川平エリアの海を望む高台にあるやきもの工房、川平焼 凜火(かびらやき りんか)。
さまざまな風合いのやきものを購入できるほか、陶芸体験もできます。
八重山の島々で唯一の登り窯がある工房でもあります。
1.さまざまなテイストの作品をひとりでつくる
石垣島の市街地からは車で40分ほど、長い坂道を上り、豊かな自然のなかに佇む工房が川平焼 凜火(かびらやき りんか)です。
やきものをつくっているのは、石垣在住歴27年の渡邊 裕(ゆたか)さん。
移住したばかりの20代前半だった渡邊さんは、島に以前あったギャラリーで見かけたやきものに目を奪われたことが、やきものを始めるきっかけになったのだそう。
沖縄本島の読谷村にある陶眞窯(とうしんがま)で3年間修行し、石垣で自分の工房を始めようと島に戻ってきました。
そこで、この場所で長年やきものをしていた島の先輩にここを引き継がないかと持ちかけられ、2004年に川平焼 凜火が生まれました。
島の粘土をつかい、ひとつひとつ丁寧に作られるうつわやシーサーたち。
それらは実にバリエーション豊富で、それを渡邊さんひとりで生み出していることに驚きます。
シンプルでいて、色味や質感も実にさまざまで、渋くて力強い風合いのものもあれば、まるで女性がつくったかのような柔らかな島の海のようなものも。
2.八重山唯一の登り窯を持つ
凜火には、八重山で唯一の登り窯があります。
先代から譲り受けたその窯で、年に一度か二度、窯焚きがされるその時におじゃましました。
火入れをしてから2日間ほど、ずっと炎を絶やさずに焚き上げる窯焚きは、温度管理をしながら15分ほど置きに薪をくべていくとのこと。
距離を置いて見ているだけでも、すごい熱を感じる暑さです。
窯焚きでは、作品の7割ほどは思い通りにいくけれど、残りの3割は予想していなかった風合い、そのうち1割は計算してはできないような味わいのものが仕上がるのだと話します。
「想像を超えてくるものができあがることが窯焚きの醍醐味」と渡邊さんはいいます。
そんなお話のなか、今回の窯焚きで完成したお気に入りの作品の一部がこちら。
島の自然から大事に育まれるやきものを手にとって、ぜひお気に入りを見つけてみてください。
Photo & Text:笹本 真純
(取材:2023年7月)
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