【岩手県・岩泉町】ドラゴンブルーの龍泉洞など、自然豊かで魅力満載な観光地

ドラゴンブルーの龍泉洞は幻想的な光景が広がる

岩手県岩泉町は、豊かな自然に恵まれ、本州で最も広い町です。「水の郷百選」にも選定され、その広大な面積の大部分が森林に覆われており、山間部から沿岸部まで多様な景観を持っています。

自然に基づく観光スポットも豊富で透明度の高い地底湖がある龍泉洞が有名です。龍泉洞の水はミネラルウォーターとしても販売され、龍泉洞に湧き出すミネラル豊富な天然水を使用した化粧品も人気です、

豊かな自然と地域ならではの魅力にあふれた岩泉町の観光スポットなどについて、岩泉町観光協会 事務局長の武田保男さんに話をうかがいました。

岩泉町観光協会 事務局長

岩泉町観光協会 事務局長

武田保男さん

目次

本州で最も広い町で自然豊かな岩泉町

大川七滝

――岩泉町の歴史と魅力からお願いします。

武田保男氏(以下、武田氏)

岩泉町は岩手県の中央部から東部に位置し、992㎡と本州で最も広い面積を持つ町の1つです。東は太平洋に面し、豊かな自然に囲まれています。面積のうち94%が林野で、自然豊かな地域です。

1956年(昭和31年)に岩泉町、大川村、小本村、安家村、有芸村の1町4ヶ村が合併し、翌32年に小川村を編入合併し、今の岩泉町が誕生しました。人口は約7,600人です。

ドラゴンブルーの龍泉洞は幻想的な空間が広がる

:透明度の高い地底湖が大きな特徴

――観光スポットについては。

武田氏

なんといっても「龍泉洞」が最大の観光スポットです。秋芳洞、龍河洞とともに「日本三大鍾乳洞」の一つとして有名です。「ドラゴンブルー」と呼ばれる透明度の高い美しい地底湖が特徴で、現在、3つを観光ルートで見学でき、第一地底湖は水深35m、第二地底湖は38m、最大水深98mの第三地底湖などが見どころです。

龍泉新洞原人の生活の痕跡が、多数見つかっています。
武田氏

洞内に広がる幻想的な空間が広がり、自然が作り出したユニークな形の岩など神秘的な体験を得られます。龍泉洞入口のすぐ向かいに「龍泉新洞科学館」があり、太古の地層に育まれた鍾乳石や縄文時代の遺跡からの出土品などを見学できます。

心と体を癒せる早坂高原県立自然公園

早坂高原
武田氏

次に「外山早坂高原県立自然公園」があり、盛岡市と岩泉町にまたがる巨大なエリアで、美しい自然景観が楽しめます。高原は山野草の宝庫で、春には可愛らしいカタクリの花が咲き乱れ、初夏から夏にかけてアヤメやノハナショウブなども見られます。また、レンゲツツジ、シラカバ、シナノキといった植物が訪れる人々の心を魅了します。

標高916mの早坂峠を中心に、雄大な大草原が広がっています。澄んだ空気の中で短角牛が草を食む牧歌的な風景は、訪れる人の心を和ませます。秋には美しい紅葉も見どころです。このように岩泉町は優れた景観が多い場所として知られています。

「21世紀に残したい日本の自然100選」に選ばれた「櫃取湿原」

櫃取湿原に咲くミズバショウ
武田氏

岩泉町釜津田の国有林内に広がる「櫃取湿原」(ひっとりしつげん)は、標高1,000m前後の平坦地にある湿原。岩手県の自然保護区で、北上高地の数少ない湿原地の中で最も美しい場所と言われています。朝日新聞社と公益財団法人森林文化協会の「21世紀に残したい日本の自然100選」にも選ばれています。

武田氏

5月のシーズンには樹齢100年を超えるブナやミズナラ、ダケカンバの林、大川渓流の源流ノロメキ沢に沿ってミズバショウの見事な群生が見られます。7月頃にはハクサンシャクナゲも咲き、4月下旬から8月下旬の時期に多数の花が咲きます。花の他にも春の新緑から秋の紅葉まで素晴らしい風景が見られます。

湿原内では日本短角牛を放牧。その放牧が独特の自然環境を作り出し、希少な草花や多様な植物の生育を支えています。岩泉町観光協会内に岩泉観光ガイド協会があり、まちなか・山野草・海・山・龍泉洞の5部会でガイド活動を行っています。

地元観光のPRにつとめる岩泉観光ガイド協会

岩泉観光ガイド協会のメンバーが震災伝承を行っているようす
武田氏

岩泉観光ガイド協会とは、岩泉町の観光資源をPRし、地域の活性化を目的として2012年に発足しました。

武田氏

次に「安家森(標高1,239.1m)」は北上山地の北部、岩泉町の北西部に連なる一角にあります。このあたりは太平洋に注ぐ安家川の源流域で、安家森の山名はアイヌ語の「ワッカ」(清流)からきているとの説があります。

タケカンバ、春はアズマギクやキンポウゲ、秋にはノコンギクなどがコースを彩ります。山頂からは太平洋や早池峰山、岩手山も展望できます。ここも牛を放牧しています。

日本で恐竜の化石がはじめて発見された茂師地区

恐竜化石が発見された茂師地区周辺
武田氏

また、日本で初めて恐竜の化石が発見された場所は、岩泉町小本の茂師地区。その化石は、地名にちなんで、「モシリュウ」と名付けられました。従来、日本では恐竜化石は発見されないという考え方が主流でしたが、モシリュウの発見によりこの考え方が覆され、その後、各地で相次いで恐竜化石の発見につながったのです。モシリュウの上腕骨の化石は国立科学博物館日本館で、レプリカが岩手県立博物館と地元・岩泉小本駅内に展示されています。時々、モシリュウ発見の地を化石ファンが訪れています。

三陸海岸絶景ポイント 熊の鼻展望台

熊の鼻展望台から見る太平洋の光景は風光明媚
武田氏

茂師海岸から少し離れた場所に、「小本海岸」があり、三陸海岸の中でも屈指の絶景ポイントです。先端部に、熊の頭と鼻先に似た岩があることから「熊の鼻」と呼ばれており、「熊の鼻展望台」から眺めることができます。太平洋を眺める光景は大変風光明媚で、三陸復興国立公園にも指定されています。

大小7つの滝が階段状に連なる「大川七滝」

大小7つの滝が階段状に連なる「大川七滝」
武田氏

さらには大川七滝も大きな見どころです。小本川上流の大川の100m足らずの川筋に、大小7つの滝が階段状に連なっています。そこで「大川七滝」と名付けれられました。険しくも美しい山岳渓流の様子が見られ、渓流釣りのメッカとしても知られます。

毎年8月下旬には「大川七滝夏まつり」を開催、町内外から多くの人々が訪れて賑わいます。また、秋も深まると紅葉に囲まれて、とても素晴らしい景観です。

あのドジャーズの大谷選手も絶賛した「岩泉ヨーグルト」

大谷選手は、「岩泉ヨーグルト」を世界一美味しいヨーグルトと太鼓判

――おすすめのグルメについてはいかがですか。

武田氏

なんといっても岩泉ホールディングス株式会社が製造している「岩泉ヨーグルト」です。ドジャーズの大谷翔平選手が2024年7月に世界一美味しいヨーグルトと、「岩泉ヨーグルト」を絶賛し、売上が伸びています。添加物を一切加えず、低温長時間発酵で丁寧に作られています。

森の王様「岩泉まつたけ」

武田氏

また、岩泉町は、古くから松茸の宝庫として知られており、清らかな水と美しいアカマツ林が育む松茸は、味、香り、形が揃った「森の王様」と称されています。もともと数に限りがある貴重な松茸ですが、選りすぐられた松茸だけが、「岩泉まつたけ」を名乗ることができるのです。

ヘルシーで低脂肪な赤肉の「いわいずみ短角牛」

武田氏

また、「いわいずみ短角牛」という牛の産地としても有名です。牛肉本来の旨味成分であるアミノ酸が豊富に含まれており、低脂肪でヘルシーな赤身肉が特徴です。健康志向の高い方には好まれているようです。

「いわいずみ炭鉱ホルモン鍋」も人気

いわいずみ炭鉱ホルモン鍋
武田氏

また、「いわいずみ炭鉱ホルモン鍋」にも力を入れています。岩泉町の主な産業は、林業や畜産・酪農、農業や漁業などが盛んですが、かつては「小川炭鉱」と呼ばれる耐火粘土や石炭を採掘する炭鉱が栄え、1,000人を越える鉱夫とその家族が住んでいました。

その作業員の中にはかつての朝鮮の方もおり、働いていました。その方々がホルモンを愛好したのが「いわいずみ炭鉱ホルモン鍋」の始まりで、実際に提供するお店もありました。いったん提供するお店は閉店しましたが、10年前から、「いわいずみ炭鉱ホルモン鍋」を復活する運動が始まり、各飲食店で提供されています。

いわいずみ炭鉱ホルモンは、味噌味が多い一般的なホルモン鍋と異なり、醤油ベースのたれで味付けられています。ニンニクとスパイスが効いたこのたれは、すっきりとした味わいで、ご飯にもお酒にもよく合います。

今、地元の有志の方が、「いわいずみ炭鉱ホルモン鍋発掘隊」を結成し、各イベントでホルモン鍋を一杯約300円で振舞っています。2019年に兵庫県明石市で開催された「B-1グランプリ」で初出場・8位入賞するなど、徐々に有名になっています。地元の方もよくお召し上がりになっています。

武田氏

また、岩泉町には多くの名産品がございます。もし、ご関心がございましたら、各サイトの岩泉町ふるさと納税のコーナーをご覧ください。

ツリークライミングで自然との一体感を

木の上から見る光景は格別

――次は体験コーナーにお話しを移したいと思いますが。

武田氏

特に力を入れているのが「ツリークライミング体験」です。ロープや安全保護具を使って木に登り、自然との一体感を味わうアクティビティ。普段地面から見えない景色を樹上から自然を体験でき、初めての方でも安全に楽しめます。

龍泉洞の近くにツリークライミングに向いた大木がございます。地元の有志の方々がグループを結成し、年間に数回、体験会を開催。龍泉洞の観光と併せて楽しんでいただいています。

木の上から見下ろす景色は、地上から見る景色とは全く異なります。特別な体力は必要なく、小学1年生以上であれば誰でも参加できます。80歳以上の方が参加した例もあり、子供だけでなく大人も夢中になります。

岩泉町観光協会では、ツリークライミング体験会を定期的に開催していますので、もしご興味がございましたら、是非本協会にお問い合わせください。

体験型リゾート「岩泉CYMBALS」がオープン!!

体験型リゾート「岩泉CYMBALS(シンバルス)」がオープン
武田氏

岩泉町には2025年4月に「岩泉CYMBALS (シンバルス)」という体験型リゾートがオープン。初心者向けの平坦なコースや、インストラクターが運転する迫力あるツアーなど、バギーで自然を駆け巡ることができます。

武田氏

また、岩泉町では、次に、舗装路を速く快適に走るために特化したスポーツ自転車「ロードバイク」の体験にも注力しています。

岩手県は2022年4月に、「いわてサイクルステーション」を設け、県内をサイクリングで巡る方々のための拠点となる施設を設置しています。これらのステーションでは、トイレ、ベンチなどの休憩所、サイクルラック、自転車修理用工具、空気入れポンプを無料で利用できます。

2025年9月現在、過去に岩泉町内の5施設(龍泉洞、早坂高原ビジターセンター、道の駅「いわいずみ」、道の駅「三田貝分校」、浜の駅おもと愛土館)が同時登録されています。

奥州藤原氏の黄金伝説の残る街で砂金体験

秘境おおかわゴールドロマンの里 砂金掘り体験のようす
武田氏

さらには岩手県といえば奥州藤原氏ですが、全盛期には黄金により巨大な富を築きました。岩泉町大川地区には黄金伝説も残り、秘境おおかわゴールドロマンの里 砂金掘り体験を行っています。

――奥州藤原氏といえば、義経伝説を思い出しますが、何か伝わっていることはございますか。

武田氏

源義経は平泉から逃れ、北海道まで到達し、生き延びたという義経伝説があります。そしてこの岩泉町にも義経伝説があり、岩泉町野(ほろの)にある加茂神社には、義経の子供が亡くなった際に、その遺体を埋葬し供養したという伝承が残されています。

発祥の地とされる岩泉町で「南部牛追唄全国大会」を開催

――大きなイベントとしてはどのようなものがございますか。

武田氏

岩泉町では、毎年9月の最終週に「南部牛追唄全国大会」を開催、南部牛追唄の普及向上と観光の振興に努めています。「南部牛追唄」は、岩泉町が発祥といわれ、今では、広く全国で愛唱されております。

季節ごとに「龍泉洞まつり」を開催

「龍泉洞まつり」
武田氏

次に、春夏秋冬ごとに「龍泉洞まつり」という名称のイベントを開催します。洞窟から湧き出る水に感謝する行事。安全祈願や餅まきが行われるほか、江戸時代の天保期の神楽舞が起源と伝わる、勇壮で活発な伝統芸能「中野七頭舞」などが披露されます。

お菓子の名店「中松屋」「志たあめや」は観光客からも人気

中松屋店内

――名産物としてはいかがですか。

武田氏

知名度の高いお菓子屋さんが2軒あります。主に栗を使った様々なお菓子を販売している「中松屋」と郷土文化のお菓子を中心とした「志たあめや」が名高いです。

中松屋は、1926年(昭和元年)創業の老舗栗菓子処です。龍泉洞の湧き水を使って作られるこだわりの栗菓子が有名で、地元の方々はもちろん観光客にも人気があります。

志たあめやの人気商品「たぬきさん」
武田氏

次に志たあめやは江戸時代の1832年創業の老舗のお菓子屋です。今ではパン、ケーキ、和菓子、洋菓子と全てを手作りで、製法を変えずに作っています。三陸地域独自の形をしたかりんとうと、たぬき型ケーキ「たぬきさん」が人気です。

土日になりますと、龍泉洞に多くの観光客が訪れますが、帰りには両店に立ち寄ってお土産品としてご購入されています。

龍泉洞の地底湖の水を仕込み水に使用する「龍泉八重桜」

江戸時代末期から続く酒蔵「泉金酒造」
武田氏

さらには造り酒屋としては1軒あり、今は、泉金ホールディングスが運営されています。1854年(安政元年)創業の歴史ある酒蔵で、龍泉洞の地底湖の水を仕込み水として使用。南部杜氏の確かな技術をもとに、厳選された酒米を使った代表銘柄「龍泉八重桜」は地元では名高いです。

先般、龍泉洞の人工トンネルに半年寝かせて、龍泉洞に貯蔵したお酒を限定発売しましたが、すぐ売り切れたようです。温度も11度の場所で熟成され、飲みやすいお酒です。同じく山ぶどうワインも半年ほど寝かせて、飲みやすくし発売、こちらも好評です。

また、先ほど松茸の話をしましたが、岩泉町特産の松茸を使った珍しい地酒「森の宝」も製造しています。

岩手県や東北の日本酒品評会で金賞受賞や上位に入賞するなどの実績を重ね、評判がいいです。私も日本酒が好きですから、「龍泉八重桜」を愛飲しています。

冬場の観光客増加を目指し、「龍泉洞冬まつり」の期間拡大

岩泉を象徴する山(宇霊羅山)

――観光と地方創生の観点はどのようにお考えですか。

武田氏

過疎化や少子高齢化に中々歯止めがかかりません。そこで岩泉町としても交流人口や関係人口を増やす方針で、観光は大きな役割を果たしていくと考えます。岩泉町と一体となって交流人口や関係人口を増やす手法を検討しているところです。

岩泉町の観光客は夏場は多くいらっしゃいますが、冬場は激減します。冬場でも観光客が来訪されるように、これから始まります「龍泉洞 冬まつり」の準備中で、2025年12月1日から2026年2月28日の3ヶ月間のロングランで、メインイベントを2026年1月24日~2月1日までにイベントを集中させ、冬場の観光客を増やすような取組みをしています。

団体概要

団体名一般社団法人 岩泉町観光協会
住所〒027-0501 岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字神成1-1
公式HPhttps://iwaizumi-kankou.jp/
公式SNShttps://www.facebook.com/iwaizumi.kankou.quide/
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