【富山県・立山町】立山黒部アルペンルートだけじゃない!!平野部にも落差日本一の称名滝など見どころ満載

新緑の山と称名滝

富山県立山町は、県東部に位置し、3,000m級の立山連峰に抱かれた自然豊かな町です。古くから山岳信仰の一つである立山信仰の中心地として栄え、歴史文化も魅力の一つです。

今や国内だけではなく海外にも名高い、富山県と長野県を結ぶ世界有数の山岳観光ルートの「立山黒部アルペンルート」や落差350mを誇る日本一の滝「称名滝」(しょうみょうだき)の迫力は圧巻です。

日本三霊山の一つである立山のふもとには立山信仰の中心地であった芦峅寺(あしくらじ)エリアがあり、歴史を物語る遺跡や博物館が点在し、パワースポットとしても古代から今日まで伝えられています。

最近の傾向では、立山町平野部での観光にも注目が集まり、坂道や長距離の移動が楽になる「E-BIKE」をレンタルし、立山連峰を背景にのどかな田園風景を楽しむ方も増えてきました。

今回は、立山町の観光内容やその魅力について立山町観光協会の事務局長の青木 正博氏にお話しをうかがいました。

立山町観光協会の事務局長 青木 正博氏

立山町観光協会の事務局長

青木 正博氏

目次

富山駅、富山空港から約30分の好立地

立山町市街地

――立山町の概要と魅力からお願いします。

青木 正博氏(以下、青木氏)

立山町は、富山県の県庁所在地の富山市に隣接し、富山県総面積の約7%を占める東西に細長い町で、ほぼ富山市のベットタウン化しています。

富山駅、富山空港、富山市中心部へはいずれも約30分でアクセスでき、自然豊かな環境でありながら利便性も兼ね備えています。北陸自動車道の立山インターチェンジがあり、県外のお客様がいらっしゃる際にも便利な場所です。鉄道では富山地方鉄道があり、その中で立山線が走り、公共交通鉄道でも立山町の観光もできます。

一方、従来の立山黒部アルペンルートなどの山岳観光に頼っていたこともあり、平野部での観光のあり方を今後、注力していく方針です。町の産業は兼業農家が多く、稲作作業に従事されています。

立山町の魅力としては、町の至る場所から北アルプス、立山連峰を望めます。山に行かず平野部からも雄大な山々がそそり立つ風景を仰ぎ見れます。

日本一の落差350mを誇る称名滝

迫力ある称名滝

――おすすめの観光スポットについてはいかがですか。

青木氏

先に平野部の観光から紹介します。まず称名滝(しょうみょうだき)は、立山連峰を源流とする日本一の落差350mを誇る滝です。特に水量の多い春から夏にかけて、毎秒100トンもの水が流れ落ちる様子は大迫力で、季節的には積雪・降雪にもよりますが、5月上旬から11月中旬まで観光ができます。

春と夏は新緑に覆われ、秋には渓谷全体が紅葉で赤や黄色に染まる光景はとても美しいです。ただし日本一の落差を誇る滝といいながらもまだ知名度は高くないため、立山黒部アルペンルートと組み合わせて魅力ある充実した旅行を楽しんでいただけるよう企画・検討中です。

立山信仰と芦峅寺

立山岳信仰の拠点をめぐる、芦峅寺ツアーの様子

――こちらは立山信仰の中心地だったそうですね。

青木氏

江戸時代には富山県の立山を中心とした山岳信仰と仏教が融合した修験道である立山信仰が広がっていました。立山を極楽浄土、地獄谷を地獄に見立て、死後の世界を疑似体験する修行です。

芦峅寺(あしくらじ)は、立山登拝の玄関口で、旧宿坊が点在していたエリアです。芦峅寺の中には、雄山神社(おやまじんじゃ)、富山県立山博物館や国立立山青少年自然の家などがあります。立山博物館の中には、「曼荼羅遊苑」があり、「立山曼荼羅」の世界観を表現しており、地獄から極楽浄土までを体感できます。

一方、雄山神社は、神仏習合※の時代には仏教色の強い神社であり、立山修験の源でした。

神仏習合・・・日本土着の神道と日本の仏教が融合し、一つの信仰体系として再構成された宗教現象。

美と健康をテーマにした複合施設「ヘルジアンウッド」

ヘルジアンウッドの施設内で収穫したハーブから、精油と芳香蒸留水を抽出する工房

――ほかにはどのような観光スポットがありますか。

青木氏

The Kitchen Helthian-wood(ヘルジアンウッド)は、美と健康をテーマにした複合施設。ハーブ園、アロマ工房、レストラン、スパ、サウナなどが設置されています。立山連峰と富山湾を一望できる広大な敷地が特徴です。建物は、世界的な建築家・隈研吾氏が設計されました。

今、立山町観光協会としては、ヘルジアンウッドで食事を楽しみ、立山信仰の中心地であった芦峅寺を経て、称名滝に至るツアーを作成・検討しているところです。

クリーンセンターの展望室は無料で楽しめる

富山地区広域圏クリーンセンターの無料展望室から見る眺望は一見の価値あり
青木氏

このほか富山市、滑川市、立山町、上市町、舟橋村から排出される可燃ごみの処理を行っている施設「富山地区広域圏クリーンセンター」がございます。こちらには、地上80m(海抜223.5m)の無料展望室があり、立山連峰と散居村の景観、平野部が望め、北側の方向を転じると富山湾が見える無料で楽しめるスポットです。

E-BIKEで平野部の景観を楽しみ、風を切る

E-BIKEで立山の平野部の光景を満喫

――E-BIKEレンタルについてのご説明をお願いします。

青木氏

この「E-BIKE」とは、電動モーターを補助動力として搭載した自転車で、ペダルを漕ぐ量を補助してくれるため、坂道や長距離の移動が楽になり、より速く、遠くまで走れます。

立山町は、どこでも自然の景色を十分に楽しめますので、E-BIKEの旅は自然を満喫できることでしょう。里山の風景を風で切って体験できます。レンタルの場所は、立山駅前の「立山町観光協会・立山観光案内所」、五百石駅前の「立山町観光協会」、緑豊かなテーマパークで、立山黒部アルペンルートと平野部の中間地点にある「グリーンパーク吉峰」内のモンベル立山ベースキャンプでE-BIKEを貸出しています。

ただし雪の関係で、期間は、例年4月中旬から11月下旬まで利用が限られます。モデルコースはさまざまあり、立山駅前から日本一の落差を誇る称名滝を目指す方もおり、2時間から2時間半ほどのコースです。

季節的には紅葉や桜並木を走りつつ、雪が残る立山連峰を目指すコースもいいですね。

立山連峰を桜越しに望める「常願寺川公園」

桜のシーズンでは、「常願寺川公園」で満開

――せっかくですので桜の見どころスポットも教えてください。

青木氏

立山町と富山市の境に急流の常願寺川が流れ、そこに「常願寺川公園」があり、ここが桜並木のスポットです。雄大な立山連峰が桜越しに望めるのもこの公園の特徴。スポーツ施設などのレクリエーション施設も充実しているので、休日には多くの家族連れが訪れ、お花見を楽しまれています。ちなみに、秋にはイチョウやケヤキの紅葉が楽しめるなど、豊かな自然が魅力です。

立山黒部アルペンルートの見どころ

巨大な雪の壁「雪の大谷」

――次に立山黒部アルペンルートの紹介をお願いします。

青木氏

富山県の立山駅と長野県の扇沢駅を結ぶ山岳観光ルートで、自然の絶景を楽しめます。ケーブルカーやロープウェイなど6つの乗り物を乗り継ぎ、雄大な景色を体験できます。

その魅力については、4月中旬から6月中旬にかけて、室堂(むろどう)近くに現れる巨大な雪の壁「雪の大谷」は、高さ20mに達するケースもございます。この室堂は、標高2,450mに位置し、立山連峰を一望できる素晴らしい景観が広がる場所です。同エリアを象徴し、大変美しい「みくりが池」は絶景です。

「みくりが池」
青木氏

次に、高さ186mを誇る日本一のダム「黒部ダム」は、立山黒部アルペンルートのハイライトの一つとして多くの観光客が訪れます。特に大きな見どころは、毎年6月26日から10月15日まで行われる観光放水は、毎秒10~15トンの水が流れ落ち、大変な迫力です。ダム展望台や新展望広場「レインボーテラス」の観覧スポットから是非、その迫力をお楽しみください。

黒部ダムでの観光放水
青木氏

室堂平(むろどうだいら)は、標高2,450mに位置し、四季を通じて特徴があり、春は雪、夏は新緑、秋は紅葉など季節ごとの魅力があり、いつ訪れても楽しむことができます。運が良ければ国の特別天然記念物「ライチョウ」に出会えるかもしれません。

旬の山菜をふんだんに使用した、素朴な郷土料理の御膳

まんだら食堂で提供される「あしくら御膳」。立山町を中心とした郷土料理

――話は観光スポットから変わり、おすすめのグルメについてはいかがですか。

青木氏

立山信仰に由来した山岳登山の中心地であった立山。芦峅寺周辺は、江戸時代では、全国から登山に来た方の宿坊※が点在していた集落です。そこで江戸時代までに宿坊で提供されてきた料理を再現して観光客に提供している食堂がございます。

それが「まんだら食堂」で、人気の料理は、あしくら御膳です。地元で採れたウド、フキ、すすたけなどの旬の山菜をふんだんに使用した、素朴な郷土料理のお膳です。独特の赤い朱塗りのつぼ 椀に、「つぼ煮」を当時は振舞っていたようです。名前の由来は、底の深いつぼ椀と呼ばれるふた の付いた朱塗りの器に盛って提供されていたことにちなみます。立山に伝わる山菜料理ですが、今では、国内外の観光客の方が喜ばれています。

宿坊・・・仏教寺院や神社などで僧侶や氏子、講、参拝者のために作られた宿泊施設。

青木氏

次の「焼きつけ」は、もち米に春に収穫したヨモギの葉、味噌と砂糖を混ぜて油で焼いた料理です。

江戸時代の宿坊に滞在し、これらの料理を食べ立山まで歩いて上ります。カロリーの高い料理を食べて立山登山に望んでいました。立山の郷土料理はいずれも美味しいです。

このほか立山町には世界に有名なレストランガイドブック「ミシュランガイド」の北陸版に掲載されたお店が4軒あり、先ほどのヘルジアンウッドのほか「そば処 そば処 おきな」がおすすめです。さらに知る人ぞ知るマニアックなコンビニ「立山サンダーバード」、カレー食堂「コロポ」があります。

これぞ絶品 立山特産のラ・フランスジュース

濃厚な味と評判のラ・フランスジュース

――立山町の名産品はどのようなものがありますか。

青木氏

ラ・フランスの生産・販売に注力しています。ラ・フランスは、山形県のイメージが強いのですが、立山町の山間部でも少量ながら生産して、手厚く栽培し、かなり質の高いラ・フランスが出来上がります。

そのラ・フランスを水を混ぜないでつくった濃厚なラ・フランスストレートジュースが好評です。店舗で提供し、炭酸、アルコールで割って飲まれる方もいらっしゃいますが、ストレートのラ・フランスジュースを楽しまれる方もいらして、飲み方も様々で、立山町で人気です。ちなみに、「飲む果実」と称されるほどで、立山町を代表する特産品として「立山ブランド」※にも認証されています。

次に立山の桃も少量生産ですが品質が高く、販売しています。桃は、大変人気で、樹上で十分に熟してから収穫される「樹上完熟」という方法で栽培されているため、甘みや果汁が豊富で、桃本来の美味しさを楽しむことができます。また、ジュースにして販売しています。

立山ブランド・・・立山町の豊かな自然と風土から生まれた特産品の総称。立山山麓の清らかな水と肥沃な土地が育んだ、こだわりの品々が揃う。

味の良いクラフトビールの「芦峅寺ビール」

芦峅寺産のホップと立山の名水を仕込んだ芦峅寺ビール

――お酒やビールが好きなものですのでもしございましたら、地ビールや地酒のご紹介も。

青木氏

芦峅寺産のホップと立山の名水を仕込んだビールもこちらも少量ながらつくっています。芦峅寺ビールはとても味が良くクラフトビールとして好評です。

ドンペリニヨンの最高責任者が日本酒に新たな歴史を刻む

ふるさと納税の返礼品の一つでもある「IWA5」
青木氏

次に立山町にある酒蔵の株式会社白岩をご紹介します。主な銘柄は「IWA5(いわ ふぁいぶ)」で知る人ぞ知る名酒です。シャンパーニュメゾン「ドン ペリニヨン」の元醸造最高責任者であるリシャール・ジョフロワ氏が、日本全国を回り、日本酒造りのためにこの立山町を選んだのです。

750mlのお酒が1万5,000円しますが、富山市の少し値の張る居酒屋などで飲めますし、海外の富裕層が愛好されている日本酒として知られています。これが立山町唯一の地酒です。

青木氏

また、立山町の名産にご関心がありましたら、是非、ふるさと納税の返礼品をご覧いただけますと 幸いです。

「立山吉峰温泉ゆ~ランド」で露天風呂も

立山のふもとにある「立山吉峰温泉ゆ~ランド」

――宿泊施設や温泉については。

青木氏

立山町で最も気軽に宿泊できるのが「グリーンパーク吉峰」です。敷地内には、「立山吉 峰温泉ゆ~ランド」があり、露天風呂を含む多彩な風呂が楽しめます。最近、注目されているのが立山駅前に宿泊と食事のできるお店で「LOCOMOTION COFFEE AND BED」がオープンしました。個室も整備され、カフェ的な料理も提供されていますので若い世代にとても人気です。

LOCOMOTION COFFEE AND BED
青木氏

立山黒部アルペンルート内では、「みくりが池温泉」があり、ここは、日本で最も標高の高い場所にある温泉宿で、宿泊施設もあります。

平野部の観光を強化へ

立山駅

――観光と地方創生の観点ではいかがでしょうか。

青木氏

立山町は、立山黒部アルペンルートの通過地点で、なかなか滞在されない場所になっています。これは通過型観光と呼ばれるもので、観光客がある地域を短時間で通り過ぎ、宿泊や食事、体験などをほとんどせずに次の目的地へ移動する観光形態を指します。このような地域は、観光客が多く訪れるにもかかわらず、経済的な恩恵が少ないという課題を抱えています。

そこで立山町の平野部になる多くの時間滞在してもらうようにメニューをそろえているところです。

富山市などの隣接地方自治体と連携を推進

富山県を走る富山地方鉄道

――今後の貴協会の動向について教えてください。

青木氏

立山黒部アルペンルートは有名で国内外から多くの観光客がいらっしゃいますが、期間は4~11月までです。それ以外のシーズンは観光客が途絶えますので、「冬と平野部の魅力」をどのように発信していくかが今の大きな課題で、通年型観光へとシフトし、さまざまなメニューを今、施策しているところです。

先ほど申し上げたE-BIKEレンタルやタクシーでの称名滝ツアーは一つの事例です。ただし、立山町単独では厳しいので、隣接する地方自治体と連携した観光PRをしていかなければなりません。富山市は富山湾の海の幸に恵まれ、そしてこれまで紹介してきました立山町のグルメなどとコラボした巡るツアーが実現して行ければとの思いがあります。

コラボの一例としては、富山市の有名なお土産で立山町の材料を使用したものがございます。例えば、市内の有名なマカロン専門店「Monsieur J」では、富山県内でも知る人ぞ知るお店で全国からも注目をされています。フランス人パティシエがつくり、非常に美味しくマカロンの常識を覆したとの高い評価を得ています。

このお店で先ほど申し上げたラ・フランスジュースや立山の桃を使ったスイーツをつくり、富山のお土産として、ご購入される方が多いです。

今、「立山黒部アルペンルート広域観光圏協議会」を通じて、立山町と長野県大町市は観光面での連携を深めています。アルペンルートの起点と終点が立山町と大町市です。アルペンルートを大都市でPRする際は必然的に両地方自治体が出向いています。

団体概要

名称一般社団法人立山町観光協会
所在地〒930-0221 富山県中新川郡立山町前沢1209-18 駅前プラザ1階
公式HPhttps://yukutabi-tateyama.jp/
公式SNS公式Facebook: https://www.facebook.com/yukutabi.tateyama
公式X: https://x.com/yukutabitateyam
公式Instagram: https://www.instagram.com/yukutabi.tateyama/
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