です。
これは四阿山を採水地とし、大手航空会社の機内食に添えられるお水です。





嬬恋村には、13の温泉地があります。効能が異なる温泉地に浸ることにより、相乗効果が高いといわれているエリアです。


魅力満載!山々のアクティビティ体験


──温泉地だけでも嬬恋村は十分楽しめますね。次に観光地としてはいかがでしょうか。



嬬恋村は、山のアクティビティ観光も楽しめます。日本百名山に選ばれている山が3つあり、他にもバラエティーに富んだ山々に囲まれています。
嬬恋村は群馬県の一番西側に位置し、真東以外はすべて山です。初心者から上級者まで楽しめる山が魅力的です。
「ぐんま県境稜線トレイル」※は、みなかみ町の谷川岳から嬬恋まで歩くロングトレイルを楽しめます。嬬恋村の移住者の中には、いろんな山に登っている人もいます。


※ぐんま県境稜線トレイル・・・群馬県と新潟県・長野県の県境に位置する稜線は100km に渡ってつながっており、国内最長の稜線ロングトレイルを楽しむことができる。ロングトレイルとは、登山道やハイキング道、林道、古道などをつなぎ合わせた距離の長い自然歩道。宿泊しながら、土地の自然や文化、地域の人とのふれあいなどを行う。
あのジョン・レノン夫妻も訪れた「鬼押出し園」


──嬬恋村にとって山は大きな観光資源ですね。



1783年(天明3年)の浅間山の噴火によって生まれた、圧巻の溶岩アート群「鬼押出し園」は、あのジョン・レノン夫妻も訪れました。





浅間山が目の前にある迫力と、溶岩でできた地形の面白さ。さらに遠くでは、谷川連峰やアルプスのふもとまで山々を望めます。眼下には国立公園の大自然が広がっているのです。
ワンちゃんと一緒にキャンプができる「浅間山キャンプ場」


──浅間山といえば、ふもとにキャンプ場がオープンされたそうですね。



鬼押しハイウェー沿いに新たなキャンプ場が誕生しました。それが「浅間山キャンプ場」です。
眼前に浅間山がそびえ立っており、浅間山から近い施設です。とんがり屋根でマシュマロのような外観の「ジオルームグランピング」も併設。手ぶらでもキャンプができます。ワンちゃんも一緒にお越しいただくことも可能です。
嬬恋村の一番のいいところは広大な自然。ぜひ、「浅間山キャンプ場」でお泊まりいただいて、翌日は「浅間高原シャクナゲ園」「鬼押出し園」などの施設でペットと歩きながら過ごせるスポットに出かけるのもオススメです。
ミールキットを用意され、ホテル仕様のシャワーやお湯が出る屋内調理場から見る、上質なセルフサービスは、初心者キャンパーやキャンプデビューに相応しいキャンプ場といえます。
夏に訪れて欲しい小串鉱山跡


──最近、注力されている観光地も教えてください。



最近のトピックスでは小串鉱山跡があり、ここは景観に優れている場所です。群馬県と長野県の県境にある毛無峠(1,823m)の南東斜面に位置した硫黄鉱山でした。1971年(昭和46年)に閉山するまで硫黄を採掘し、最盛期は採掘量全国2位だったのです。その間、標高1,600mの山中に小中学校を備える鉱山町が成立、最盛期は約2,000人が住んでいました。
小串鉱山跡は、普段は立ち入りが出来ないですが、トレッキングイベントなどで特別に見学できます。イベントを開催する際は、嬬恋村観光協会のHPでお知らせいたします。
毛無峠にも硫黄鉱山で利用していた古い鉄塔が残り、ノスタルジックな雰囲気を味わえる場所として人気のスポットで、ほかでは味わえない体験もできます。
冬季は閉鎖されますので是非夏に毛無峠におこしください。
ちなみに、毛無峠は、群馬県と長野県の県境に位置し、「この先 危険につき関係者以外立入禁止」「群馬県」の看板が有名でつい最近、看板はリニューアルされました。新しい看板にもかかわらず、雰囲気を壊さないように古く装った新品を取り付けました。
人気トラッキングやハイキングのスポットとなっています。ちなみに、看板は標高1,823mの峠の上にあります。





こうした秘境を楽しんだ後には温泉を楽しめ、ゆっくりのんびりと過ごせるとてもいい観光地です。
おもちゃ王国と併設されたホテルも


──嬬恋村のエリアも広いのですがどのような宿泊施設がありますか。



嬬恋村は、「万座温泉」「バラギ高原」「鹿沢温泉」「浅間高原」の各エリアには、温泉浴場も備えたホテルや旅館もあります。
変わった視点では、「軽井沢おもちゃ王国」があり、ここには温泉付きの宿泊施設「ホテルグリーンプラザ軽井沢」も併設されています。ここは「ウエルカムベビー」※にも認定される快適な部屋で、キッズや赤ちゃんをお迎えいたします。
※ウエルカムベビー・・・施設、設備・備品、食事、接客サービスなどの認定基準を満たし、赤ちゃん連れでも安心して快適に過ごせる宿泊施設を言う。



また、室内プールなどおしゃれなラウンジを備えた、リゾートホテルが充実しているホテル軽井沢もございます。
さらにコロナ禍で一時期自粛されていたと思うのですが、団体旅行、卒業旅行、2~3世帯での家族旅行向けの貸別荘やコテージも豊富にある地域ですね。
タレントのIKKO(イッコウ)さんが近くに別荘を所有していた関係で、芸能界でもIKKOさんが差し入れしていたという浅間ミートのホルモンが人気です。
そこで貸別荘やコテージでは、ホルモンのバーベキューを楽しむ旅行形態が多いです。
今年の夏は全国的に特に暑いのですが、嬬恋村では涼しい環境、そして冬には大雪原が広がり、おしゃれな宿泊施設では暖炉があり、ワンちゃんと一緒に楽しめるお宿が増えています。
お客様の中には「暖炉の前で暖まるワンちゃんを撮りたい」「大雪原で走り回るワンちゃんの姿を撮影したい」という方も多く、そのニーズに応えた宿泊施設も多くなっています。
嬬恋村だけでも大小約200の宿泊施設があるのですが、バラエティーに富んでいる点が大きな特徴です。
これから力を入れたいのが、働き方も多様化していく中での「ワーケーション」※「多拠点生活」※の場としての嬬恋村です。
※ワ―ケーション・・・「WORK(仕事)」と「VACATION(休暇)」を組み合わせた造語。休暇先で仕事(リモートワーク)を行うことを指す。リモートワークでは、オフィス以外の自宅やカフェなどを利用して仕事をするが、ワーケーションは旅行先や帰省先で仕事をするという違いがある。
※多拠点生活・・・2か所以上の拠点に住まいを持ち、それらを行き来するライフスタイルのこと。例えば、平日は仕事に便利な都心に住み、週末は田舎で趣味を満喫するような暮らしのことを指す。


ワ―ケーションの場としての嬬恋村
──ワ―ケーションという働き方でさまざまなアイディアが生まれるものと期待しているのですが、嬬恋村として何か取組みをされているのでしょうか。



地方創生の取組みの中で、移住支援のほか、ワ―ケーションを受け入れています。嬬恋村が主導してテレワークの拠点をつくっています。
敷地面積72万6000㎡の「浅間ハイランドパーク」別荘地内にある、ボウリング場を2021年にリノベーションしました。軽井沢と草津の中心に位置し、都会からのアクセスの良さとリゾートを兼ね備えたワーケーション施設「Asama Valley」が誕生しました。







誰でも使える貸しオフィスやシェアオフィスを別荘地の中央地に設定。村としては、ボウリング場に併設されたオフィススペースを整備したのです。ボウリングを楽しめる一方、会議もできるスペースとなっています。
また、万座温泉でもスキー場のレストランの一角を使用し、ワーケーションに適した施設としました。スキーやゲレンデで楽しんでいるお子さんを見ながら仕事もできます。
グリーンシーズンは、涼しい場所であり温泉を楽しみながら、仕事も快適に進むことでしょう。ネット環境はWi-Fiを完備し、スムーズに仕事ができるような施設としました。
通年で温泉、冬にはスキーを楽しむことで、多様な発想が生まれ業務の効率化もさらにアップすることが期待されます。
企業が地域課題解決テーマに嬬恋村でインターンシップ


──今、各地方自治体は企業の呼び込みに熱心ですがそのあたりはいかがですか。



嬬恋村は2023年に東京の企業を呼び込む試みとして、企業のインターンシップの場として選んでいただき、企業が学生とともに地域課題を解決する事業を行っています。
社員と学生がともに議論をしながらコミュニケーションを深める事例が少しずつ増えています。
ちなみにインターンシップは2025年度も引き続き行いますが、嬬恋村にいらっしゃる企業は、IT企業の中でも地域課題に熱心なお考えを持つ会社を予定しています。
夏秋キャベツが日本一の嬬恋村!シーズンでは直売所がオープン


──さて、話はグルメに移ります。嬬恋村と言えばキャベツが有名ですね。



キャベツは6月下旬から10月下旬までが出荷時期です。この時期になると、どの飲食店でもキャベツの千切りが並びます。
嬬恋村は夏秋(かしゅう)キャベツの産地として有名です。夏から秋のキャベツ出荷量が全国1位で、7⽉から10⽉末にかけて約1億5,000万個ものキャベツが嬬恋村で作られています。
嬬恋村はキャベツに醤油をかけるんです。甘いキャベツに醤油をかけて、さらに甘みが際立ちます。
村内各地で直売所がオープン。キャベツは品種が35種類ほどございます。品種により、キャベツではさまざまな特徴があり、美味しい食べ方もございますので、是非、直売所巡りでキャベツの味比べをされてはいかがでしょうか。
採れたてのキャベツはとても新鮮で、市場に出回らず直売所のみの品種もあり、味の違いも是非楽しんで欲しいですね。
このインタビューを受けているのが6月末で徐々にオープンしています。例年7月連休には全店舗がオープンされる予定です。


──直売所で何か変わった点はございますか。



「嬬恋村農産物等直売所あさまのいぶき」がリニューアルオープンしました。農産物等直売所では、嬬恋村のおいしい野菜や加工品などに限定し、販売しています。
併設している「食堂カフェ きゃべつごはん」では、直売所でも販売している嬬恋村の野菜をおいしく食べていただけるメニューを提供しています。
嬬恋村の地ビール・地サイダーに大きな注目が集まる


──地ビールの製造販売にも注力されている話も有名ですね。



今嬬恋村は、地ビール「嬬恋高原ビール」に力を入れ、麦・ホップや工場も含めてすべて嬬恋村で完結するようにしました。
百貨店「高島屋」や高級スーパーマーケット「成城石井」に販売されるほど高品質と評価が高いです。



お酒のつながりでいえば、輸入ワインの専門店が開設されました。東京・白金で販売会を開催するような輸入会社が嬬恋村を拠点に営業しています。
料理も野菜が豊富な地域です。イタリア料理の出店や、隣が長野県であるため嬬恋村も同様に美味しいお蕎麦が頂けます。
群馬県民の食文化として意外なのは、「海なし県」にもかかわらず、マグロ、お寿司、ウナギなどの魚料理も取り揃えています。海なし県だからこそ、本物の味を求めるのかもしれません。
また、群馬県は「かつ丼」文化が独自に発展し、村の中で「かつ丼」の食べ歩きを楽しまれる方もいます。
農家の奥様方が新会社を立ち上げ、直売所も運営


──嬬恋村はグルメの場所としてもいいですね。それでは特産品・お土産品はどのようなものがありますか。



嬬恋村の農家に嫁いだ奥様方が、ものづくりを通じて村を元気にするために「妻の手しごと」というブランドを立ち上げました。
日本一の生産量を誇る嬬恋村のキャベツを活用し、手間と時間を惜しまず製造した「嬬恋キャベツ酢」を販売しています。
嬬恋キャベツ酢の味は、キャベツ本来の香りや風味を感じることができる「プレーン」と紫キャベツを活用しポリフェノールが含まれた「パープル」です。
この他にも、キャベツ酢から生まれた地サイダーにも注目です。その名も「愛妻ダー」。夫婦の恋心があざやかに泡として弾けます。
この「妻の手しごと」から発展し、2023年には地域経済に寄与することを目的に、「株式会社むらおもひ」に名称を変更し、法人化。
農業が盛んな嬬恋村において重労働を伴う特産品のキャベツ栽培に携わる女性たちが協力し、キャベツの六次産業化という村の長年の課題に対し、女性ならではの視点で取り組むことで村に新たな企画や事業を創出されています。
ご飯のおともになるキャベツのつくだ煮の開発、先ほど説明した、嬬恋村農産物等直売所あさまのいぶきも株式会社むらおもひが運営しています。





特産品を活かしたキャベツ酢や愛妻ダーのほか、冬期も販売可能な加工品を新たに開発。観光客が手に取りやすいデザインのパッケージで固定化しつつあった往来の土産品のラインナップに新しい風を吹き込む契機をつくり、グッドデザインぐんまや優良ふるさと食品中央コンクールで優秀賞を受賞されています。
「妻の手しごと」というブランド化から始まった事業ですが、嬬恋村の奥様方の奮闘により、事業の幅が広がっています。
今、嬬恋村の魅力をさまざまな角度から情報発信されています。夏場は農業で忙しいのですが、冬場は、魅力を積極的に発信され、農業と観光業のとてもいいブリッジの事例になっています。
美しい村の名前は日本武尊と弟橘姫の伝説に由来


──嬬恋村は愛妻家の聖地と呼ばれています。また、これほど美しい地名はそうありません。改めて由来についてうかがいます。



九州を征伐した後、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)※は東征中に嵐に見舞われ、海の神の怒りを鎮めるために妻・弟橘姫(オトタチバナヒメ)※が荒れ狂う海に身を投じました。
※日本武尊・・・第12代景行天皇の皇子で、第14代仲哀天皇の父にあたる。熊襲征討・東国征討を行ったとされる日本古代史上の伝説的英雄。「鳥居峠」で嘆いた「吾妻はや」という言葉が元になり、この地方を「東(あずま)」と呼ぶようになったという地名起源説話が残っている。
※弟橘姫・・・『日本書紀』によれば日本武尊の妃。関東地方では弟橘姫に由来した神社・伝説が多数ある。



その東征の帰路、嬬恋村の鳥居峠に立つと、眼下に雲海が広がっていたのです。
その雲海と弟橘姫が海に身を投げた時の海と照らし合わせて、亡き妻を偲び「吾嬬者耶」(あずまはや)「ああ、わが妻よ、恋しい」と嘆かれたという伝説にちなみ、名づけました。
嬬恋村は吾妻郡に属していますが、これも日本武尊と弟橘姫伝説に由来しています。
そこで嬬恋村で別荘をお持ちの方々が名前の由来が面白いということで、「日本愛妻家協会」を嬬恋村で立ち上げ、「妻という最も身近な赤の他人を大切にする人が増えると、世界はもう少し豊かで平和になるのかもしれない」という理念で活動されています。



日本愛妻家協会は1月31日を「愛妻の日」と制定しており、本観光協会は、毎年、キャンペーンなどの取組みを展開しています。
嬬恋村も「愛妻の丘」をつくり、ここでキャベツ畑に向かって妻に対して愛を叫ぶイベント通称「キャベチュー」が例年開催されています。
嬬恋村としても、「妻との時間をつくる旅」というプロモーションを展開しています。
「地域おこし協力隊」を活用し、観光人材を増やす


──観光と周辺の地方創生についてはいかがですか。



嬬恋村観光協会は、観光や地域材人として、総務省の制度である「地域おこし協力隊」を上手く活用し、行政や村の課題に取り組んでいただいています。
私自身も地域おこし協力隊のOBです。嬬恋村観光協会に携わったOB・OGは11名ですが、うち9割が隣接の自治体も含めて、地域での起業、就職、業務委託契約の締結などで日々、嬬恋村や周辺での自治体も含めて関わっています。
今、農業は大規模化・集約化が進展し、従事者数は減少していますが、観光業でのお客様のニーズも大変多様化しているため、地域としてはより多くの雇用を生み出せると期待しています。
これから人口減少社会を迎えるにあたり、その課題解決の中で観光関係の皆さんに地域で経済活動をしていただくことは大変重要になりますし、そこでいい循環を生み出すことは観光業の役割です。
特に地域の魅力は自然環境が中心になってきますので、それを計画的に保護・育成していかなければなりませんので、そこで財源収入を観光業で生み出していきたいです。今、人材不足は日本中で叫ばれていますが、地方創生を生み出していくためにもしっかりとしたビジョンを打ち出し、キャッシュフローを生み出す先頭に立っていきたいです。
今、東京一極集中といわれていますが、東京で仕事をしながら嬬恋村で生活をしつつ二拠点生活をされる方が増えていますので嬬恋村のポテンシャルを感じながら、この地域の良さをアピールしたいです。
「2024年移住希望地ランキング」では群馬県がトップ


──移住者の動向はいかがですか。



NPOふるさと回帰支援センターが公表した「2024年移住希望地ランキング」で、群馬県が初の首位になりました。 年代別でみると、特に、20代から30代の若年層では2位以下を引き離しており、その人気は顕著。 40代から50代でも首位を獲得し、働き盛りのすべての年齢層の人気を獲得している点は大きいですね。
移住者への金銭的な支援は、子育て支援が充実しています。
お子さんが中学生までは医療・給食費が無料。もう少し小さいお子さんであれば保育料が無料と、支援は手厚いです。また、不妊治療などの助成金制度も充実しています。
「移住相談窓口」も強化しているので、嬬恋村への移住者は増えており、人口は自然増というところです。
嬬恋村をスマートシティに


──スマートシティにも取組んでおられますが。



嬬恋村は「観光・関係人口増加のための嬬恋スマートシティ」の取組みを開始しました。
2022年度夏の「Digi田甲子園」のコンテストでは、実装部門(町・村)内閣総理大臣賞で優勝しました。



都市OSを活用した観光スマートシティとして、観光客の人流やパネルアンケートなどのビッグデータを分析、集約します。
観光データはプッシュ通知で情報を提供し観光業を活性化し、防災システムとも連携する予定です。
これからは観光まちづくりの視点に基づき、観光を使って地域をつくっていくことに重きを置きます。観光をツールにし、地域課題を解決し、持続性を強化する方針です。
この点についてはコミュニケーションツールとしても確立してきました。
これから各地にデータセンターが必要になってきます。データセンターはサーバーの温度が上がりますので、嬬恋村の涼しや地震災害がほぼない点も含めて、データセンターに向いているとの声もあり、誘致も検討しているところです。
嬬恋村のエリアそれぞれの魅力を精力的に発信へ


──今後の方針については。



嬬恋村は大変広大なエリアです。「万座温泉」「バラギ高原」「鹿沢温泉」「浅間高原」の各エリアがあり、お客様の層も異なります。地域ごとに観光ビジョンをとりまとめ、エリアごとの魅力をしっかりと発信していく取組みを展開中です。
魅力が多いとともすればその魅力が埋もれてしまうこともございます。そのためしっかりと魅力発信を磨け上げることに注力しています。
たとえば「浅間高原」は最も軽井沢から近く、涼しさも格別で、湿気が少ない点が軽井沢と異なるところです。ゆったりと過ごされるリゾート地です。先ほど紹介しました、「軽井沢おもちゃ王国」があるため、二世帯・三世帯で別荘をお持ちの方が過ごされる観光地です。
次の「鹿沢温泉」は古き良き温泉街でミネラル泉水が多い温泉地で、鹿が傷を癒した伝説が残っているため、鹿沢温泉と呼ばれています。国立公園の中に位置しており、自然が豊かでマイナスイオンたっぷりのエリアです。
3番目の「バラギ高原」は、ゴンドラのあるスキー場があり、最近では若い方向けにジャンプやスライドを楽しむためのアイテムのあるコースであるパークを整備し、情報発信されています。ここは合宿にいらっしゃるようなスポーツ団体が宿泊されるようにアクティビティがあふれているエリアです。
最後の「万座温泉」は、温泉地として有名ですが、神話に抱かれた神聖な温泉郷として名高いです。日本は古来、山に神様が宿るといわれていますが、山々が連なる場所であります。この「万座」の由来は神々が集まり、温泉に入っていたという伝説的で神秘的な地域であります。


団体概要
名称 | 一般社団法人嬬恋村観光協会 |
住所 | 〒377-1524 群馬県吾妻郡嬬恋村鎌原710-136 |
TEL | 0279-97-3721 |
公式HP | https://www.tsumagoi-kankou.jp/ |
公式Facebook | https://www.facebook.com/TsumagoiVillageTourismAssociation |
公式X | https://x.com/Tsumagoi2851 |
公式Instagram | https://www.instagram.com/tsumagoi_kankou/ |
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