西表島の上原港から車で6-7分の場所にある、竹富町織物事業協同組合の西表手仕事センター。
機織り機がずらりと並ぶその工房は、昔ながらの八重山ミンサー織りが生まれる場所。
ポーチやブックカバーなどの販売があり、八重山ミンサー織りのコースター織り体験もできます。
1. 島の植物からできた染料のみで染める織物
八重山ミンサー織りとは、西表島や竹富島など、竹富町の島々で300年ほど前からつくられたきた織物です。
代表的な模様は、五つ玉と四つ玉の絣を組み合わせたもので、「い(五)つの世(四)までも末長く仲睦まじく」という想いが込められているといわれています。
島々では今でも、祭りの時には昔ながらの着物や帯が身に付けられています。
八重山ミンサー織りは、今でも島の暮らしに寄り添った伝統的な工芸品です。
ここで織物をしているのは組合員である8人の方々。
デザインを決め、畑から染料をとり、糸を染め、反物を織りあげるところまで、それぞれがひとりですべてを行うのだそう。
染料となる植物は、フクギや八重山藍、紅露、月桃、サトウキビなど。
山に自生するものと工房の畑で育てられているものをつかい、すべて天然の染料で染められています。
こちらは八重山藍で染められた糸。
自然の優しい風合いがとてもきれいです。
この日行われていたこの過程は、整経という、経(たて)糸をそろえていく作業。
この工程で整えたものに、機織り機で緯(よこ)糸を織っていきます。
2.西表島の伝統工芸を体験
ここで機織り体験ができるのは、八重山ミンサー織りのコースターづくり体験。
いつも2種類の色柄が用意されていて、どちらかを選んで体験ができます。
教えてもらいながら、1時間前後で織り上げることができますよ。
鮮やかな黄色は、フクギという木の樹皮から得られる色です。
販売している、ポーチ、コースター、ブックカバー、小銭ケースなどの小物は、反物を仕上げた後に残ったものを活用して作られています。
左から、高市 弥生さん、川満 文子さん。
島の植物での染め物をしていた高市さんは、生涯続けられるようなことを身につけたいと八重山ミンサー織りも始めて20年ほど。
関西で着物の着付け師をしていた川満さんは、西表出身の旦那さんと結婚して島に来た時から、いずれは、昔から島にある織物をやってみたいと考えていたのだそう。
そうして、8年ほど前にここの一員となりました。
実にたくさんの工程を要し、気の遠くなるような作業だけれど、おふたりは、まっさらだった木綿の糸が、島のエネルギーある植物の色に染まり、自らの手によって反物へと姿を変えていくのがおもしろいと話します。
そして、着物を着る人はだいぶ少なくなっているけれど、「もともとあった大事な文化が今後も続いていくように、もっと魅力を知ってもらいたい」と、日々ここで織物に向き合っています。
そんな、八重山の島々で昔から育まれてきた文化にふれられるひと時を、ぜひ味わってみてください。
Photo & Text:笹本真純
(取材 2024年3月)
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