【栃木県・壬生町】 「おもちゃのまちバンダイミュージアム」などでアニメや漫画の情報発信や道の 駅のリニューアルで集客を強化へ

しののめ花まつりの様子

壬生町は、交通の便が良く、医療体制が充実しており、家族みんなで楽しめるスポットも豊富で大 変暮らしやすい町です。東武宇都宮線が町内を走り、都心まで約2時間という好立地です。

観光スポットとしては、公園や遊び場が一体となった広大な施設「道の駅みぶ」には、地元の名産 品がそろう直売所も設置し、土産物の販売、食事も楽しめます。道の駅みぶ内には「壬生町おも ちゃ博物館」も隣接し、中世のお城のような可愛らしい外観が特徴です。壬生町には、玩具メー カーの工業団地を形成した歴史もあるため、「おもちゃ博物館」以外にも、「おもちゃのまちバンダ イミュージアム」も近くにあり、原寸大ガンダム胸像を展示していることから、国内はもとより海外か らの訪日外国人からも話題になっています。

今回は、壬生町観光協会の佐藤 里菜さんに壬生町観光の魅力ついて話をうかがいました。

壬生町観光協会

佐藤 里菜さん

目次

栃木県産かんぴょうの発祥地 壬生町

サビかん

――壬生町の歴史の歩みからお願いします。

佐藤 里菜さん(以下、佐藤さん)

壬生町は、栃木県の中央部よりやや南に位置し、思川、黒川や姿川が流れ、豊 かな自然に恵まれた歴史ある町として知られています。東京からは北に約90kmの距離に位置 し、東武宇都宮線や北関東自動車道が通っており、交通の利便性が高いことも特徴です。

牛塚古墳や車塚古墳などの大規模な古墳が現存。これらの遺跡はこの地域に古代から大きな勢 力が存在していたことがうかがえます。室町時代には、壬生氏によって壬生城が築かれました。 江戸時代に入ると、壬生藩が立藩され、城下町は日光道中壬生通の宿場町として栄えました。江 戸中期以降は鳥居氏が城主をつとめ、その影響により、かんぴょうの生産も始まりました。

日本の食文化の食材でかんぴょうが選ばれた

――壬生町は大変、かんぴょうの生産が盛んな地域なのですね。

佐藤さん

大阪・関西万博での栃木県ブースでは、かんぴょうを紹介しました。大阪・関西万博の シグネチャーパビリオン 「EARTH MART」では、日本発の食文化や食の知恵・技術から厳選され た25の食材や食品のリスト「EARTH FOODS 25」を発表、その中でかんぴょうも選ばれました。

これは、食の未来をより良くするために、日本の食文化が培ってきた「地球との共生」や「食の知 恵・技術」を世界に発信し、食文化の発展や環境問題の解決に貢献することを目指しています。

かんぴょう干し
佐藤さん

栃木県産かんぴょう発祥の地が壬生町と伝えられています。かつては、細い帯状にむいたかん ぴょうを干す農家のお宅が数多くございました。江戸時代の1712年から壬生藩を治めた鳥居忠 英公(とりいただてる)※が、前任地の近江国(現滋賀県)からかんぴょうの種を持ってきて、こちら で栽培を始めたと伝えられています。以来、壬生町ではかんぴょうの一大産地として、現代まで栽 培が受け継がれています。

栃木県は全国のかんぴょう収穫量の99%を占める国内最大の産地。特に壬生町、下野市、上三 川町、小山市で約97% (令和5年産)が生産されています。

大阪・関西万博では日光社参巻が好評で食材にかんぴょうもあった
佐藤さん

大阪・関西万博では6月27日から29日の3日間、栃木県が出展。栃木県が品種改良した大型のニ ジマス「ヤシオマス」、かんぴょう、それに、漬けマグロを使ったのり巻き「日光社参巻」を販売し、 大変好評でした。

鳥居忠英・・・江戸時代中期の大名。能登下村藩主、近江水口藩主、壬生藩鳥居家の初代藩主。 忠英は名君で、壬生の藩政では殖産興業政策(特に干瓢栽培)を奨励し、藩校である学習館を創 設するなどして藩政の基礎を固めた。幕府内では、老中に次ぐ重職である若年寄まで出世する。

壬生町にはなぜ「おもちゃのまち」の地名が存在するのか?

空から見るおもちゃのまちの工業団地

――次は、おもちゃのまちについて。

佐藤さん

壬生町には「おもちゃのまち」の地名が存在します。東武宇都宮線の「おもちゃのまち 駅」を中心に広がるエリアを指し、1960年代に玩具工場が誘致し、工業団地が作られたことが始 まりです。時代の変遷とともに玩具の生産から玩具生産技術を駆使し新たな分野に進出し、現 在、異業種の工業団地として54社の企業が加盟しております。

迫力ある原寸大ガンダム胸像が海外からも人気

バンダイミュージアムの外観
佐藤さん

多様なおもちゃのコレクションを楽しめる施設としておもちゃのまちの「おもちゃのまちバンダイ ミュージアム」があり、「ジャパントイミュージアム」 「ワールドトイミュージアム」 「エジソンミュージア ム」「ホビーミュージアム」の4つで構成。

ジャパントイミュージアムは、江戸時代から現代までの日本のおもちゃが展示され、ブリキのおも ちゃや、流行したゲームやアニメなどの懐かしいおもちゃは大人も楽しめます。ワールドトイミュー ジアムは、特に西欧を中心とした人形や車などのアンティークトイを展示しています。

エジソンミュージアムは、世界でトップクラスの質を誇る、発明王エジソンの本物の発明品コレク ションを展示しています。ホビーミュージアムでは、ガンダム関連のおもちゃが豊富。原寸大ガンダ ム胸像も展示、こちらは大きな見どころのひとつです。また、屋外には国内最大級の蒸気自動車 「ペンデルプリンセス号」 (1919年イギリス製)も展示されています。

アニメや漫画ファンの方に刺さる展示物も多数あり、懐かしいおもちゃも展示しているため、大人 が行っても思い出話で楽しむことができます。

中世西洋のお城をイメージしたおもちゃの博物館

お子さんに人気の「壬生町おもちゃ博物館」
佐藤さん

「道の駅みぶ」には「壬生町おもちゃ博物館」があり、中世の西洋のお城をイメージした建物が特 徴です。玩具メーカーの工場や倉庫が集まった工業団地「おもちゃのまち」があり、玩具とゆかり が深いことから建設されました。

「遊べる」ことをテーマにした施設。カラフルな館内には、体を動かせる大型遊具や、おもちゃ団地 で製造された貴重なおもちゃなど、約9,000点を展示。屋内施設なので、天気に関わらず一日中楽しめます。

壬生町にある原寸大ガンダム胸像と「ガンダムマンホール」

壬生町のガンダムマンホール

――壬生町には他にも『機動戦士ガンダム』に関連したものがあると伺いました。

佐藤さん

先ほど申し上げた通り、おもちゃのまちバンダイミュージアムでは原寸大ガンダム胸像 を展示し、バンダイナムコグループが企画する「ガンダムマンホールプロジェクト」より寄贈いただ いた「ガンダムマンホール」も設置しているほか、「ガンダムマンホール」のマンホールカードを配布 しています。マンホールカードはとても好評で、こちらのマンホールカードは人気で受け取るため 関東を中心に全国各地からも来訪されています。マンホールカードの在庫については、「壬生町 公式ウェブサイト」でご確認ください。

地元ならではのグルメが味わえ、お土産品が揃う「道の駅みぶ」

――道の駅みぶの話もありましたのでこちらのご紹介も。

佐藤さん

2025年から運営が株式会社La chic mibu (らしっくみぶ)に変わりました。また、現在は リニューアル工事を行いながら営業しており、来年4月に大きく魅力アップし、オープンを予定して います。高速道路と一般道の両方からアクセスできるハイウェイオアシス。壬生総合公園やとちぎ わんぱく公園、おもちゃ博物館などが隣接し、大規模な道の駅です。

道の駅みぶの「みぶハイウェーパーク」内の「みらい館」には、レストランや売店、農産物直売所な どがあります。地元の農家から届く新鮮な野菜や果物のほか、特産品や加工品が豊富に揃う直 売所に是非、お立ち寄りください。

佐藤さん

特に地元産とちおとめを使ったソフトクリームは高い人気を誇るほか、冬の時期は、生いちごを 使ったクレープも販売します。道の駅みぶならではの地元のケーキ店の姉妹店やフルーツパー ラーもあり、地元でしか味わえないスイーツやドリンクも取り揃えています。

壬生町はなぜ「蘭学の町」なのか

蘭学通り

――壬生町は「蘭学の町」をアピールされていますがこれについては。

佐藤さん

壬生藩は江戸時代から蘭学(オランダの学問)、特に医学が盛んで、蘭方医※を輩出し たことで知られています。

壬生と蘭学のつながりには、幕末に藩を治めた鳥居 忠挙が深く関わっています。彼は、外国の脅 威から日本を守るためには実践力が大切だと考え、蘭学を含む学問を振興し、蘭学者を積極的 に登用しました。その結果、壬生藩は数多くの蘭学者を輩出し、関東諸藩で初めての人体解剖、 栃木初の種痘(天然痘の予防接種)の実施、西洋式大砲の製造など、関東有数の科学水準を誇 る藩として成長しました。

多くの優れた蘭方医が門を構えた壬生城下の日光道中壬生通は、現在「蘭学通り」の愛称で親し まれ、〈医療の街〉と呼ばれた当時の面影を今に伝えています。

壬生の蘭方医・斉藤玄昌

『解体正図』は、和紙に水彩で詳細に臓器、脈管、神経系などが写生されており、臓器名も現在の和名とほとんど変わらないものが使用されている。
佐藤さん

壬生の蘭方医の一人に、壬生藩のお抱え医師の斉藤 玄昌がおります。人体解剖を行い、その記 録『解体正図』を記しました。和紙に水彩で詳細に写生、各臓器、血管、神経系が正確に描かれ、 現在使われている和名とほぼ変わらない臓器名を明記している点も特徴です。また、当時致死率 の高かった天然痘の予防接種(種痘)を下野国(栃木県)で初めて実施するなど、公衆衛生の向上 にも尽力しました。

※蘭方医・・・オランダを通じて日本に伝わった西洋医学を学んだ医師を指す。蘭学黎明時代に は、前野良沢や杉田玄白らが『解体新書』を翻訳し、西洋医学が日本に広まる大きなきっかけとな り、後にドイツ人医師シーボルトが来日し、鳴滝塾を開校。オランダ語や西洋医学が広まった。壬 生藩での蘭学の拡大はこのような背景があった。

徳川将軍家が日光社参時の宿城として利用した壬生城

壬生城の石垣と堀の跡

――観光スポットも教えてください。

佐藤さん

一般的なお城は天守閣をイメージされますが、壬生城は御殿造りのお城だったようで す。この本丸御殿は、徳川将軍家の日光社参時の宿城として利用され、壬生城の本丸に位置し ながら、壬生藩主さえ立ち入ることのできない聖域でした。将軍家の日光社参は19回行われまし たが、そのうち8回は壬生城に宿泊した記録が残っています。徳川将軍家から壬生藩への高い信 頼がうかがえます。

壬生城の跡地は「壬生城址公園」として整備
佐藤さん

壬生城の跡地は「壬生城址公園」として整備されました。新たに石垣と水堀をめぐらせたこの公園 には、復元された二の丸門や大手門の礎石などがあります。公園内には、「壬生町立歴史民俗資 料館」もあり、壬生城を再現した模型をはじめ、壬生町の歴史を幅広く紹介しています。町内に は、城址公園をはじめ歴史あるお寺、古墳など壬生町の歴史を学べる散策コースもあります。壬 生町ではボランティアの観光ガイドもおります。

「お殿様料理」「お姫様料理」をアピール

壬生藩主の「御献立帳」をもとに「お殿様料理」としてアレンジ

――壬生町のグルメについてはいかがですか。

佐藤さん

壬生町では、かんぴょうつながりで「お殿様料理」「お姫様料理」をアピールしています。 壬生藩主の「御献立帳」が近年発見され、その歴史的な資料に基づいて、現代風に「壬生お殿様 料理」としてアレンジし、新たに再現料理を完成しました。

献立帳には、鴨肉や大根味噌漬、鮎、春菊のほかかんぴょうやゴボウといった壬生町の特産物に 関する記述も確認され、これらをアレンジし、お店で食べられる、もしくはテイクアウト料理として町 内6店舗で販売中です。

お殿様料理の派生で「お姫様料理」も
佐藤さん

このお殿様料理の派生で「お姫様料理」も出来ました。お殿様料理は予約が必要で敷居も高いの ですが、お姫様料理はスイーツもあり、見た目にも華やかで「お姫様感」あふれる料理として楽し めます。予約なし(一部要予約)で女子会や家族でのお食事にも利用でき、壬生町の歴史を食を 通じて感じることができます。

「壬生ふるさとまつり」は「かんぴょう音頭」と花火打上の2部構成

かんぴょう音頭で踊る参加者
佐藤さん

最大のイベントは「壬生ふるさとまつり」です。第1部の壬生町の伝統芸能の「かんぴょう音頭」、第 2部の「花火の打ち上げ」から構成。「かんぴょう音頭」は、会場内に櫓を立てて、お囃子を演奏し、 「エッサ、エッサ、エッサッサー」の掛け声と爽快なリズムで簡単に踊れます。

花火は約2,000発が打ち上げられる
佐藤さん

花火は、約2,000発が打ち上げられ、打ち上げ場所が近いため、迫力ある花火を間近で楽しめま す。2025年は8月23日に開催し、約3万2,000人の来場で盛大なお祭りを開催することが出来まし た。

約250本の桜が咲き誇る「しののめ花まつり」

「しののめ花まつり」
佐藤さん

次に、「しののめ花まつり」は3月下旬~4月上旬まで東雲(しののめ) 公園で開催します。公園内 には黒川が流れ、その両岸に並ぶ約250本の桜が一斉に咲き誇る姿は実に見事です。黒川両岸 を結ぶ「東雲さくら橋」からは、男体山と桜の雄大な景観が楽しめ、両岸の東雲桜堤はとちぎの景 勝100選のひとつに数えられます。

2025年は、3月29日~4月6日(日)まで行われ、ライトアップは夜6時~9時まで実施、幻想的な夜 桜に大きな反響がありました。今年は地元のダンススクールや吹奏楽団の方々にお願いをし、芝 生の広場でミニコンサートを行いました。

「ふるさと地酒プロジェクト」で誕生した地酒

「純米大吟醸 壬生」

――地酒には目がないのでうかがいたいのですが、壬生にも美味しい地酒があるとうかがいまし た。

佐藤さん

壬生町が町を象徴する地酒を造るべく「ふるさと地酒プロジェクト」を立ち上げ、町内の 酒屋がプロデュースを担当しました。このプロジェクトでは、壬生の地で酒米「山田錦」を育てると ころから酒造りをスタート。

壬生産山田錦を全量使用し、豊かな旨味と繊細な香りをあわせ、非常に高いレベルで均整のとれ たお酒になりました。果実のような芳香が立ち、たっぷりとした甘みと艶やかな質感が贅沢な味わ いをもたらせます。

実は、9月22日以降から酒米の稲刈りをする予定とうかがいましたので、「純米大吟醸 壬生」も アップデートされることになるでしょう。

繁忙期には大人気のいちご大福

「しもつけ彩風菓 松屋」のいちご大福は県外からも人気に

――特産品ではどのようなものがありますか。

佐藤さん

かんぴょう以外では、イチゴが特産品です。ふるさと納税では、壬生町で有名な和菓子 屋「しもつけ彩風菓 松屋」のイチゴ大福を引き換えられる券やみぶブランド※になっている「はち みつ」のほか、鉄道模型「Nゲージ」などがございます。

もし壬生町の特産品にご関心があれば、是非、ふるさと納税をご利用いただければ幸いですので 下記のふるさと納税に関するリンクご紹介いたします。

みぶブランド・・・壬生町の資源や地域特性を活かした優れた商品や製品、特産品として認定され たもの。これらの商品は、壬生町の魅力を発信する「逸品」として紹介されている。

お店と観光をタイアップした企画も

「しののめ花まつり」での和傘ライトアップの様子

――観光と地方創生についてはいかがですか。

佐藤さん

先ほど、「蘭学通り」を紹介しました。こちらの通りの商店街も賑やかで、かつては道の 両側にさまざまなお店が軒を並べていました。今は事業主の高齢化も影響し、かつての賑わいが 薄れつつあります。

全盛期だった商店街のお子さんが引き継いで続いているお店もありますが、観光面では、「しのの め花まつり」と会場が近いため、蘭学通りを回るスタンプラリーや、お店と観光とをタイアップした 企画を立案しています。また、「お殿様料理」 「お姫様料理」をもとにお店をPRするツールとして活 用しています。

日光や那須の途中で立ち寄る工夫を進める

――今後の方針について。

佐藤さん

壬生町は日光や那須と比較すると有名な観光地は少ない町ですが、かんぴょうの歴史 やおもちゃのまちをうまくPRし、誘客につなげていきたいです。東京から日光に向かう途中に壬生 町がありますので、少しでも立ち寄っていただくような工夫を凝らしていきたいです。

次に「道の駅みぶ」も本格的にリニューアルしていますので、さまざまな地域から来訪される町に なれることを目指していきます。「壬生お殿様料理」 「壬生お姫様料理」の普及・促進を目的とする団体「壬生お殿様料理促進の会」では、インバウンド対応を目的にメニューから英語対応にする方針 も検討中で、栃木県の翻訳対応サービスの活用など考えており、インバウンドに対応した集客もこ れから本格的に動き出していきます。

壬生町役場

©創通・サンライズ

団体概要

名称壬生町観光協会(壬生町産業生活部 商工観光課 観光交流係)
所在地栃木県下都賀郡壬生町壬生甲3841-1
TEL0282-81-1844
公式HPhttps://mibu-kankou.org/
公式SNSX:https://x.com/mibukankou
Instagram:https://www.instagram.com/mibukankou/
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