沖縄県沖縄市にある「美らヤシパークオキナワ・東南植物楽園」は、まるで東南アジアにいるような壮大な熱帯・亜熱帯の珍しい植物が観賞できる植物園。人間よりもはるかに大きな植物や幻想的な花、可愛らしい動物に沖縄ならではのハーブなどを楽しむことができます。
東京ドーム3個分にあたる約45,000坪に熱帯・亜熱帯の植物1,300種以上が揃う大規模な植物園ですが、園内を巡ると、ただ無造作に植栽されているわけではないということに気付きます。
『これは計算なくしては完成しない。』入ると気付く園内のつくりと植物たちの絶妙なバランスは、今から50年以上も前に“植物の楽園”を夢みた、あるひとりの男性の想いがこめられています。
1.「植物エリア」「水上楽園エリア」ふたつのエリアが織りなす“植物の楽園”
[提供写真:水上楽園エリア]
まず、広大な園内のつくりをご紹介します!東南植物楽園には、「植物園エリア」「水上楽園エリア」の2つがあります。
まず最初に足を運んでほしいのが「植物園エリア」。大型駐車場を中心として、道路側にあります。
[植物園エリア入り口(※写真はブーゲンフェア開催中のもの)]
「水上楽園エリア」よりも入場口が小さいことで見逃しがちなエリアですが、実はこちらには、日本一を誇るユスラヤシ並木を見ることができるフォトスポットエリアがあり、必見です!
高さ20mを超える圧巻のユスラヤシはもちろん、木々に覆われて真夏でも涼しさを感じ、エネルギーを充電できるパワースポットとしても人気です。
ほかにも、レストランの食事にも使用される香り豊かなハーブ園や、ぽってりとしたフォルムが可愛らしい「トックリヤシ並木」などがあり、素敵な写真をたくさん撮ることのできるエリアとなっています。
[左上:ユスラヤシ並木(提供写真)/左下:ハーブ園/右上:不思議の園(提供写真)/右下:トックリヤシ並木(提供写真)]
[提供写真:水上楽園エリア入り口(※写真はブーゲンフェア開催中のもの)]
一方「水上楽園エリア」は、植物園エリアと逆側にあり、大きな楼門が目印。入場券購入場所もこちら側にあります。
名前のとおり、まるで水上に浮かぶ楽園のような設計の「水上楽園エリア」。園内は中央に大きく広がる池があり、それを囲むように植物が植栽されています。毎年2月下旬~4月中旬にかけて開催される「おきなわブーゲンフェア」では、日本一の高さを誇るブーゲンタワーが設置されるのもこちらの水上楽園エリア。
ショップやレストラン、動物ふれあい広場などがあり、植物に詳しいガイドさんの話を聞きながら園内を巡る「トラムツアー」も実施。(参加料500円)
冬には夜間、イルミネーションも開催され、1日を通して楽しむことができるエリアです。
[左上:ブーゲンタワー/左下:リスザル/右上:レストランの食事/右下:トラムツアー]
園内マップは公式サイトからダウンロード可能(ダウンロードはこちら)なので、時間に限りがある方は、事前にルートを決めておくと、見たいスポットを見逃さずに巡ることができますよ。
[提供:園内マップ]
東南植物楽園は屋外で季節ごとに旬の植物を楽しむことができ、イベントなども常時開催されるので、訪れるタイミングごとに様々な楽しみ方ができることも魅力。県外からのリピーターが多いのも納得ですね。
▼季節ごとの植物はこちらをチェック
2.“50年後の楽園”を夢見てつくられた「東南植物楽園」
[提供写真:水上楽園エリア]
あまりに見どころが多く、できればたっぷり時間をとって訪れて欲しい東南植物楽園。
当初「大林農園」という名称で1968年にオープンして以来、50年以上もの年月をかけてここまで大切に育てられてきた歴史があります。
「大林農園」の創業者である大林正宗さんは、台湾の花蓮市出身。
戦後、家族で沖縄に移住して日本国籍を取得。
[当時、種を植えたユスラヤシ:現在は園内に3000本以上みられます]
沖縄へ来て、ここでも台湾と同じく亜熱帯植物には適正な土壌であることを知った大林さんは『植物の楽園は、人にとっても楽園にちがいない』と信じ、何十年も先を見据えた楽園づくりを手掛けていきました。
そんな大林さんの50年越しの作品といえる東南植物楽園、1番の見どころが前述した「ユスラヤシ並木」です。
ご覧の通り、均等に並ぶユスラヤシが美しい並木道をつくり、日本で唯一の景観をつくり出しています。
このユスラヤシは、オーストラリア原産のヤシで、県外では温室でしか育てることがないため、この高さまで育った景色を見ることは、他ではありません。
50年の歴史と、手入れを怠らない愛情がなければ、この絶景は実現しなかったのです。
大林さんが造り出した、この楽園も、2013年には廃園の危機に見舞われましたが、「沖縄県民として、この素晴らしい施設を廃園にするわけにはいかない」と、その想いごと「タピックグループ」(県内でホテルやNPOなどを運営する医療法人)が受け継ぎ、現在も多くのファンを楽しませています。
3.大人も子どもも楽しめる!園内の見どころをご紹介
子どもから大人まで『三世代で楽しめる楽園リゾート』をコンセプトに掲げる東南植物楽園。どんな世代の人でも楽しめるように、そして大人になっても、思い出を辿るように楽しめる園の魅力や見どころが盛りだくさん。
見どころやおすすめスポットをまだまだご紹介します。
3-1 ユスラヤシ・トックリヤシ並木
先ほどのユスラヤシ並木はもちろん、写真の「トックリヤシ並木」もおすすめです。ユスラヤシ並木は凛々しく洗練された印象に比べて、こちらはぽってりと可愛らしいフォルムが特徴のヤシ。植物園エリアにあります。
3-2 ハーブ園で栽培される自家製ハーブを使った料理を提供するレストラン
[提供写真:自家製ハーブのしゃぶしゃぶ]
植物園エリアにある「ハーブ園」では、約80種類ほどのハーブが栽培されています。栽培された自家製ハーブを、料理やドリンクにして提供するのが、水上楽園エリアにあるレストラン「PEACE」。
中でも自家製ハーブのしゃぶしゃぶは、その日1番元気で鮮やかなハーブを摘み、フレッシュな香りまでいただける人気のメニュー。シーズンにより朝食イベントの開催や、レストランと入園料がセットになったお得プランもあるので、チェックしてみてくださいね。
3-3 季節ごとに変わる見どころの花
東南植物楽園では、それぞれの季節で『今だけ咲く花』を楽しむことができます。例えば春は、鮮やかな色合いで人々を魅了する「ブーゲンビレア」や、神秘的な翡翠色が特徴の「ヒスイカズラ」、初夏には、早朝から昼間にだけ咲く一面の「蓮(ハス)」に出逢うことができます。
季節ごとに咲く、沖縄ならではの花風景を楽しみたいと、リピートするお客さんも多いのだとか。
[ヒスイカズラ]
ヒスイカズラは『地面に落ちた花がアートになる!』と、落ちた花を工夫して写真におさめる人も多いそうですよ。
3-4 シーズンごとに開催されるイベント
[提供写真:イルミネーション]
東南植物楽園では、県内外の人が楽しめるイベントがシーズンごとに開催されています。デートにぴったりなイルミネーション「ひかりの散歩道」や、女子旅や写真好きがうれしい「おきなわブーゲンフェア」、家族連れや美容家にもおすすめな「楽園台湾朝食(4月~9月の土・日・祝日限定)」など、三世代であらゆる人が楽しめるイベントが、常時催されています。
イベント内容は毎年、新しい企画を試みているそうで、2020年のブーゲンフェアでは「ボタニカルアートカード」を入園者にプレゼントし、多くの人が写真映えを楽しみました。
3-5 動物との触れ合いや体験も
[提供写真:リスザル]
園内にはリスザルやヤギ、カピバラやカメなど、動物との触れ合いや餌やりが楽しめるふれあい広場があります。珍しいシロクジャクやホオジロカンムリヅルを至近距離で見られる「バードオアシス」も必見。
牛のオブジェを自由に色付けして楽しむ「カウ・アート」や釣りぼり体験、シーサー絵付けなどの体験メニューも豊富なので、家族の思い出づくりにもぴったりです。
3-6 世界一長寿の木「リュウケツジュ」
リュウケツジュ(竜血樹)は、名前の通り真っ赤な樹液を流すことで知られる植物。その赤い樹液は漢方薬や染料としても利用されていたそうです。屋外でこのようにリュウケツジュをみられるのは、東南植物楽園ならでは!珍しい樹形もユニークで面白いですね。
4. 50年以上かけてつくり出された楽園で、自分だけのお気に入りスポットを
[提供写真:周遊バス]
[提供写真:ガイドツアー]
初めての人が効率的に園内をまわなら断然、植物に詳しいガイドさんと一緒に巡るのがおすすめ!また、園内を周遊する「ヤッシー号(500円)」に乗りながら、のんびりと“自分だけのお気に入りスポット”を探すのもおすすめです。
あまりにも多くの美しい景色や楽しい体験、不思議な植物に恵まれているので、何度訪れても飽きることなく楽しめるのも魅力。ぜひあなただけのお気に入りスポットを見つけてくださいね。
Photo&text:三好 優実
(取材:2020年5月)
5.愛称「美らヤシパークオキナワ・東南植物楽園」に決定!
2022年1月15日、公募により集まった795件の中から、園の新しい愛称が決定したと発表がありました!
今回の愛称募集は、沖縄の日本復帰50周年を機に実施されたもので、すでに公式HPも「美らヤシパークオキナワ・東南植物楽園」に変更されています!
今後も「美らヤシパークオキナワ・東南植物楽園」さんをよろしくお願いいたします!
【2022年4月15日】編集部追記
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