本と商い ある日、

本と商い ある日、

白瓦屋根の古民家に大きくかかった暖簾、そよぐ浜比嘉の風を感じながらゆっくりと古民家に足を踏み入れると、さまざまなデザイン、色合い、形の本がそれぞれの存在感で並んでいます。

本とかすかな珈琲の香りが混じる静寂な空間に、窓からすこし湿った風が吹き抜ける。

本好きにとって、沖縄好きにとって、心地よく本を選ぶ条件がこれ以上ないくらい整っています。

お店に入るとオーナーの高橋さんが風が入ってきたくらいの軽やかさで会釈をしてくれ、それからここで過ごす「ある日、」がはじまります。

1.浜比嘉島という場所と、古民家

浜比嘉島は、琉球を造ったとされる神「アマミチュー」と「シルミチュー」が暮らしていたという神話が残る、通称「神の島」。

見えない力によるものかただの偶然か、浜比嘉島は「物件を見つけるのが困難」として知られており、縁がある人はすんなり借りられるけど、ダメな人はずっとダメ、という不思議な話をよく耳にします。

そんな特別な場所ですが、高橋さんは浜比嘉島に搾って物件探しをしていたわけではないそう。

偶然この場所が空いていて「見た瞬間、どんなお店にするかが見えた」のだと言います。

見えないなにかに呼ばれたのか、ただの偶然かはさておき、その時頭に浮かんだイメージがほぼそのまま形となったのが、現在の「本と商い ある日、」です。

2.取り扱うのは、差別や偏見のない“人と人がともにある”本

店名にもある「ある日」にはふたつの意味があり、ひとつは「人と人がともにある」をテーマとした本を取り扱う、という宣言のようなもの。(ふたつめの意味は記事の最後に。)

取り扱う本の種類は新刊、ZINE、リトルプレス、古本などジャンルレスでありながら、特定の国や人種、性的マイノリティの方々を傷つけたり、偏った思想を植え付けようとする本は取り扱いません。

高橋さんが目指すのは、時や国、人種、性差、宗教を超えて、人々が「ここにいてもいいんだ」と感じられる場所をつくること。

このなんともいえない居心地のよさは、空間の素敵さしかり、きっぱりとフィルターが敷かれていることにもありそうです。

3.本を主体としつつ、展示やカフェで好奇心の入り口に

店名につく「本と商い」に由来し、本の魅力を伝える一環として雑貨コーナーや喫茶スペース、ギャラリーを設け、好奇心の入り口をつくっています。

なかでも企画展は、全国から作家さんやアーティストの企画が集うため、毎回楽しみにしている常連さんもいるほど。

雑貨コーナーには、ここで企画展をした作家さんや、取り扱う本の表紙をデザインした作家さんによるてぬぐいやポストカード、本専用のポーチなど、どれも読書への好奇心をくすぐるものばかりが並びます。

見ているとつい「本が好きなあの人にプレゼントしたい」という気分になるのです。

また、「ある日、」ではオープンから1年間行っていた企画があります。

月替わりで沖縄にまつわる文章を高橋さんが作成し、文章をもとにぬいぐるみ作家の片岡メリヤスさんが唯一無二のぬいぐるみを作るというものです。

1年分の文とぬいぐるみが完成したため、記録を本として出版すべく、現在準備中なのだとか。

(※ぬいぐるみは抽選販売により、ほぼ完売済み)

2024年の秋に展示を行い、同時期に本を販売開始するそうで、今からとても楽しみです。

1年を振り返り、高橋さんは「予想していたとおり、人は来ません」と笑います。

だけど、ここはそれでいい。

なぜなら「ある日、」が目指すのは「人通りが少なく、本当に来たい人が来る本屋」だから。

それが高橋さんが提供したい本屋であり、高橋さん自身のライフスタイルにあった働き方でもあるのです。

店名である「ある日」の後の「、」(句読点)には、「、」から言葉が続いていくように、 この場所を出た後もよい1日をお過ごしください、というお見送りの気持ちが込められています。

心地よく良質な本を選ぶひとときと、そこから続く”ある日、”が充実したものとなりますように。

Photo&text:三好 優実

(取材:2023年10月)

住所: 沖縄県うるま市勝連比嘉20-1

電話番号: <連絡先>aruhi@sunnyboybooks.jp

料金目安: 500円~

営業時間: 11:00~17:30

定休日: 不定休(公式サイトの営業日カレンダーにて要確認)

駐車場: 近くの港をご利用ください。

店舗詳細URL: https://hamahiga-aruhi.net/
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