【静岡県・焼津市観光協会】富士山の眺望抜群で温泉、海鮮が人気の街で今、注目が集まる

焼津市の小川港から望む富士山

静岡県焼津市は全国有数の水揚数量を誇り、全国的にも富士山への眺望もよいことで知られています。

また、市内の焼津神社は約1600年前に創建と伝えられています。「焼津」の名前の由来ともなった日本武尊(ヤマトタケルノミコト)をお祀りする由緒ある神社です。

また、温泉成分が良質な天然温泉、焼津温泉に恵まれるなど市内には様々な魅力にあふれています。

今回は、一般社団法人焼津市観光協会の高杉嘉代さんに焼津市の魅力や観光スポットなどについて話をうかがいました。

一般社団法人焼津市観光協会

高杉嘉代さん

目次

港町の風情が残る「浜通り」

焼津の水産漁業発祥の地・浜通り

――焼津市の観光の魅力から教えてください。

高杉 嘉代さん(以下、高杉さん)

焼津の観光ボランティアガイド「やいづ観光案内人の会」は、次の観光スポット3コースをメインにご案内をしています。

①「浜通りコース」
②「花沢の里コース」
③「小泉八雲ゆかりの地コース」

まず、「浜通り」は焼津の水産漁業発祥の地です。今では静かな町並みですが、当時の港町の風情がところどころに残っています。駿河湾沿岸に沿って南北に伸びるほぼまっすぐな街道です。

観光案内人による案内のもよう
高杉さん

浜通りには、⽔産業の歴史と文化を象徴する伝統的家屋や、焼津漁業の発展に寄与し水産翁と称えられた服部安次郎の生家が残っています。

焼津漁業の発展に寄与した服部安次郎生家をリノベーションした「庭の宿『帆や』~hoya~焼津」

夏のあかり展では今年は小泉八雲にフォーカス

夏の風物詩「やいづ浜通り 夏のあかり展」は幻想的な光景を楽しめる

――浜通りでは毎年「やいづ浜通り 夏のあかり展」を開催されていますね。

高杉さん

はいそうなんです。 告知になりますが、2025年は夏の風物詩「第16回 やいづ浜通り夏のあかり展」を9月5日~6日の両日に開催します。※雨天の場合の予備日は、9月7日(日)。

主催は浜通りの歴史や文化、町並みを保存・活用しながら賑わいの場の創出を目指す「NPO法人浜の会」です。


市民の皆様が描かれたさまざまな絵柄のあんどんや竹灯ろうを両脇に展示し、あかりを灯します。夕涼みがてら浜通りをそぞろ歩きをされてはいかがでしょうか。必ずや幻想的な光景を楽しまれることができるでしょう。

ちなみに、2025年秋からの連続テレビ小説では小泉八雲の妻・セツが主人公のモデルです。今回のあかり展では、焼津市文化振興課にて八雲にちなんだテーマ(妖怪や八雲と夏の焼津のエピソードなど)であんどんの絵を募集しそのテーマに沿い80基のあんどんも並ぶ予定です。朗演家・大石みつえさんによる八雲作品の朗読と演劇を織り交ぜた朗演も実施し、琵琶の演奏会も予定しています。

浜通りは八雲が愛し、滞在した場所でもあり、今年の「やいづ浜通り 夏のあかり展」は例年以上に、八雲のテーマで盛り上がりそうです。

「庭の宿『帆や』~hoya~焼津」をリノベーションで活用

「庭の宿『帆や』~hoya~焼津」再活用されている

――この浜通りではさまざまなお店があるようですが。

高杉さん

いくつかご紹介します。焼津水産翁の1人である服部安次郎の生家は、2021年からは、良知樹園株式会社が「庭の宿『帆や』~hoya~ 焼津」として運営開始。「海の自然に癒され、健康への気付きを感じる賑わい交流拠点」をコンセプトに、当時の趣を残しながら伝統的な構法でリノベーションしました。

日本の伝統的な和の空間や四季折々の花が楽しめる日本庭園、さらに離れには蔵をリノベーションした和モダンなスペースを1日1組貸切で自由にお過ごしいただけます。
「浜通り服部家」でしか味わえない歴史、文化とのふれあいや地域との交流による体験交流型ゲストハウスとして活用できます。1階にある一間をレンタルし、時間で借りられますから、短時間ミーティングにも最適で、非日常な空間でテレワークもオススメです。

ぬかや斎藤商店 昔ながらの製造の自然食品

ぬかや斎藤商店のこだわりの自然食品の数々

――歴史的建造物の再活用は素晴らしいですね。次は食についてはいかがですか。

高杉さん

ぬかや斎藤商店は築90年の古民家です。1階では昔ながらの製造で作ったなまり節や真鯛のかま味噌漬けなど、ご自慢の商品が並び、2階には焼津伝統の魚河岸シャツを販売中です。

ぬかや斎藤商店では、なまり節はいうまでもなく、自家製の製品のすべてに、添加物は使用されない自然食品です。

天然素材にこだわるマルハチ村松の直営店

浜通りにあるマルハチ村松 浜通り店

――浜通りにはまだ魅力的な店舗もあると思うのですが。

高杉さん

ぬかや斎藤商店の隣に、だしの専門メーカーの株式会社マルハチ村松の直営店があります。1868年の創業以来、一貫して天然素材にこだわり、伝統を大切にしつつも技術革新をキーワードに幅広く天然調味料を開発され、多くの商品を取り揃えています。

私個人としては、風味豊かなうま味とコクを調和させた風味調味料の「パウミー」を好んで使用しています。

明治10年から続くかつおのなまり節専門店

鰹の藁焼き体験(※こちらの体験はご予約が必要です)
高杉さん

また、明治10年創業のかつおのなまり節専門店の川直の工場直売所も注目です。なまり節、スモークサーモン、さばの燻製や燻製茶漬けなどをご購入いただけます。
かつおを釜ゆでし、ナラの木で燻した「なまり節」は毎日つくりたてをお届けされています。

ここ川直では、鰹の藁焼き体験も体験できるんです!職人がかつおを捌くところから見学し、参加者自身が藁で豪快に焼くことができます。できたてのかつおのわら焼きの鮮度と香ばしさは格別で、この体験は最近、大変人気です。かつお丸ごと1匹使うかつおの藁焼き体験は「meets !ヤイヅ」から予約可能です。

鰹の藁焼き体験は県外や海外からのお客様も多く体験され、皆さま喜ばれています。

絶品、マルイ水産のオレンジ風味のしめさば

地元の小川港で水揚げされたサバを使用
高杉さん

ほかにもマルイ水産では、地元の小川港で水揚げされた魚を取扱い販売、加工をおこなっています。「オレンジ風味しめさば」を中心に製造していますが焼津水揚げの冷凍鮪短冊、お刺身など他商品の取扱いも行っております。

高潮を川に逃がすインフラの知恵が随所に

――今、インフラの大切さが叫ばれていますが、この浜通りではさまざまな知恵が施されているようですね。

高杉さん

この浜通りは駿河湾に面しているため、暴風雨による荒波が堤防を越えて家々に襲いかかることがしばしばありました。そこで様々な工夫をしています。

⾼潮の際、海⽔を近くの堀川に逃がすための⼩路が何本も通り、家々には海水が家の中に入らないように波除けの堰(せき)板も設置。

土地の高低でいえば、海の方が高く、高潮を川に流すように地形が形成され、海とともに生きてきた住民の知恵をみることができます。

江戸から明治時代の古民家で形成する「花沢の里」

花沢の里は山の谷地にある30戸ほどの山村集落

――それでは次に「花沢の里」の解説をお願いします。

高杉さん

焼津は海の街で有名ですが、花沢の里は山里でとてものどか。昔懐かしい風情を残す地区です。

静岡県で唯一、「国の重要伝統的建造物群保存地区」として2014年に選定されています。この選定の背景には、今も実際に暮らされている方々が地区を守り、活かしてきたことにあります。

古い建物を味わい深く、ゆっくりと楽しみたいという方や、ハイキングをされる方にはとても人気があります。

民家をリノベーションし、コーヒーを楽しめる

花沢の里 カントリーオーブン・やねうらbooks
高杉さん

この地区には古民家カフェもあります。
100年以上続く民家を修理し、昔の風情を感じながら、美味しいコーヒーやスイーツを楽しめるんです。これに加えて、2階を修理し、小さな本屋さんとぬり絵の部屋「やねうらbooks」ができました。

高杉さん

また花沢の里の入り口近くにはミカン園「橘農園」もあり、10月中旬から12月末までがミカン狩りのシーズン。

時季によっては集落内で旬の果物や地元の方が漬けた漬物などを無人販売で買うこともできます。

花沢の里入り口近くでミカン狩りを楽しめる
高杉さん

花沢の里が登山口の1つになる満観峰(まんかんほう)※にも注目です。こちらは360度の風景が見渡せ、高い山ではないのでハイキング初心者の方も登ることができます。

※満観峰・・・駿河湾沿いにある標高470mの山。

満観峰からの感動の光景 絶景の富士山

満観峰山頂から見る絶景の富士山
高杉さん

山頂からの富士山の眺望は言うまでもなく、南アルプス、伊豆半島や駿河湾を一望できる大パノラマの眺めを楽しむことができるんです。

手軽に登れる上に、山頂からの絶景が素晴らしいので、満観峰に登りに県外から来て下さる方も多く、高い山に登るための練習台にも使われているようです。

最近のトピックスでは、満観峰の山バッチの製作に向けて動いていまして、発売は2025年秋を検討しています。

文豪・小泉八雲はなぜ焼津の街を愛したのか

――次は小泉八雲ゆかりの地コースですね。文豪・小泉八雲も焼津にゆかりがあるとのことですが、この点の解説をお願いします。

高杉さん

⼩泉⼋雲(こいずみ やくも、ラフカディオ・ハーン)※といえば、来日後に尋常中学校・師範学校の英語教師として赴任し、妻となるセツさんと出会った島根県・松江がゆかりの地として有名ですが、焼津にもゆかりがあります。

焼津にゆかりがある文豪・小泉八雲

※⼩泉⼋雲・・・ギリシャ生まれのアイルランド人で、新聞記者、作家、日本研究家、英文学者。小泉セツと結婚し、日本国籍を取得する。日本の怪談話や伝説に精通し、『怪談』『骨董』などの作品がある。

高杉さん

1897年(明治30年)にはじめて焼津を訪問して以来、晩年の8年間のうち6度の夏を避暑地として滞在しました。

八雲は東京在住時代、「夏休みを海で過ごしたい」との想いもあり、以前松江中学の教諭で、その頃浜松中学の教諭だった友人の田村豊久の紹介で舞阪を訪れたものの、海が遠浅で気に入りませんでした。同地に一泊した後、田村の知人がいる焼津に向かうことを決めます。

八雲にとって、焼津の海は少年時代に泳いだアイルランドやイギリスの海とどこか共通点があったのかもしれません。

焼津では山口乙吉という魚屋さんを紹介され、とてもさっぱりしている典型的な焼津の方でここの2階に宿泊されます。

素朴な乙吉さんとの交流を通して、焼津は実にいい街と大変好感を持たれました。焼津にまつわる作品として、『焼津にて』『乙吉のだるま』等を執筆しています。

焼津では、ご自身の息子さんや書生さんを引き連れながら、大変リラックスした生活を送られたのです。

これは焼津の歴史で詳しく説明しますが、焼津神社の荒祭も大変気に入っていました。

先ほども申し上げたように、2025年度後期の秋からの連続テレビ小説が小泉八雲の妻セツが主人公のモデルとなります。焼津市観光協会ではこれを契機に、焼津と八雲のつながりを強調し、PRしていきたいです。

その一環として、焼津市観光協会は、八雲の誕生日である6月27日に、八雲とセツをモチーフとした新商品「八雲ふせん」と「八雲ポストカード」を発売しました。

焼津市観光協会の新商品「八雲ふせん」「八雲ポストカード」
高杉さん

発売に先駆け、マスコミ向けにお披露目しました。やいづマリンレディの滝口愛星さんは、「今年秋からの連続テレビ小説をきっかけに、さらに多くの皆様に、八雲を知っていただき、焼津の新しい八雲グッズも買いに来ていただければ嬉しいです」と積極的にPRしました。

やいづマリンレディの滝口愛星さんがプレス向けに新商品「八雲ふせん」と「八雲ポストカード」をPR
高杉さん

続けて8月1日から10月末まで、「小泉八雲などのゆかりの地を巡るドライブスタンプラリー」を、一般社団法人日本自動車連盟(略称・ JAF)とともに実施します。

さらには、焼津市観光協会は、市内事業者さんともセミナーなどを行ない連携しています。事業者の皆さんは、さまざまな八雲をモチーフにしたグッズ、メニューを準備中です。小泉八雲が初めて焼津を訪れた8月4日に、マスコミ向け新商品お披露目会を実施予定です。

このように今、焼津市は八雲を通じて地域一体となって盛り上げようとしているところです。焼津市観光協会でも、八雲と焼津にまつわる情報を積極的にPRしようと、HPで「特集ページ 小泉八雲が愛したまち 焼津」を開設したところです。

焼津小泉八雲記念館
高杉さん

焼津市内には小泉八雲ゆかりの地が多数ありますが、特に紹介したい場所は、「焼津小泉八雲記念館」。

小泉八雲の記念館は、世界に松江とここ焼津にしかありません。観光客が焼津小泉八雲記念館のパンフレットに関心を持たれ、連続テレビ小説の話もしますとさらに関心を強められて、記念館に訪問される方が増えています。

ちなみに、焼津小泉八雲記念館は、7月19日から9月23日にかけて、八雲のルーツを、アイルランドにおける妖精信仰からたどり、日本を代表する漫画家の水木しげるの妖精画とともに紹介する特別展示会を開催します。

高杉さん

記念館では八雲さんの遺品や焼津での交流も紹介しています。愛妻家の一面もあり、東京の自宅にいた奥さんのセツさんに向けて書いた愛情深い手紙も残されています。

名誉館長には、八雲さんのひ孫にあたる小泉凡氏(こいずみぼん、小泉八雲記念館名誉館長・島根県立大学短期大学部名誉教授)に2012年7月から就任して頂いております。

小泉名誉館長には、毎年2回の名誉館長講座(子ども向け、一般向け)のため焼津に来ていただいており、焼津と小泉家との関係は今日まで脈々と続いております。

焼津で見る富士山は様々な表情を見せる

小川港から見る富士山

――焼津といえば富士山がとてもよく見える地域として有名ですね。

高杉さん

焼津富士山ビュー」のマップを作成し、本観光協会のHPでも紹介しています。焼津から見る富士山は焼津観光の大きな魅力の1つとして発信しています。

高杉さん

私は実は、他県から焼津に引っ越してきました。焼津でサイクリングを楽しんでいると、港で船の合間に富士山が大きく見えて驚きました。

特に漁港と富士山が一緒に見える光景は本当に新鮮で、焼津らしい富士山といえます。秋から春先にかけてがおすすめのシーズン。季節によっても富士山が見せる光景は異なります。

観光客の方はタイミングが合わないと見られないのですが、夏の黒々とした富士山も一見に値します。「こんな表情を見せる富士山もあるのか」と驚かれる方もいます。

恐らく他県から見えた方にとっては富士山の存在は違って見えることでしょう。

焼津の街の中には随所に温泉が

人も湯も輪になる足湯・ととゆ(焼津市役所本庁舎前足湯)

――次に焼津温泉の泉質や効能についてうかがいます。

高杉さん

静岡県の温泉は熱海温泉が有名ですが、焼津温泉は高濃度です。温泉の濃度は通常、1~2の数値で表されることが多いのですが、焼津は16の濃度があるんです。

温泉に浸っていただいた方にはかなり高い評価を得ています。

温泉の特徴は、海水の濃度の約半分の塩分を含む塩化物泉で、保湿効果が高く湯冷めしにくく、「熱の湯」ともいわれています。

肌にやさしい弱アルカリ性のお湯で疲労回復、神経痛や冷え性のほか、健康と美容にも効果があるとされています。また、べたべたしなくてさっぱりしていますね。

今、「足湯」にも力を入れています。駅前に加えて2番目の無料足湯を市役所本庁舎前に設置し、「ととゆ」と命名されています。これは、「魚(とと)」に由来し、焼津市民が覚えやすく、親しまれる足湯になって欲しいとの願いが込められているのです。

高杉さん

最近のトピックスとして、市役所本庁舎北側駐車場内に温泉スタンドも開設しました。10ℓ100円で、24時間いつでも誰でも温泉を購入できます。

ただ高濃度の温泉なので、そのまま入れると浴槽に影響が出ます。入浴剤の代わりとして、温泉をお湯に入れるのが望ましいです。

※温泉スタンド・・・温泉を販売あるいは無償提供している施設、または自動販売機のこと。ペットボトルなどに詰められた温泉を販売するのではなく、貯湯槽に貯められた温泉水を、購入者が持参したポリタンクなどの容積が大きい容器に入れ持ち帰る形を取っているところが多い。

感動の光景 富士山と駿河湾の眺望を同時に

「ホテルアンビア松風閣」では富士山と駿河湾を一望しつつ温泉に浸れる

――こうした魅力ある地域では宿泊施設も充実していると思うのですが、いかがでしょうか。

高杉さん

温泉を導入されている施設が増えて今は12ヶ所です。その代表的な場所をご紹介します。

「ホテルアンビア松風閣」は一番有名な宿泊施設です。大崩海岸(おおくずれかいがん)という断崖絶壁な地形にあり、温泉を楽しみながら、富士山と駿河湾の眺望を同時に楽しめるホテルです。

※大崩海岸・・・焼津市小浜と静岡市駿河区をまたぐ海岸。約4kmに渡って続く断崖。晴天時には富士山や伊豆半島も見渡せる景勝地として知られる。

高杉さん

そのすぐ隣に「焼津グランドホテル」があり、ホテルのサービス形態はオールインクルーシブ。ご宿泊のお客様は、ご夕食時・ラウンジのお飲み物、アクティビティなどすべて料金に含まれています。

焼津グランドホテルからの眺望も素晴らしい
高杉さん

温泉も海側と山側にありボードゲームエリア、ライブラリーエリア、スポーツエリアなどいろんな施設を館内にそろえ、若いカップルやファミリーも楽しめるリゾートホテルです。

焼津グランドホテルの足湯テラスでは富士山を眺められる
高杉さん

最近では、「知と音 CHI・TO・NE」というミュージアムも開設され、「焼津に魅了された、とある女性の旅の記憶」をテーマに、地元アーティストによるインスタレーション作品を展示中です。また、富士山を見ながら足湯も楽しめます。

焼津グランドホテルでは、「知と音 CHI・TO・NE」というミュージアムも開設
「亀の井ホテル 焼津」の展望風呂は駿河湾を一望。
高杉さん

「亀の井ホテル 焼津」(元かんぽの宿)は、最上階の展望風呂で駿河湾を一望でき、客室、ロビー、レストランがリニューアルするとともに、キッズスペースも誕生しました。

高杉さん

また、「月と鮪 石上」「湊のやど汀家(みぎわや)」はしっとりと少人数で宿泊できる高級旅館で、隠れ家的なお宿です。

「月と鮪 石上」では海に浮かぶ月とムーンロードを楽しめる。
高杉さん

「月と鮪 石上」は2022年夏にリニューアルオープン。夜には海に浮かぶ月とムーンロードをお楽しみいただけるよう丸い窓を設けられました。ここはマグロが自慢のお宿です。
(※2025年7月19日現在、大崩海岸沿いの県道416号が全面通行止めのため、「月と鮪 石上」は焼津市側(焼津駅側)からは行くことができません。静岡市側(用宗駅側)から車でアクセス可能です。)

お手軽に宿泊できるビジネスホテルや民宿などもあり、焼津市は高級旅館からお手軽に宿泊できる施設までそろっています。

エキチカ温泉・くろしおのサウナ
高杉さん

ほか「エキチカ温泉・くろしお」など日帰り温泉も豊富にありますので、焼津は温泉でもいろんな楽しみ方ができます。「エキチカ温泉・くろしお」ではゆっくりと仮眠したい方におすすめの「おこもりルーム」、女性専用のリクライニングルームの拡充など、リューアルが進んでいます。今年6月にはサウナーに人気のオートローリュ式ラジウムサウナが男性専用のものに加え、女性専用の設備も誕生しました。気軽に楽しめるレストランとライブラリースペ一スもあります。

移住民が焼津の魅力を発信

埼玉からの移住者で焼津を盛り上げている水野 優子さん

――焼津は他の地からいらした方が街をもりあげているようですね。

高杉さん

私も移住者ですがさまざまな方がご活躍されていますのでご紹介いたします。

「自称・焼津移住大使ゆーこす」として活動されている方として、水野優子さんがいらっしゃいます。埼玉県から仕事の関係で焼津に移住し、「PLAY BALL! CAFE」というコミュニティーカフェ店主を務めていました。

その後、1年ほど前に、ご結婚、妊娠・出産され、今は育休を取り、インスタグラマーとして活発に焼津での暮らしの魅力を情報発信されています。

高杉さん

水野さんを含め、移住者や県外に出て戻られた若い方たちが今、焼津を盛り上げています。たとえば、焼津の港で過ごす、おしゃれでチルなナイトイベントとして「YAIZUヨルチル」をこれまでに4回開催。毎回1,000人以上のお客様にお越しいただき盛り上がっています。

ちなみに、「YAIZUヨルチル」の開催場所である、焼津PORTERSは、焼津市の内港沿いに位置する古い漁具倉庫をリノベーションし、気軽に作業できるコワーキングスペース、焼津のおいしい食事が楽しめるフードコートのほか、あらたに市内外の様々な人の交流拠点となるコミュニティスペース、こだわりのたくさん詰まったサウナ、そして港を目の前に宿泊できるホテルルームを備えた複合施設です。

Instagram「YAIZUヨルチル」
https://www.instagram.com/yaizuyoruchill/

海鮮が自慢「魚フェス」(ととフェス)を11月に

「魚フェス」(ととフェス)は11月に開催予定

――焼津のグルメも楽しめそうですね。

高杉さん

特に海鮮が自慢の街です。水揚げ金額8年連続日本一※を誇ります。(※ 時事通信社調べ(確定値)2016年~2023年 水揚げ金額日本一)本当にさかなのパラダイスの街です。

2025年11月15日(土曜日)~16日(日曜日)の両日、焼津漁港新港特設会場や静岡県焼津市城之腰付近で「さかなのまち焼津」の食や漁業、水産文化等の魅力を広く発信するイベント「魚フェス」(ととフェス)を開催。焼津市がマグロ、サバ、カツオなどが水揚げされ、魚に恵まれている街であることをアピールしています。

焼津には3つの漁港があります。

マグロとカツオは焼津港、桜エビは大井川港、サバは小川港で獲れ、いずれも人気です。

高杉さん

また、焼津さかなセンターが今年40周年でさまざまなイベントを開催しておりますので、ご関心がありましたら是非お立ち寄りください。

焼津さかなセンター
高杉さん

このほか市内ではサバずしを提供する店舗もあります。「黒はんぺん」や「なまり節な」ど、水産加工品も幅広く生産しております。

焼津を海の街として発展させた「焼津水産翁」

毎年、焼津神社で焼津の漁業・水産業発展の礎となった水産三翁の偉業を称え、毎年「水産翁慰霊祭」を行っている

――それでは話はやや変わりますが、焼津市の歴史を教えてください。

高杉さん

焼津市は海とともにあり、漁業の歴史も長いです。焼津漁業は近代に入って目覚ましい発展を遂げますが、その発展には「焼津水産翁」(やいづすいさんおう)と称えられた3偉人が関わっていました。

水産翁は、防潮堤の建設に尽力した山口平右衛門、遠洋漁業を推進した片山七兵衛、生産組合の組織化をはかった服部安次郎の尊称です。焼津神社には顕彰碑が建っており、毎年、慰霊祭が行われています。

旧焼津信用金庫は、静岡信用金庫との合併後、しずおか焼津信用金庫へと発展。旧焼津信用金庫の前身である「焼津生産組合」を漁業者のために設立したのが安次郎です。

そしてこの水産翁に並び称される人物としてマルハチ村松を創業した村松善八も今日の焼津の鰹節を築き上げた人物として名高いです。昔は西伊豆の方の鰹節が美味しいとの評判でしたが、善八が各先進地域から鰹節の技術を採用し、だしの文化を確立したと称えられました。

今日の「焼津節」と呼ばれた鰹節製造を進められるなど、多くの人々の努力が今の焼津発展の礎となっています。水産翁とともに、焼津神社に善八の碑も建てられ、同じく功績を称えられています。

また、明治22年(1889)、焼津に東海道線の駅が設けられ、東京大坂など東西への流通がたいへん便利になったことも、焼津漁業の発展を後押ししした歴史の一コマと言えますね。

焼津の守り神は日本武尊

――焼津の地名発祥の説話では有名な方が登場されますね。

高杉さん

日本武尊(ヤマトタケルノミコト)※が東征に向かう途中の時です。叔母の倭姫命(ヤマトノヒメノミコト)※から火打石と天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)※を授かります。

日本武尊像は、戦後発行された「1000円札」に使われました。流通期間が短かったため、今や幻の1000円札とも言われています。

※日本武尊・・・第12代景行天皇の皇子で、第14代仲哀天皇の父にあたる。熊襲征討・東国征討を行ったとされる日本古代史上の伝説的英雄。歴史学的には複数の将軍の説話を融合した人物とみる向きもある。

※倭姫命・・・第11代垂仁天皇の第4皇女。天照大神を現在の伊勢神宮に祀ったとされる。邪馬台国の卑弥呼とする説もある。

※天叢雲剣・・・三種の神器の一つ。別名・草薙剣。本体の草薙剣が名古屋・熱田神宮の御神体として祀られている。

高杉さん

日本武尊が焼津の地に入ると、地元の賊に草むらの中で四方から火を点けられ、妃の弟橘姫(オトタチバナノヒメ)※とともに絶体絶命の危機に立ちます。

※弟橘姫・・・『日本書紀』によれば日本武尊の妃。関東地方では弟橘姫に由来した神社・伝説が多数ある。

高杉さん

しかし、天叢雲剣で草をなぎ払い、火打ち石で逆に敵に向かって火を放ち窮地を脱します。この剣は、草をなぎ払ったことで、草薙剣(くさなぎのつるぎ)と呼ばれるようになり、その後この地もこの話がもととなり、「焼津」と呼ばれるようになったのです。

焼津で最も古い神社である焼津神社

焼津神社
高杉さん

焼津で最も古い神社は焼津神社です。創建は今から約1600年前と伝えられます。神社を含む一帯では、遺跡が出土しており、この周辺に古くから人々が生活していたことが分かります。

焼津神社は、日本武尊の知恵と勇気と優しさを称え、焼津の守神としてお祀りをしたことから始まりました。

ちなみに焼津神社では毎年8月12日~13日に「東海一の荒祭」が開催されます。焼津市では、市内の魅力ある歴史文化を市民共有の財産として「焼津遺産」「焼津記憶遺産」に荒祭も登録されました。市としても荒祭に参加される方を増やそうと呼びかけ、支援されています。

8月12日~13日に「東海一の荒祭」を開催
高杉さん

最大のイベントは、「神輿渡御(みこしとぎょ)」※です。独特の「アンエットン」という威勢のいい独特の掛け声とともに神輿を担ぎ、市内6.5kmを歩きます。神輿を担ぐ方は白装束を着た男女で活気のある祭りです。

※神輿渡御・・・祭礼では、最初に神社の本殿にまつられている御神体を神輿に遷す儀式を行う。その後、神輿を担いでまちを練り歩くことは神様がそのまちを巡幸する意味がある。

高杉さん

焼津神社ではもう一つ大きなトピックスがあり、ご祭神である日本武尊の銅像を新たに建設するプロジェクトのため、目標予算をクラウドファンディングで募集したところ、目標金額を大きく上回る寄付が集まったということです。今も、多くの方々から厚い信仰を集めていることが感じられました。

ポテンシャルが高く若者が盛り上げる事例が多い焼津市

――こうしてお話を伺うと、焼津はとてもいい街だと感じました。移住についてはどうお考えですか。

高杉さん

先ほど申し上げた通り、私は他県から焼津に引っ越してきた人間です。そこで感じたことは、移住される方などに対して誰でも受け入れてくれる明るい土壌があるということです。

市役所も市外から転入してきた子育て世帯、若者夫婦世帯の住宅取得に対する支援や東京圏から焼津市に移住された方を対象に焼津市移住・就業⽀援⾦の交付などを行っています。詳しくは焼津市役所にお問い合わせ頂ければと思います。

ここは移住者にも優しく過ごしやすい街です。大都会と比べると、満足いかない点もあるかもしれませんが、程よく過ごしやすく空気が良く魚も美味しい街です。

是非多くの方に観光でも移住でも来ていただければと願って日々活動しています。

認定NPO法人のふるさと回帰支援センターの2024年の「地方移住に関するアンケート」の結果では、「静岡県」は2位と依然として高い人気を誇る

――そこで地方にとって観光事業は大きな可能性を秘めていると思いますが、いかがでしょうか。

高杉さん

移住者や若者は、街の交流人口を活発にする試みを展開されています。たとえば、地元出身の若者が、焼津駅前通り商店街で立ち上げた私設図書館「みんなの図書館 さんかく」を整備し、ここが先進事例となり、全国各地に「みんなの図書館」のような施設が続々できているそうです。その館長が「みんな公民館まる」を2024年9月から立ち上げ、若者の交流拠点として盛り上がっています。

最近では県外からの大学生も来まして、共同イベントやビジネスプランを立ち上げています。焼津市は若い力を大切しながら、街もいい方に変革しています。

高杉さん

観光事業は地方のいいところに光を当て、焼津が観光でも見どころが多く、過ごしやすい場所と発信する役割を担っています。今、焼津市観光協会はInstagramでも情報発信し、現時点で約1.3万人の皆様にフォローしていただいています。

焼津をPRしていくことでこの街が持っているポテンシャルを引き出し、遠くの皆様にも伝えることで多くの皆様が、「焼津は面白い街だ。熱量が高い」と感じていただき、交流人口も増えて欲しいです。

幸い焼津の地場産業では大変クオリティの高い製品も作っているんです。多くの方が地場産品を消費され、盛り上がってさらに焼津に若い方がより関心を持つことで街の活性化につながっていきます。

だからこそ焼津市観光協会としては観光を通じて焼津の活性化について頑張っていきます。

団体概要

名称一般社団法人 焼津市観光協会
住所〒425-0027
静岡県焼津市栄町1丁目2番14号
TEL054-626-6266
FAX054-626-6267
公式HPhttps://www.yaizu.gr.jp
公式Facebookhttps://www.facebook.com/yaizukankou/
公式X(旧Twitter)https://x.com/yaizu_kankou
公式Instagramhttps://www.instagram.com/yaizu_kankou/
公式YouTubehttps://www.youtube.com/@yaizukankou
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