沖縄本島の中部エリアのうるま市に位置する人気観光スポット「勝連城跡」(かつれんじょうあと)は、うるま市を代表する人気観光スポットの1つ。
12~13世紀に築城されたと考えられており、沖縄の英雄「阿麻和利(あまわり)」が10代目の城主をつとめたグスクです。
2000年に「琉球王国のグスク群および関連遺産群」の1つとして世界遺産に登録された歴史遺産で、その登録された世界遺産の中で最古のグスクです。
勝連半島の南風原(はえばる)の琉球石灰岩丘稜上に築かれており、城跡の標高は約60m~98mで、総面積は11,897㎡。
城跡内の最も高い位置にある「一の曲輪(いちのくるわ)」からは周辺離島や沖縄本島北部の山々、南部の知念(ちねん)半島まで見渡すことができます。
うるま市の絶景ドライブスポット「海中道路」から車で約10分の距離にあるので、ドライブの途中で寄ってみませんか?♪
1.わかりやすいアクセス!駐車場広々でレンタカーの人も安心!
うるま市の「与勝(よかつ)交差点」から県道16号線を通って車で約2分。
勝連城跡があるエリアは学校やスーパー、飲食店、各商店などが点在し、勝連城跡のふもとには歴史文化施設「あまわりパーク」。
勝連城跡やうるま市の歴史や文化を楽しんで学んで体験できるようになっています。
勝連城跡の駐車場は「あまわりパーク」の横から入ることが出来ます。
入口は団地のそばにあるので、看板を目印に入って行きましょう。
駐車場は普通車125台、大型バス6台収容可能。
広々駐車場なので、レンタカーの人も安心♪
勝連城跡の入場料金は、一般 大人600円(高校生以上)、小人400円(中学生以下)、6歳未満無料。
歴史文化施設の隣には観光案内所も。
各種観光案内パンフレット等がたくさんあるので、勝連城跡の観光の前後にサクっと寄ってみてはいかがでしょうか?
観光案内所の前にはハイビスカス。
満開の花がまるで訪問者を歓迎しているよう♪
ではさっそく、勝連城跡に行ってみましょう!
2.自然の地形や環境を生かした勝連城の防御ラインや大切な祈りの場所
こちらが勝連城跡の入口です。
後方には勝連城跡が垣間見え、意気揚々とした気分になります。
こちらで手持ちのチケットを見せたら勝連城跡の見学開始!
まだチケットを買ってない人はこちらで購入することもできますよ。(現金のみ対応)
勝連城跡観光のすごいところは、手持ちのスマホやタブレットを使って、多言語で観光案内をしてくれるところ。
360度のバーチャルツアーや600年前の風景にタイムスリップなど、いろんな機能があります。
Wi-Fiも繋ぐことができるので、ぜひ指定のページにアクセスしてみてください♪
では見学スタート!
勝連城跡の案内板を参考に進んでいきましょう。
見学で最初に通る道は、城外からアーチ門だったと伝えられている「西原御門」(にしはらうじょう)へと続いた道。
かつては石灰岩が敷き詰められた石畳道だったと考えられているそう。
古の時代、このあたりは水量豊富な湿地帯で、侵入者が湿地帯に足を取られる「防御ライン」や、平時においては財政を支える農地として活用されていたと言われています。
現代においては防犯対策とでも言うでしょうか。
敵が陣地に入りにくい構造をつくることは現代も昔も変わらないのだと考えさせられます。
こちらは「門口(じょうぐち)のカー」。
西原御門から城内へ入る際に、訪問者が手足を清めるために使用していたと言われており、身分の低い家臣が利用していたと考えられるそう。
ちなみに「カー」とは、井戸や泉など水源を表す沖縄方言です。
勝連城跡内にはたくさんのカーがありますので、どこにどんなカーがどんな意味で存在しているのか探しながら見学すると面白いですよ。
琉球王府編纂の地誌「琉球国由来記」に記載されている「マチダの御嶽」、「ナケージの御嶽」とのつなぎのカーといわれる場所。
神々とつながる泉(カー)として、長い歴史を持った祈りの場と考えられています。
村の安寧を祈る「御願(うがん)」を行う場所で、現在も地域の対象となっている尊いスポットです。
長い歴史を持った祈りの場所が、今でも見学できて祈ることができる奇跡に感謝したいものです。
男女の恋場所ともいわれる「ミートゥガー」。
今でこそ男女が自由に恋愛できる時代ですが、昔はそうはいきません。
外出する口実に水くみに行き、ひっそりと想い人に会いに行く場所としてこの場所が使われていたという伝説から「縁結びのカー(泉)」と伝えられています。
現代はLINE1通で恋の相手と連絡が取れていつでも男女が交流できますが、もし連絡手段が一切なくなったとしたら、今あなたはどうやって恋の相手に想いを伝えますか?
勝連城の階段を登っていると気づくのが、ゆるやかな右カーブの石階段。
これは、敵軍による侵入を防ぐ工夫が施されていると考えられているそうです。
案内板によると「階段を急勾配にすることにより侵入者の体力を消耗させ、さらに右手城壁より攻撃を加えることで、敵軍の機動力と攻撃力を弱める効果があります。
また敵軍のアプローチを制限できること、高い場所から相手の兵力を確認できることなどの利点もあります」とのこと。
自分が敵軍や勝連軍だったら?と考えて上ってみると、また一味違った風景が見えてきますよ♪
3.三の曲輪から一の曲輪まで一気に!大切な祈りの場所や絶景ポイントが次々と
上にのぼると見えてきたのは、「三の曲輪」。
城門だった場所から外を見てみると、まさに絶景!
遠くに平安座島、宮城島、浜比嘉島、伊計島をのぞむことができます。
三の曲輪は、儀式などを行う広場として使われていた場所。
沖縄には神人(かみんちゅ)といわれる祭祀を司る女性がいますが、ここは、彼女たちを中心に行われる旧暦2月と5月の祭祀「ウマチー」という年中行事の拝所です。
大きな木の根本あたりには「トゥヌムトゥ」といわれる座石があり、神人たちが腰掛けた場所といわれています。
こちらは「肝高(きむたか)の御嶽(うたき)」。
通称「チムタキの御嶽」とよばれており、ウマチーのとき神人が城を拝みに行ったときの休憩場所です。
ぜひこの近辺から城外に向かって風景を見てみてください。
当時の神人が見た風景をちょっぴり間近に感じられるかもしれません♪
二の曲輪と三の曲輪の境の石積みをよく見てみると、布積みとなっています。
沖縄のグスクの石積みの代表的なものとして「野面(のづら)積み」、「布(ぬの)積み」、「相方(あいかた)積み」の3種類がありますが、勝連城の石積みは「布積み」です。
布積みは主に格式高い施設の要所や壁、屋敷囲いの石塀などに使われており、勝連城の布積みを見ていると、民衆から厚い信頼を得ていた城主・阿麻和利の誇り高き姿と相まった当時のグスクの様子が伺えるようです。
「二の曲輪」に到着。
ここまで来ると次はグスクの最上部です!
入口からだいぶ階段をのぼってきましたので、取材中もこの辺りで息ゼーゼーと上ってくる観光客の姿が多く見られました。 この二の曲輪は正面約17m、奥行き約14.5mの大きな殿舎跡(でんしゃあと)が発見された場所で、この建物は城のなかで最も重要で、政治的な表舞台を演出する施設だったと考えられています。
浜比嘉島(はまひがじま)や津堅島(つけんじま)、久高島(くだかじま)など6ヶ所へのお通しの拝みをしていたといわれる「ウミチムン」(火の神〈ひぬかん〉)です。
沖縄では今でも、台所で火の神をまつり家内安全を願う風習が残されています。
火の神のすぐ近くにあるのが「ウシヌジガマ」。
ウシヌジとは「身を隠し、凌ぐ」という意味があり、「ガマ」とは自然洞穴のことを指します。
身に危険が及んだ時に逃げ込む場所だったと言われており、この洞穴は、勝連城の最上部である「一の曲輪」にある「玉ノミウヂ御嶽」とつながっており、城主の阿麻和利は、ここを抜けて現在の読谷村(よみたんそん)まで逃げ延びたという伝説が残っています。
ウシヌジガマの近くには大きなクワズイモ!
名前の通り「食べられない(クワズ)芋」です。
青々とした大きい葉なので触りたくなりますが、樹液が皮膚につくと痒くなりますので、ご注意を!
ついに登頂!
いや、勝連城跡のてっぺんに到達!
勝連城内でもっとも高い位置にあるこの「一の曲輪」は標高98mのところにあり、360度のスカイビューが楽しめるスポットです。
北は金武湾や北部の山々、南は目の前の中城湾や本島南部の知念半島までのぞむことができます。
これはまさに、上った者にしかわからない360度の絶景!
今まで歩いてきた四の曲輪や上ってきた階段などが小さく見えるほど勝連城が見渡せ、まるでお城のトップだった城主の阿麻和利のような気分を味わえるよう。
うるま市を代表する人気観光スポット世界遺産「勝連城跡」。
まだまだみどころはたくさんありますが、今回はほんの一部を紹介させていただきました。
次に勝連城跡を楽しむのは、貴方の番です!
ぜひうるま市ドライブの途中に寄って、いまだ残る琉球王朝の息吹を五感で見て感じて、楽しんでみてくださいね♪
〈参考資料〉うるま市教育委員会提供各種資料
Photo&text:小鍋 悠
(取材:2024年2月)
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