石垣島の中心街にあるユーグレナモールには、石垣市公設市場、本屋、商店、みやげ物屋や食堂などが軒を連ねています。
地元の人にとっては暮らしの場として、観光で石垣島を訪れる人にとっては、石垣島を知るきっかけの場として人気のエリアです。
ユーグレナモールの銀座通りに新しい空気感をまとった小さなカフェ「As tart & coffee(アス タルト アンド コーヒー)」が2022年にオープンしました。

1.季節のフルーツを使ったタルト
店内は、白を基調としたインテリアでまとめられ、石垣島ではあまり見かけない新しい雰囲気のカフェです。
そんな、石垣島ではちょっとした異空間的な存在のカフェには、観光で訪れる人はもちろんのこと、地元の人も気分転換に、ホッとひと息つきに、またはおしゃべりをしに連日通ってきます。

「沖縄では、1年を通して四季を感じる機会がなかなかありませんが、お店に並べるタルトに季節のフルーツを使うことで、来店されるお客さまに少しでも四季を感じてもらえたら嬉しいです」と話すのは、店長でバリスタの新野 慶子(しんの けいこ)さん。

ショーケースには、常時4、5種類のタルトが並び、夏には、パイナップルやマンゴーのように石垣島の旬のフルーツを使ったタルトが並びます。
この日に焼き上がったのは、マンゴーのタルト。
鮮やかなオレンジ色が常夏の石垣島の太陽のようで元気が湧いてきます。

マンゴーのほどよい酸味とクリームのまろやかさが、香ばしいタルト生地によく合います。
2.食べることは、命をいただき心と体を育むこと。
「As tart & Coffe」では「食べることは、命をいただくこと。食べることは、心と体を育むこと。」をテーマにお菓子を作りコーヒーを淹れています。

「平飼いの卵を使用し、白い砂糖の代わりに黒糖やきび砂糖を使い、体に害があるとされる添加物は使用せずになるべく安心、安全な食材を使うようにしています。月桃茶や黒糖などは、信頼の置ける友人たちから仕入れています」(新野さん)

お店で1番人気のコーヒーは、「カフェラテ」と波照間産の黒糖を使った「黒糖カフェラテ」。
旬のフルーツを漬け込んだ自家製のシロップで作るドリンクも好評です。
3.地元に根付いたカフェでありたい
「地元に根付きたいという思いがあり、観光で訪れるお客さまはもちろん、地元のお客さまにも足を運んでもらえるお店でありたいと思っています。石垣島の日常に溶け込んだお店、生活の中の一部として使用してもらえる空間にしていきたいです。テイクアウトの他、最近ではバースデータルトなどの注文にも力を入れています。

コーヒーを淹れることや焼き菓子を作ることはもちろん好きなのですが、お客さまとの出会いやおしゃべり、この空間で起こる全部のことが好きです。

最近嬉しかったのは、昨年観光で訪れたお客さまが今年もお店にいらしてくれたこと。インスタグラムの投稿を通して、お店に並ぶタルトを紹介しているのですが、パッションフルーツが石垣島でも採れることや、今はマンゴーの季節であることなど、遠く離れているお客さまにも知ってもらえるのも嬉しいです」(新野さん)
「As tart & coffee」のやさしい味わいの焼き菓子とコーヒーで、旅にも日常の暮らしにも「しあわせ」という彩りをかろやかに添えましょう。

どこか懐かしさを感じさせる商店の看板は、約20年ほど前のお菓子屋さんのものだそうです。
石垣島ならではの、時空を超えたコラボレーションが素敵ですね。
Photo &Text:水野 暁子
(取材:2023年7月)
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