西表島の大富(おおとみ)という集落のはずれに、やきものを作る工房 風花(かざはな)があります。
北海道から移住した中里 ゆきさんが作陶する工房で、工房にいる時間には直接手にとってみることもできます。
1.20年前にキビ刈りにきていた西表で工房を開く
2019年に西表島でスタートした工房 風花。
やきものを作る中里 ゆきさんは、20年ほど前に3年続けて西表で冬の間サトウキビ刈りのアルバイトをしていたことがあるのだそう。
その後は地元である北海道で働いていたりしたけれど、札幌で参加してみた陶芸体験で陶芸のおもしろさに目覚め、その後やきものの道に進んだのだといいます。
栃木県の益子と、沖縄本島の読谷の北窯で修行をしたのち、自分の工房を構えるならここでと思っていた西表島の大富に工房を構えました。
以前からお世話になっていた地域の人たちが、工房をイチから建てるのを手伝ってくれた、手作りの工房なのだそう。
2.シンプルな、普段づかいのやきものを
沖縄の言葉でマカイというお茶碗やどんぶり、お皿、マグ、湯呑みなどの器を、さまざまな絵付けの手法を用いて作っています。
沖縄のやちむんの伝統的な重みや厚み、素朴で鮮やかな絵柄を大事にし、そこに自分のエッセンスをプラスしているのだそう。
中里さんの窯は、ムラが出やすく難しいといわれている灯油窯。
それでもできあがりがいい時がすごく嬉しいと話します。
中里さんはやきものの他に、大富共同売店でも働いていて、人が足りない時にはキビ刈りも手伝っているのだそう。
毎日近所の人がやってくる売店での時間は、地域の人たちとの大事なつながりにもなるし、たまにやるキビ刈りは体を動かしてすっきりするといいます。
島の生活に根ざす中里さん。
そんな中里さんが作り出すあたたかいやきものを、ぜひ手にとってみてみてください。
Photo & Text:笹本 真純
(取材:2024年3月)
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