バウムクーヘンといえばドイツのお菓子。
ドーナツのような丸い穴と、木の年輪のような模様が特徴で、結婚式の引き出物などのお祝い用や贈答品などとしてもよく使われます。
ちなみにバウムはドイツ語で木、クーヘンはケーキの意味だそうです。
このように、ヨーロッパのお菓子ですが、沖縄素材とアレンジしたユニークなバウムクーヘンを製造販売して人気を博しているのが「ふくぎや」です。
1.沖縄素材にこだわって作り出したオリジナル商品
もともと、ふくぎやは、お土産品や雑貨などを扱うスプラッシュオキナワというお店が原点で、お客さんを幸せにできるようなオリジナル商品を開発しようというのが出発点だったそうです。
そのために、ひとつひとつ丁寧に作ろうと考えて決めた商品が、バウムクーヘンでした。
かといって、ドイツのお菓子を作ろうという意図はなく、あくまで沖縄のスイーツというイメージだったそうです。
そこで、沖縄素材にこだわりました。
使われているのは、いずれも県産の黒糖、紅芋、蜂蜜、卵など。
これらによって沖縄らしい、オリジナリティあふれるバウムクーヘンとなっています。
これだけの商品の開発は簡単ではなく、職人さんは一から修業したそうです。
そのため、他のお菓子職人さんがすぐに作れるものではありません。
焼き方はもちろん、生地の仕込みにも長年の経験に基づくカンが必要。
温度や湿度などももちんろん材料に影響するので気を配らなくてはなりません。
また、たとえば卵は季節によって状態が異なるそうです。
暑い時期、ニワトリは水をたくさん飲むので水っぽくなり、寒い時期には水分が少なくしっかりした卵になるそうです。
そうしたことも念頭に、常にベストの味や食感を出すのが職人技、というわけです。
選び抜いた地元素材と、職人の高い技術がおいしいバウムクーヘンを生み出しているのですね。
2.味や食感に変化をつけたバリエーション
では、商品ラインナップを見て行きましょう。

「フクギ」は、蜂蜜味のプレーンタイプ。ふんわりソフトな口当たりです。
香りづけにラム酒が使われていますが、アルコールが飛んでいるのでお子さんもOK。

しっかりと歯ごたえのある食感と黒糖味が特徴の「カジュマル」。
上のフクギがソフトタイプならこちらはハードタイプです。
まわりがカリカリッとして、サクッとした歯触りと風味豊かな県産黒糖の相性がバッチリです。

「紅の木」は県産紅芋をふんだんに使っています。
しっとりした食感と、紅芋らしい上品な甘みがお口の中に広がり、沖縄の豊かな自然まで感じさせてくれます。

「檸檬の木」は、名前と外見通りにレモン、そしてシークヮーサーも使われていて、爽やかな甘酸っぱさが特徴です。
ソフトタイプで食感はふんわり系。

「フクギとガジュマルの結まーる」は、いわゆるハーフ&ハーフです。
ソフト系のフクギとハード系のガジュマルの2種の食感、さらに蜂蜜と黒糖両方の味わいが楽しめるので、お得な一品といえます。
3.おいしさに自信があるから焼き場は公開
上記以外にも県産の濃厚な豆乳を使って、やさしい甘さを表現した「豆の木」というソフトタイプや、期間限定ではありますが、甘さとほろ苦さを両立した大人チョコレートバウムクーヘン「カカオの木」などもラインナップしています。
このように、一種一種違う味わいとし、食感も変えています。
こうしたアレンジが可能なのも、前述のように職人さんが一から修業して最初にしっかりしたものを作り上げたからなのでしょう。
そのためか、はっきりいって一般的なバウムクーヘンとはひと味もふた味も違います。
特に、バウムクーヘンといえば口の中で少しパサつくイメージもありますが、このお店の商品に関しては、そんなことはまったくありません。
小さなお子さんから高齢者まで、みんなで楽しめるバウムクーヘンに仕上がっています。

商品の品質に自信があるからということで、焼く工程は外から見られるようになっています。
店舗が国際通りに面していることもあって、たくさんの人が通りがかりに興味深げに見たり、写真を撮って行ったりします。

焼き場では熟練の職人さんが、一層一層丁寧に焼き上げます。
オーブンは、バウムクーヘン専用があるようです。

職人さんが1時間くらいかけてじっくり焼き上げたバウムクーヘン。
この後1日寝かせてから、コーティングやカットの工程に移っていきます。

食べログやトリップアドバイザーなどで表彰や認証されているのも、品質の証といえるでしょう。

ラッピングもおしゃれで、もらった方は喜びそうです。
お誕生日のケーキとしても使えるのではないでしょうか。

お誕生日用だけでなく、さまざまな種類のオリジナルデザインの熨斗(のし)が用意されています。
お土産用としてはもちろん、贈答用、お祝い用などいろいろ活用できます。
今回取材したのは国際通り店ですが、那覇空港にも店舗が、また北谷町美浜のアメリカンビレッジにはFUKUGIYA CAFEもあります。
なお、オンラインショップもあるので全国から注文可能。
くわしくは公式サイトをどうぞ。

text:吉田 直人
Photo:根原 奉也
(取材:2021年4月)
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